人生に悩む妻にGTDを教えたらどうなるか? 挑戦と成果の大長編!
ある日、妻は悩んでいました。「なんかやるべきことをやれていない気がする……」と。そんな妻を説得し、GTDを試してもらったところ、なかなかいい成果が出たと思うのです。その挑戦と結果を大長編でご紹介。
妻が不安になっていた
現在、わたしたち夫婦はフリーで仕事をしていきたいと、アレコレ悪戦苦闘の日々です。収入が出てくるものもあれば、思ったよりも出ないものがあったり……。
最初からすべてうまくいくわけではないし、この悪戦苦闘も含めて予定通り、と思ってはいるのですが、妻は不安でした。
1日を終え、夕飯を食べても悶々とする。
「どうしたの?」
「これやってて意味あるのかなァ」
「どうして?」
「なんかもっと大事なことがあるような気がして……」
いろいろ話をしてわかったのは「なんとなく不安」という感覚……。わかります。いろんなことにチャレンジしていて、すべてで成果が出ているわけではない(まだ成果が出るのは先のこと)。
「今日は○○で1日使っちゃったけど、それで良かったのかなァ」
「じゃ、なにをやっていれば良かったと思う?」
「わからないけど……」
《The GTDが必要な人》に見えました。
「じゃぁ、明日の朝からGTDをやってみよう」
「ええ……、めんどくさそう……」
「でも、このままじゃ悶々とし続けるよ」
「わかった……」
GTDの概念くらいは教えてあったので、少しは興味はあったみたいだ。
翌朝、GTDキックオフ
朝起きて、朝食を終える。
「さぁ、やってみようか。手帳を持ってきて」
ノートの後ろのほうをGTD用に使う。インボックス/プロジェクト/次にやること/連絡待ち/いつかやる/Doneと6つのセクションを確保する。
参考:GTDを手帳と付箋で運用してみたら思った以上に良かった件
収集!
「とにかく気になることを書き出してみよう。迷ったら書く! 欲しいものとか、やりたいこととか、嫌だなって思うこととか」
「わかった」
20分ほどして「終わった」と言います。
「今度友だちと会うって言ってたけど、その日付とか待ち合わせって決まってる?」
「そういうのも書くの?」
「うん。仕事だけじゃなくて、爪を切りたいならそれも書く」
「……めんどくさい」
「こら」
「わかった」
その後、ひと段落したところで、GTDのトリガーリストをわたしが全部読み上げる。
「机の上で気になる物は〜?」
「最近抱えているプロジェクトは〜?」
ってな具合に。これが意外と効果があって「あ、あれがあった!」と気付く物が多かった。
全部で1時間弱。とにかく全部書き出した。100枚はなかったと思うけど、とにかく何十枚と書いた。
「もし、これぜーんぶ終わったらスッキリする?」
「する、かな……」
「ほんと?」
「たぶん……」
「ほんとに?」
「う〜ん、たぶん」
たぶん「全部書き出せたかが不安」なんだろう、と思ったから「今後も思いつくことは全部書き出して、貼っていきな」と伝えた。
GTDのひとつのウリは「すっきり感」だ。だけど、人によってどこで感じるかが違う。この収集のフェーズで感じる人もいれば、処理で感じる人、実際に作業を終えるルーチンのなかで感じる人など、それぞれなんだろう。
処理にも落とし穴が……
GTDのフローに従って処理していきます。
放っておくと、ほとんどが《次にやること》に割り振られていくようです。
そりゃそうですね。やりたいと思っていることを書き出しているんですから……。しかしこのままだと全部が《次にやること》になってしまいそうなので、軌道修正します。
「《次にやること》の目安は直近1〜2週間でやることにしよう。それより先になるようなことは《いつかやること》に置いておけばいい」
「わかった」
もうひとつ気になるのは、《プロジェクト》が少ないこと。そこでプロジェクトについて再度説明します。
「《プロジェクト》ってのは、会社で言うプロジェクトとは違くて、いくつかのタスクで成り立っているタスクのことを指すんだ。だから1アクションで終わらない物は全部《プロジェクト》に入れるんだよ」
「そしたら、全部《プロジェクト》になっちゃうかもしれないよ」
「それでもいいよ。例えば「ご近所さんのためにカステラを作る」ってのがあるけど、材料は揃ってる?」
「揃ってない」
「じゃあ、『買い出し』しなくちゃいけないね」
「たしかに」
「で、買うものは分かってる?」
「大体……、でも確認しないと……」
「ということは『買うものを調べる』ってのが最初の1歩かな?」
「うん」
「じゃ『ご近所さんのためにカステラを作る』は《プロジェクト》。で《次にやること》に『カステラの材料を調べる』を入れておこう」
《次にやること》に入るタスクはできる限り動詞で終わること。それが大事。
〜〜に電話をする
〜〜について調べる
〜〜について書き出す
〜〜を作る
みたいな感じ。で、プロジェクトをどこまで分解するかは人それぞれだけど、一気に終わらない物は分けておかないと、いつまで経ってもタスクが消えなくなる。
前述の「ご近所さんのためにカステラを作る」というのは、少なくとも『買い出し』と『調理』にわけておくことで、『今日は買い出しだけ』っていう風に、少しずつ進めていくということができるようになる。
GTDを運用!
妻には、『毎日、GTDで作ったタスクに目を通して、今日と同じように処理していくように』と伝えた。
どうなることやら……。
そして一週間……。
妻のブログにこんな記事が投稿されていた。
(夫は)GTD歴7年だそうで。若干引くレベルでまめ〜にタスク管理をコツコツしています。
引かれてた! 笑
気を取り直して、妻のブログを読んでみると、こんな課題があったようだ……
- 「やんなきゃ」と思うことが多すぎて、書くのが追いつかない
- 《次にやること》がプロジェクト毎に別れていないのが違和感
- 山のようなポストイットに圧倒される
「あるある」と思わず頷く。これって、誰もが通る道。なんか手助けがいるかな〜、と読み進めていくと、自分なりに改善しているようだ。
その中で、自分も無意識にやっているのが「同じ or 近いプロジェクトにあるタスクは近くに貼っておく」というもの。
これ、実はポストイットでGTDをやる究極のメリットかもしれない。
アプリやサービスでやろうとすると、きっちり管理して「同じグループに入れておく」みたいにしなくちゃいけないんだけど、ポストイットなら「なんとなく寄せておく」という曖昧な管理ができる。
これいいことに気が付いたよ、妻よ。
さらに1週間……
悩みつつ、ちゃんとGTDを続けていたようだ。こんな記事がブログに投稿されていた。
生産性がワタシの300%くらいの夫が勧めてきたのがGTDでした
こんどは褒められていた。よかった……。
さて、彼女はふたつの大きな気付きに至りました。ひとつ目は……
(モチベーションを高めるには)インセンティブを作ることに尽きます。タスクをどんどんこなしたくなる「ニンジン」を鼻の先にぶら下げることで生産性は上がるし、GTDが楽しくてしょうがなくなってきます。
> この場合のニンジンはタスクを細かく分け、完了した瞬間にそのタスクが書かれたポストイットをピッと「Action」から剥がして「Done」に張り直す。その瞬間が結構快感で次から次にやりたくなるのです。
これぞGTDの醍醐味ですね。GTDの気持ちよさって、「ぜーんぶ書き出して、ガリガリ終わらせていく」ということに尽きると思うのです。妻はそれを実感したみたい。
もうひとつ驚きの発見が。
例えば会社で「部長になるのが夢」だとしたら、何歳までに部下を持って、何歳までにリーダーになって、何歳までに……そのためには……さらにそのためには……、と小さく小さく目標をブレイクダウンします。
これ、GTDを長くやっている人でも見逃しがちな考えです。ウェブで語られているGTDって、ひたすらボトムアップ的なアプローチなんです。ちゃんと本を読めば分かるのですが、じつはトップダウン的なアプローチも重要。
それにちゃんと気付いて実践していました。エライ!
妻は正直だからおもしろい
こうやって妻がGTDやってるのを見ていると、反応が正直でおもしろい。
「なんか、ポストイットばっかりでグッタリする……」
みたいに思うことってあると思うんです。GTDをやればストレスゼロと言いたいところですが、やっぱり苦労もあるんですよね。それを乗り越えることで、大きなストレスは改善される、のだと思います。
みなさんもチャレンジしてみては?
妻の仕事術を今後も取材していこうと思います。
Originally published at 日刊ケネミック.