《周りの人たち》コンサルタントとして働く東さんが育休をとるにあたってたてた仮説とは?

Ken Takeshige
Creativity Magazine
6 min readApr 6, 2016

自分の身の回りにいる、普通の人をインタビューして、その人の考え方や生き方を掘り下げる『周りの人たち』という不定期連載を始めたいと思います。今回はコンサルタントとして、経営のサポートや、社員研修などに取り組む東さんがとった “育休” について訊いてみました。

普通の人をインタビューしてみる
インタビューした東さんの写真を撮り忘れたので、ガンダムでごまかす

東さんのこと

前職で東さんは青果物を販売する会社の人事をしていました。社員を採用し、研修プログラムを作り、社員の相談に乗ったりしていたんですね。

その経験から「教える」とか「サポートする」ということに興味を持ち、勉強の末、転職し、コンサルタントとしてのキャリアを積み始めました。

そんな彼が3ヶ月の育休をとったというので、その理由や、実際に育休をとった彼がどういう生活をしていたか訊いてみたいと思います。

インタビュー開始

武重: では、酒を前にしてなんですが、酔う前にインタビューを始めたいと思います。育休をとろうと思った理由はなんだったんですか?

東さん: ふたつ理由があって、子どもが小さなうちに時間を共有したかったということと、妻が仕事をしたり、なにか外部の活動に参加できる時間を作りたかったことかな。

おれが仕事で出張が多かったり、帰りが遅かったりするから、妻が外でなにかする時間がなかったんだよね。

だから、自分が育休をとって、それをきっかけにして、妻が外でなにかできたらいいな、って思ってたんだ。

武重: 実際に育休をとってみて、なにか奥さんは始められましたか?

東さん: おう、始めたよ。前職が幼稚園の先生だったから、子どもを預かるサービスを提供している会社でアルバイトを始めたんだ。週に2〜3日だけね。それがきっかけで、あるNPOに興味を持って、いまそこに打診して、参加を希望しているところだよ。子どもと一緒にできる仕事があるんだって。

武重: 結局育休はどれくらいの期間とれたんでしたっけ?

東さん: 3ヶ月だね。1月から3月いっぱい。

武重: 期間としてはどうでしたか?

東さん: 短いよ。できるならあと1年はとりたい。

武重: 育休中の1日の時間割りを教えてください。

東さん: 7時頃に起きて、午前中は朝食・洗濯・掃除・子どもの世話、って感じで終わっちゃうね。11時くらいになると子どもが寝るから、1時間くらい自由時間ができる。やることがなければ、そこで読書かな。

で、お昼を子どもに食べさせて、午後は子どもを連れて買い物に行ったり、天気が良い日は長く散歩したりね。子育て広場っていう、子どもが集まる場所があるんだけど、お母さんばっかりが集まるもんだから、入りにくくて、あそこには1度も行けなかった(笑)。

で、子どもと親の夕食を作らないといけないから16:30くらいから料理して、18:30には夕食。そのあと子どもを風呂に入れたり、遊んであげたりして、子どもが21:00くらいに寝る、と。

あとは食器を片付けたり、細々したことを済ませて、ちょっと読書したりして、24時には寝るかな。

武重: やっぱりまとまった時間はとれないものですね。

東さん: 無理だね。でね、育休とって分かったことがひとつあるんだよ。育休とる前から仮説として持っていたことなんだけど……。育休をとってみてやっぱり正しいと思うようになったんだ。

武重: 仮説って……。まるでコンサルみたいな発言ですね。

東さん: コンサルだよ!(笑)

今の時代、情報が多いでしょ。子育ての仕方もそうだし、生き方とか、仕事の仕方とか、知ってなくちゃ会話についていけないニュースとか、で、情報が山ほどあると、やりたいことが増えるんだよね。あれもやんなきゃ、これもやんなきゃって。

本を読みたいってのもそう。やっぱり教養だから「読まなきゃ」とか思うでしょ。でも子どもは思い通りにならない。たとえば「やっと子どもが寝たから、ちょっと読書」って思った3分後に、起きてギャーギャー泣き始める。

そうすると「読みたい」のに「読めない」っていうストレスになる。やりたいことがやれないっていうのはストレスなんだよね。で、さっき言ったように、いまの時代は情報が多くて「やりたい」ことが多いでしょ。

武重: 多いですよね。子育てブログ書きたいなんて人もいるでしょうし、遊びの種類も多いし……。

東さん: そうそう。やりたいものが先にあると、やれないストレスばっかり溜まって、子育てがつらくなるんじゃないかなァ? ってのが仮説だったんだ。

武重: で、やっぱりそうだった、と。

東さん: そうね。もう割り切って「子育てしかしない!」って決めちゃえば、ずいぶん楽になるんだよ。子育てするために育休とってんだし、たまたま時間が空けば、読書もするけど、子どもが最優先。本なんか読めなくてもいい、と思っておけば楽。

武重: それは大切かもしれませんね。子育ては永遠に続くものではないし、その期間は割り切るってのもいいのかも。ぼくなんかもやりたいことが多いから、そこでストレス感じそうです。それじゃ、最後に、これから育休をとろうという人にメッセージありますか?

東さん: とりたいならとるべき。いろんな理由で育休をとりにくい人とか、悩んじゃう人もいると思うけど、とれば変わるよ。ずっと仕事してると、仕事とか、キャリアを失う気がして怖かったりするかもしれないけど、実際にとっちゃえば価値観が変わる。なんとかなるものだよ。

だいたい子どもの時間は待ってくれないからね。

武重: なるほど、ありがとうございました。んじゃ、飲みますか。

東さん: おう。

東さんのインタビュー総括

東さんありがとうございました。

ほかにもいろいろ訊いたのですが、ひとまずこれくらいにまとめてみました。

「やりたいことをやれない」ストレスというのは考えさせられました。「空き時間でアレをやろう」なんて考えていると、やれないストレスが溜まっちゃうから、最初から「子どものこと以外はやれなくていい」と決められれば楽ですね。

そのためには夫婦の理解とサポートが必要なんだろうな。なんて思いました。

さて、これからも自分の身の回りにいる人のことを掘り下げていきたいと思っています。

わたしの周りにいる人に、突然「インタビューさせてくれ」と言われても驚かないでください。

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Ken Takeshige
Creativity Magazine

小説書いてます。『池内祥三文学奨励賞』受賞。世界旅を終え、作家活動中。 noteやMediumで小説を連載。ブログ『日刊ケネミック』→ http://kenemic.com | Amazon著者ページ→ http://amzn.to/1sh7d1f