だってバーゲンだもの

服を買いにバーゲンに行ってきた。日曜日にしてはあまり客足が伸びておらず、少しいやな予感がした。店員さんに話しかけられないように耳にイヤホンを装着し、セール品を物色。全体的にお客さんが少なかったので、話しかけられやすくなるのではないかと危惧したが、イヤホン効果で誰の邪魔も受けず、しばらくは買い物に集中できた。

そんな理想的な展開もつかの間、とある店先で、いきなりそこの店員さんと思しき若者に話しかけられた。エサにがっつく池の鯉のごとく、狙った獲物は逃さない主義なのか、若者よ。

声かけに聞こえないふりをするのもありだったが、やはり私の中からにじみ出てくる人の良さを隠すことはできず、その声に応じてしまった。とくに買う気もないジャケットを試着させられ、「これお兄さんに似合うな~」と歯の浮くようなセリフ。浮いた歯を何とか戻し、店員さんの自己満足に付き合うこと数分、退屈な時間を適当なあいづちでやり過ごす。

そもそも店員さんに「お兄さん」と呼ばれること自体、意味が分からない。「お兄さん」と呼ぶからには血のつながりを証明できるような何かを提示してもらいたいものだ。

心の中で毒は吐いているが、こういう展開はいつものことなので意外と楽しんでいるつもりだ。こういうのも含めて買い物の楽しみのひとつだと思っている。

その後もいくつかの店を回り、自分好みの服を何点か購入。おまけに靴とバッグも衝動買い。買い物に行くと、どうしても「あれも欲しい。これも欲しい。もっと欲しい。もっともっと欲しい」状態になってしまうからキリがない。バーゲンならなおさらだ。

とはいえ、やはり買い物は楽しい。とくに接客意欲のない店員さんがいる店は最高だ。

服屋の店員さんには、投げ入れられるパンには見向きもせず、池の底にある藻を黙々と食す鯉のような存在であってほしい。