アジャイルを現象学と暗黙知で伝える〜組織の「集合知」をコントロールする〜

Masato Ishigaki
Masato Ishigaki
Published in
15 min readFeb 28, 2020

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組織におけるプロダクト開発の現場では、アジャイル開発が当たり前のプラクティスとして導入され始めています。イテレーテションの中で小さくプロダクトを作り、出荷可能な状態(MVP)でユーザーへプロダクトを提供し、フィードバックをもらう。それをもとに機能の優先度や品質をその都度、最適化しながらプロダクト開発していきます。

一方で、組織全体を通してアジャイル開発やその中でも代表的なスクラム開発を組織文化、開発手法として取り入れる際に、理論的にはベストプラクティスなのはわかっているけど、うまく周りを巻き込みながら導入まで進まないという人は少なくないと思います。

そんなときに、よくあることとして、スクラム開発で言えばスクラムイベント(レビュー、レトロスペクティブ、プランニング)のやり方だけを説明しながら実践するのではなく、その根底にある組織の個人と集団の関係性、相互主観性の「集合知」というものをアジャイル開発を通じて組織の中にどう作り出していくかを伝えていくと「なぜ」の部分が補完され理解が促進されます。

それをわかりやすく説明しているのが、現象学という学問であり、SECIモデルの暗黙知といった知識創造理論です。
チーム開発の根底にある「知」というものがどういうサイクルで組織の中で作られていって強化されていくのか、そして知のサイクルによって作り出された「場」がアジャイル開発によってどういう風に組織学習を促進されていくのかについて説明していきます。

Photo by Nicholas Swanson on Unsplash

アジャイル開発の基本的な考え方は、短い期間で学習を進めることが大事な概念となっています。その背景としては、プロダクト開発において不確実性が高く、何が成功するかわかりません(ユーザーもわかっていない)。市場の変化、ユーザーのニーズの変化は刻一刻と変わるため、従来のウォーターフォール型のようにある程度中長期的なスパンで、大きく作って大きくリリースする開発だと、その間に要求が変わっていたりします。

そのため、アジャイル開発ではイテレーション単位で、ユーザーの反応を見ながら、その都度学習をしていく組織体制、組織文化が必要になります。いくら、ユーザーからフィードバックをもらっても組織が学習の方法を知らなければ意味がありません。

組織としての学習とは何か

そのためは、まず学習とは何か。学習の流れは何か。について考えていきます。小田理一郎著 “「学習する組織」入門”には、以下のようにあります。

目的に向けて効率的に行動するために
集団としての意識と能力を
継続的に高め、伸ばし続ける組織

組織が目的というのが皆のモチベーションをあげるような目的になっていて、かつ共通認識となっているかは、組織が学習するためには大前提となります。…

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Masato Ishigak / DMM.com LLC / Division Maneger / Engineering Maneger