ソフトウェアの資産計上〜減価償却編〜

Masato Ishigaki
Masato Ishigaki
Published in
Apr 21, 2022

事業の成果や開発組織のリソースを最終的なアウトプット先である管理会計や財務会計に、私達が日頃から作っているソフトウェアどういった風に計上されているか。前提としては、自社開発でのソフトウェア資産計上とする。

まずは、なぜ資産計上をするべきかなのか、ひいてはプロダクト開発にどう関わってくるかを考えていく。

なんでソフトウェアを資産計上しないといけないのか

私達が作ったソフトウェアというを資産計上しなければいけないかというと、端的に言えば、正しい財務諸表(B/S : 貸借対照表)のためです。あと普通に資産計上しないと脱税になるはず。(実際には、色々な資産巡りでのあれこれでの対策防止があるらしい)

B/Sの中で、固定資産という枠があり、ソフトウェアはその中の「無形固定資産」にあたります。細かいですが、ソフトウェアで計上できるものは確実に将来の収益や費用削減が見込まれるものになります。それ以外は、費用として計上します。(ただ、そもそも効果がないものをソフトウェアとして購入したり開発したりしないので、現実的にはほとんど資産計上して償却にするはず)

https://www.eurekapu.com/software

Tips. そもそも以前は、勘定項目に「ソフトウェア」がなかった。なのでいくら開発して成果物(ソフトウェア)を残しても、資産にならなかったそうです。なので、単純に開発コスト(エンジニアの人件費等)が費用として垂れ流していたそうです。

そもそも、昔は無形固定資産に「ソフトウェア」という科目はなかった。

なかったらどうだったかと言えば、「ソフトウェア」は全て経費であり損金だった。その当時の(今も大差ないが)のソフトウェア開発は、外注費(仕入)と給料(販管費)を払ったら終わりだった。それ以外には何も残らない。そして、その当時「ソフトウェア」というのは資産ではなかった。

「なぜ資産計上が必要なのか」の部分については、以下の記事がわかりやすかった。

記事から少し抜粋する。

まずは、ソフトウェアを資産計上しないと、どうなるのかを考えていく。

例えば、何か利益が見込めるソフトウェアをエンジニア3名で1年かけて開発するとする。1人あたりが年間1,000万だとして、人件費が1年で3,000万かかる。これを資産計上しなかった場合、単純計算でコスト3,000万のB/Sの費用がコストとしてかかってくる。

しかし、当然この3,000万のコストをかけて何もしなかったわけではなく、何かを作っているはずである。それがソフトウェアだとすると、「将来的に会社に収益をもたらすことが期待される」ことが前提として、きちんと財務諸表に「資産」として計上しなければいけない。

そうではないと何も価値を生み出さなかったことになる。ここまではなんとなくイメージが湧くと思うが、ではどういった風に計上すれば良いかの話になる。そのわかりやすい方式が「減価償却」という会計処理である。

減価償却とは

ソフトウェアにおける減価償却とは、ソフトウェアにかかる支出をそのソフトウェアが使用できる期間にわたって費用配分するというソフトウェアの資産計上方法。つまり、ソフトウェアという固定資産の購入費用を使用可能期間にわたって、分割して費用計上する会計処理です。業務に使用していて、かつ時間の経過とともに資産価値が減少する固定資産は減価償却試算の対象となる。

逆に価値が変わらないものは減価償却の対象外。

減価償却をする目的は、損益計算を適正に行うため。例えば、100万円の車を購入することを考えます。車を購入する前の利益が100万円あったとして100万円の車を購入してしまうと利益は0円になったりする。しかし、車は通常、来年も再来年も継続して使うことが多い。そうなると、100万円の車の費用を、初年度にすべて計上してしまうと、企業の損益状況を正しく把握できないことになります。そのため、車の全額ではなく、一定額あるいは一定割合を費用として計上する減価償却の考え方が必要となった。

これはソフトウェアでも同じだと定義されています。

耐久年数

耐久年数は、国税庁によると以下の定義らしい。

№5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数|国税庁

ソフトウェア実務指針を見ると、5年以内らしい。

21.自社利用のソフトウェアについては、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる

減価償却の方法を採用すべきであるが、一般的には、定額法による償却が合理的である。 償却の基礎となる耐用年数としては、当該ソフトウェアの利用可能期間によるべきであ るが、原則として5年以内の年数とし、5年を超える年数とするときには、合理的な根拠

に基づくことが必要である。

減価償却費の計算方法

減価償却の額を算出するためには、定額法と定率法について理解する必要がある。両方ともどういった方式で費用分配していくかの違いだけ。

定額法は、毎年一定を減価償却する方法です。(購入価額) × (定額法の償却率)が1年間での減価償却額。100万円の資産を10年間使うのであれば、定額法を使って減価償却費を算出する場合、100万円÷10年=10万円となる。

定率法は、毎年一定の割合ずつ減価償却をしていく方法です。100万円の資産を20%の定率法で減価償却費を算出する場合、初年度は100万円×20%=20万円です。2年目は(100万円‐20万円)×20%=16万円、3年目は(100万円‐20万円‐16万円)×20%=12.8万円となる。

前述した、この図は、定率法。一点の割合で引いて5年で償却済みにする。

ソフトウェアの分類

減価償却されるソフトウェアの種類にも様々考えられる。

自社で利用することを前提とすると、だいたいこの3つ。

  • 外から、ソフトウェアパッケージを買う。(SaaSを導入する等)
  • 外注して、ソフトウェアを作って納品してもらう
  • 自社のリソースで開発する。

それぞれの会計上のことについては、以下に書いてある。

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Masato Ishigak / DMM.com LLC / Division Maneger / Engineering Maneger