「組織のグロース」と「プロダクトのグロース」を相関関係を考える

Masato Ishigaki
Masato Ishigaki
Published in
8 min readJul 2, 2019

私たちが日々開発しているプロダクトをグロースさせるには、組織が強くないといけません。プロダクトを作っているのは私たちで、その多くはチ ームおよび組織で開発しています。今回は、その「組織 x プロダクト」という観点で、その両方をグロースさせるにはどうしたらいいかを見ていきましょう。

プロダクトのグロースフェーズは6段階ある

プロダクトの変化するフェーズは大きく分けると6段階あります。下図をご覧ください。

0→1
まずは、0→1です。このフェーズは、新しいプロダクトや機能を生み出していくフェーズです。組織の中で何を作るべきかをきちんと整理しながら、仮説の妥当性や市場の調査をもとに「本当にそのプロダクトはユーザーの課題解決」を行っているかを確認していきます。
まだ、利益も生まれておらず完全に投資している状態です。

1→10、1→100
そして、次に私たちがしなければならないことは、0→1のフェーズで作った「1」のプロダクトをグロースさせてことです。より、沢山のユーザーに使ってもらうことを目的にさまざまな施策や機能改善、機能追加を行っていきます。

ただし、場合によっては1→10の時点で、これ以上グロースすることは難しいとの判断で現状維持かクローズすることもあります。

100→100
ここはイメージしやすく、ある程度プロダクトがグロースしきった状態です。
利益や売上もある程度でておりこれ以上の成長は市場的にも難しいので現状を維持していくフェーズです。ここの今いるユーザーをチェーン(離脱・解約)させずに現状を維持することは以外にも大変です。

100→10、10→0
既にプロダクトがグロースしきっているあとは、基本的には縮小の一途をたどります。
組織的判断で、これ以上市場も大きくなる見込みはないと判断した場合には、さまざまな追加投資をやめていきます。

市場規模を理解する

上で述べてきたプロダクトの変化フェーズの「0」「1」「10」「100」がどのくらいの規模なのかを知る必要があります。どのくらいのユーザーに価値を出したら「100」なのか「10」なのかを考えなければなりません。それには「市場規模」の理解が重要になってきます。プロダクトのビジネスモデルによって、顧客セグメントや顧客ターゲットが変わってきます。

今回は、「市場規模」という言葉の定義をTAM、SAM、SOMの3つの概念を通して見ていきましょう。

まずは、用語の説明です。

TAM (Total Addressable Market)
対象の市場規模の中で実現可能な最大の規模。つまり、対象のビジネスモデルにおける総需要のことです。TAMを明確化することで、そのプロダクトにおけるポテンシャルが見えてきます。さらに既存の規模だけでなく、市場の伸び率なども可視化すると良いでしょう。市場規模が1兆円規模なのか、1億円規模なのかで参入するべきかどうかが変わってきます。

SAM(Serviceable Available Market)
SAMとは、TAMにおける総需要の中で、ターゲットにしている領域での需要のことです。TAMの中で獲得したい領域はどこか、対象としているユーザー属性を明らかにしていき市場規模を見ていきます。
できるだけ、TAM=SAMといったことにならないように領域を絞っていきましょう。
このSAMを考えることがプロダクトを投入した際にとても大事な観点になります。

SOM(Serviceable Obtainable Market)
最後にSOMです。
これは、実際にプロダクトを市場に投入したときに獲得したい領域の規模です。別の言い方をすれば短期的に獲得できる目標とも言えます。長期的に見れば、SAM全体を視野に入れているが、現状このプロダクトの価値ではこのくらいの領域が確保できますといった指標を「SOM」に置きます。

プロダクトの立ち位置を考える
私たちが開発しているプロダクトが世界中の全員に利用してもらうことは難しく、上で述べた6段階あるプロダクトの変化フェーズで、「10」「100」がどのくらいの規模なのか、売上はどのくらいで利益が
どのくらい出れば良いのか、ある程度考えておく必要があります。それによって追加投資をするべきか、プロダクトをグロースさせるべきかが見えてきます。

一方、市場へ投入しようとしているプロダクトが、膨大なTAMの中でSOMを取りにいくのか、そもそもTAMを拡大させるのことが目的なのかを考えることも大きな要素となります。

組織のグロースフェーズ~タックマンモデル~

一方、組織のグロースフェーズについて「タックマンモデル」という方法で見ていきましょう。

タックマンモデルとは、組織の進化フェーズを示したものです。

形成期とは、チームが組成されたばかりの状態で、まだチームメンバーのことをよく知らない状態です。ここのフェーズで特に必要となるのは「コミュニケーションの量」です。

混乱期。チームが組成され、個々が存在感を出して自己主張は出していきます。それがお互いの価値観が合わずに混乱や課題が浮き彫りになるフェーズです。

統一期のフェーズに入ってくると、チーム中で徐々にポリシーやミッション、ビジョンなどが定まっていき、組織として統一感がでてきます。

機能期になってくると、互いに助け合う姿勢が見えてきます。1+1が2ではなく相乗効果でチームとしても成長していっている形です。

「組織のグロース」と「プロダクトのグロース」の相関関係

本題です。仮説としては、以下になると思っています。

  • プロダクトを効率よくグロースさせるには組織が先にグロースしていないといけない。

なぜかというとプロダクトがグロースしてくると色々な「不確実性」が高くなってきます。

強い組織というのは「不確実性」に強い組織である

とよく言われている通り、プロダクト開発といった力がいる作業には、それを作る人たちが強くなければいけません。特に一人一人が全員強くなければならないわけではなく、組織力学を利用して相乗効果で強くなることが望ましいです。

パターン1. 組織のグロース -> プロダクトのグロースを迎える

これが今思っている理想です。仮に0→1のプロダクトを作るために組成されたチームの場合、0→1を構築する間に形成期、混乱期を乗り越えプロダクトをグロースさせる頃には統一期や機能期になっているパターンです。

パターン2. プロダクトが先にグロースしてしまう

これは、たとえば、プロダクトのリリースを最優先に行い2週間でサービスリリースからの、すばやく利益を出すためにグロースが求められているが、システムは可用性がなくスケールしづらい+ドキュメントなどない状態だと組織がグロースしていないと混乱を招き、組織がグロースしづらいです。

パターン3. 既にグロースしているプロダクトを引き継ぐ

これは、ある程度大きな企業だとありがちなM&Aなどで、成長していて出来上がっているプロダクトを社内で内製化するパターンです。チーム組成したタイミングで「10→100」にしなければいけない使命もありますが、利益も短時間で出さないといけないし、同時にチームもグロースさせないといけない。エンジニアにとっては、引き継ぐシステム構成やコードも場合によってはリファクタリングしないといけない。そのためグロースするために必要な施策がシステム依存性の関係で高速に実施できずにクローズする可能性もあります。

以上が、「組織のグロース」と「プロダクトのグロース」の関係性でした。組織の中で動いているとこの2つの相関関係は切っても切れない関係性です。

今回は、キモとなる「組織のグロース」の仕方については言及しませんでしたがどこかでまとめようと思います。

参考

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Masato Ishigak / DMM.com LLC / Division Maneger / Engineering Maneger