ぶっ潰れかけたフリーランスが、回復する過程で学んだこと:生産性・創造性至上主義への転換

Motoi Kawabata
innovate with
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13 min readNov 29, 2016

帰って来ました。
この11月に入ってから激務が続き、ちょっと心身ともにキャパを超えたり、ちょっとプライベートでも考えさせられることがあり、心身のバランスを崩していました。

そこから、クライアントの皆様や友人の皆様の温かい気持ちを頂き、1週間ほどミニマム稼働(というか、25日デッドラインの重要案件がいくつかあった為、その件への集中)とさせて頂き、金曜夜〜本日午後まで、久々の完全休養を頂いておりました。

関係の皆様には、お心遣いや様々な形でのご支援を頂きましたこと、心よりお礼申し上げます。
お陰様で心身ともに万全の回復を成し遂げることが出来、プロジェクトに関しても、何とか納得のいくものを期日通りに完遂出来ました。

この場で名前を挙げて感謝を、とも思いましたが、頂いたお気持ち・お寄せ頂いたお気持ちに重い軽いはないと思っております。
直接ご連絡を下さった方でなくとも、お気持ちを寄せて下さっていた方もいらっしゃるかと思いますし、敢えて名前を挙げるのも、却って届けるべき相手に届かなかったりという可能性も考えて、こういった形でのお礼とさせて頂きます。
(もちろん、ご連絡等頂いた方には、少しずつお礼のご連絡をさせて頂きます。)

お休みを頂いていた期間、色々考え事をしたり、本を読んだりしていました。
そこで、知的生産が求められる現代〜未来社会では、今回の私と同じ理由で心身を傷つけてしまうケースが増えてくるのではという直感があります。この記事では、私は大事に至らずに復活してきましたが、誰も望んでいないのに心身を病む人が1人でも少なくなるよう、今回起きたことや考えたことをご紹介できればと思っています。

お休みの間に読んだ本たち。食べ合わせならぬ読み合わせがよかったです。

そもそも、何が原因でぶっつぶれたのか?

直接的な理由は、といっても、あんまり直接的に書くのもアレなので(笑)、若干抽象度上げるとこんな感じかなと。

1.技術・物理的に私にしか出来ないタスクが重なった(and,そう思い込んでいた)
2.自他共に非連続の変化が起きた結果として、様々なキャパシティがついていかなかった
3.日々様々なご相談を頂く中で、「生産性」「創造性」至上主義になり切れていなかった

普段、innovate withって何してるの?

そういえば、ぶっつぶれた理由を書いても、普段の活動内容を前提として紹介せねば意味不明ですよね、ということでちょっとご紹介。

・屋号innovate with、形態はフリーランス。基本、全業務を1人でやってます。
・「未来をつくろう」「世の中をオモシロくしよう」という人・組織の新しい挑戦(新規事業・事業転換・加速等)の実行支援をしています。
・プロジェクトベースで複数のベンチャー企業・NPOの皆様(時に大企業の皆様も)とパートナーシップ契約を結び、助っ人外国人選手的にクライアントのチームの一員として参画する形をとっています。

もっと、提供しているサービスベースでいうと、全体観としては下記のサービスを行っています。

<innovate withが提供しているサービス(我輩はサービスである、名前はまだない・・・笑)>
1.事業コンセプト・企画を超高速試作することで、チームに共通言語・土台をつくり、変革機運を活性化
「課題認識」「解決したい課題/届けたい価値」「社会や事業の周辺環境」を超短期間で整理・可視化し共有ビジョンをつくる、弊社独自手法を用いた共通言語づくり
2.未踏領域に挑戦する為の安心安全な空気・場づくり
事業立ち上げ期&転換期に発生するチームの混沌や不安、場合によってはコンフリクト(衝突)に適応し、適度に学習棄却しながら、メンバー個々人がチームとしてつながる為のファシリテーション
3.研修や定型化されたコンサルティング等とは一線を画す「泥臭い変革力」の提供
特にクライアントの未経験領域や、現状突破に必要な領域の専門性・知見を実務の現場で提供し、推進すること

こうやってオフィシャルに言語化するのは初めてだと思います。
(え、今までどうやって仕事取ってたんですかっていうツッコミが聞こえてきそうですがw)

上記の3で実施したことを、全クライアントワークと自主事業を合算して改めて書き出してみると、かなり広範にわたっていました。

事業企画、組織開発、法人・アライアンス営業、パートナーシップ開発、マーケティング、広報PR、ITを活用した業務プロセス改善・コミュニケーション促進、WEBや動画等メディア制作、社会/非営利事業の資金調達、プログラムの現場運営、研修開発運営・ファシリテーション、スポット事業コンサルティング、キャリアメンタリング、基礎レベルの税務財務のアドバイス、そして懇親会コーディネート(一番得意?)。
その他関連業務全般。

いや、何屋ですかっていう話ですよね。笑
これまでのキャリアの中で、社内起業や、二足の草鞋でNPOの事業推進等、物事を前に進める為に必要なスキルについては一通り蓄えている状態で、プロジェクトを進める上でだいたいの壁は打ち破れる為に、多種多様な壁をぶち抜き続ける1年間を送っていたことになります。
サッカーで言うと、ボランチから前のポジションは全部出来る状態、いや、ゲームの状況によってはディフェンダーやゴールキーパーもこなしているような状況でした。

生産性・創造性を発揮出来る時間は有限である

「だいたいの壁は打ち破れる」

そうです。
が、大前提は、「自分の時間という資源を投入出来るなら」、です。

今となっては半分笑い話ですが、時間は有限であり、しかも、個人事業主の場合、一般論として、いかに個としての創造性・守備範囲・スピードが卓越していたとしても、大きな組織と違って、すぐに活動限界がやってきます。

「時間」といっても、1日24時間の中で「自分が十分に知的生産を出来る時間」は、更に限られています。
個人的な感覚ですが、身体のコンディションがよく、精神的な心配事が少ない状態で、8時間が限度ではないでしょうか。
(その8時間のなかでも、超創造性を発揮出来るのは数時間という印象です。これって身体性をメンテしたりすると伸ばせるのかな。)

こんな基本的なことに、いつの間にか無自覚になっていたのです。
今年3月に登壇した独立・起業に関するトークイベントで、
「Energy-basedの働き方」(自分が最も知的生産性を高められる状態の時を中心に働く)について、登壇者であり仲間である他の3人と議論しており、知的生産性についての示唆・理解があったにも関わらず、日々の経営やサービス提供のカオスの中で、いつの間にか「とにかく時間を突っ込んで物事を前に進める」というパワープレーが横行していたのです。

言うなれば、これは、
とにかくエネルギー弾を連射するものの、その爆炎で敵を見失うベジータ(そして背後に回られて吹っ飛ばされ、岩山に激突・・・)
ブラジルから緊急招集した闘莉王をとにかく前線に上げてロングボールを放り込む名古屋グランパス(そしてJ2へ・・・、本当に闘莉王は無念だったと思います。)
に近い状態であり、望まれる変化を作り出しているものではありません。
(ちなみにベジータも闘莉王も大好きです。ああ、こんなん書いてたら、ベジータが吹っ飛ばされるシーンと堀川りょうさんの声が勝手に脳内再生されて止まりません。笑)

大原則として、「人類に与えられた時間は等しく有限である」「人それぞれ創造性・生産性を発揮出来る分野は違い、またその創造性・生産性を発揮出来る時間も限られている」という概念(国際バカロレアでいうところのセントラル・アイデア的なものでしょうか)を理解する必要があるのです。
個人としても、組織としても、そして社会全体としても。

ちなみに、私は、新卒の時は製造業の世界にいました。
自動車部品のメーカーでサラリーマンやってたんです。
(最近会う人には、新卒起業組と思われていることすらあるし、自動車部品メーカー出身のフリーランスなんてかなりの希少種なので、衝撃だと思いますがw)

未だに、自動車を見ると懐かしい気持ちになります。(写真は、本文の主張とは関係ありません。)

製造業では、生産者の方の時間・資材をインプットすればするほど、アウトプットとして製品が出来上がります。
そして、製品を売ることによって収益が出て、会社が儲かり、社員に給料が払えます。地域社会への貢献も出来ます。
これが、製造業における生産性というものです。

そして、高度経済成長期の製造業では、「製品が売れる」ということの可能性が、現代よりもかなり高い確度で保証されていました。
(無論、厳密には保証なんてないんですが、敢えて。)

個人的に、ここがやっかいなポイントで、高度経済成長期をものづくりで乗り切った日本には、「時間さえ投入すれば生産性は上がる」という思い込み・刷り込み・メンタルモデルが染み付いているように感じます。

だから、不安や懸念が組織に生まれると、問題を解決したくなって、とにかく無数の会議が設定されるんです。
「なんとかかんとか検討会議」「ほにゃらら事業キックオフミーティング」「あれこれ問題事前検討打ち合わせ」などなど。

まあ、そこまでは百歩譲って良しとしても、やっかいなのが、「関係者で集まって時間を投入すれば良い」と思っていることであり、「会議で答えのない問いに対する結論を出すには、知的生産をする為の仮説や、生産性・創造性を引き出す空気と関係性づくりが必要であることを骨身に染みて理解していない」ことなのです。

・人類に与えられた時間は等しく有限である
・人それぞれ創造性・生産性を発揮出来る分野は違い、またその創造性・生産性を発揮出来る時間も限られている
・特に個人事業主の場合、連続エネルギー弾は基本NGであり、創造性・生産性の向上と発揮に注力しなければ、死を招くのみ

こんなことについて、自分の心身にダメージを負い、そこから回復する過程で、文字通り骨身に染みて理解し、学びました。
今更かよって話ですが、ちゃんとログにしておきたいと思ったし、誰かの助けになるならと思い、書き残しておくことにします。
(ドラゴンボールの、「サイヤ人は死の淵に立つ度に強くなる」というのは、「真理は、肌身に染みてようやくその本質を理解出来る」ということなのかも、と思いました。)

働き方のシフト

そこで、来月でinnovate withは1周年を迎えますが、思い切って働き方・サービスの提供の仕方を変更します。

・クライアントの事業状況を鑑みて、自分が最も生産性・創造性を発揮して貢献出来る部分に集中特化して介入。もっと言うと、自分が手を動かす必然性のない仕事は引き受けない。(前提として事前合意)
・但し、サービス提供の必要上、時間的な観点、生産性を発揮する観点で私1人で担うことが難しい部分に関しては、外部委託含めた体制や採用(スタッフ・インターン等)、業務フロー改善提案や、自社でプロジェクトチームを組成して支援。(単に断るのではなく、建設的にやるのがミソ)
仮説構築、コンセプトづくり、アジェンダ設定等、知的生産の時間を、工場の生産計画のレベルで業務予定に組み込む。
(もちろん、「MTG事前準備」のような形でタスクとしては管理してましたが、このプロセスと、こいつが生む提供価値にもっとこだわります。多くのクライアントさんで好評頂いている部分なので)。
・上記の考え方を大切にしつつ、仕事・人生的に投資になる案件については、頭と心をオープンにしておく。

つらつら書きましたが、自社の強みを活かせ、かつクライアントの生産性・創造性向上に貢献出来るとこに専門特化し、そうでない部分は体制の提案and/or自社チーム組成でやっていく、という話です。

加えて、私的な部分でいくと、下記を徹底しようと思います。

・「innovate withの川端であることを休む時間」を設定する。
・人からの頼まれごとも、無理はしない。
・不要不急のアポについては急いで対応しないorオンライン打ち合わせの活用。
・物理的な時間が捻出出来ない時も、心はいつでもともに。
・来期はちゃんと旅行とか行く。その為にメリハリつけて稼ぐ、時間を取る。(≠時間を作る。だって、時間は作れないんですから。)

そして、大阪にもちゃんと帰る!!笑

とはいえ、MAXやってみてよかったなという話

若干危ない橋は渡りましたが、この経験をしてよかったと思っています。

この1年振り返るには少しだけ早いですが、お休みを頂いている間、この1年取り組んだことと結果を少し振り返ってみました。

全身全霊の「超直接支援」をまさに体現し、ステークホルダーの意識と行動変容にとにかくパワーを割いた結果として、世の中を変え得るプロジェクトを世の中に送り出せたり、「社会を変える事業の事業開発・営業」という観点ではちゃんと財務KPIまで動かすことが出来たり、素敵なクライアントさんの仕事を新しい人たちに伝えていくことも出来始め、つながっていない人・コトをつなぐことが出来たりと、身体1つではじめ、続けてきたサービスとしては、控え目に見ても及第点ではなかろうかと思っています。

来期は、innovate withの取り組みを、もっと持続的で、もっと生産性・創造性を高めていきたいと思います。
その為に、インターンやプロジェクトスタッフ制度、他のフリーランスとのチーム化等、検討していきたいと思っています。
無事に1年経ちそうで、サービスの方向性や勘所もだいぶ掴めてきたし、WEBサイトもそろそろ作ろうかなとか(どうやって仕事取ってるねんって話ですよねw)、1周年感謝祭もしたいなーとか、色々考えてます。

今回のレッドゾーン事件での学び、本当に豊かでしたので、ログとして残しておけたらなと。
次回は、「潰れかけている自分を、潰れ切る前にいかに感じ取るか(燃え尽き症候群の事前感知)」「潰れかけた時のペースコントロールの仕方」「休む時の哲学と休み方」あたりについて、書いてみようかなと思っています。
(これまで、会社員時代も含めて何度かレッドゾーン経験してるので、共有出来るものがあれば。)

最後に、完全に余談ですが、社会を変えていったり、非連続で進化をもたらすプロセスには、組織体制も進化させることが必要です。
今回、私が燃え尽きかけましたが、挑戦者の燃え尽きをなくし、確実に世の中が変わるシーンを見たいという想いで、「セオリー・オブ・チェンジ」を日本に広げるクラウドファンディングに挑戦中です。
もしよければ、上記アンダーライン部分から、Readyforのプロジェクトページをご笑覧頂ければと思います。

では、また〜!最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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Motoi Kawabata
innovate with

My mission code is innovate with. Supporting mission driven innovators. 1986年大阪生まれ、渋谷区代々木上原在住。人・組織・社会の変容デザイン事務所 innovate with代表。