メディアの進化論

LINEの田端さんとかnanapiのけんすうとか尾原さんとかが散々っぱら書いてるし、明らかにそちらの方が洗練されてるんだけど、自分の整理のために改めて自分の言葉で書いておきたいと思う。

まずメディアをwikipediaで調べてみるとこう書いてある。

メディア(media)とは、情報記録、伝達、保管などに用いられる物や装置のことである。媒体(ばいたい)などと訳されることもある。記録・保管のための媒体とコミュニケーションのための媒体とに大別することができるが、両者には重なりがある。

物や装置などの媒介手段をメディアだと定義している。

うーん、これがなんというか僕にはしっくりこないんです。

僕は、メディアは人だと思ってる。

もう少し噛み砕くとメディアは人格を持っており、キャラクターを持ち、話者として話す時に何らかのコンテキスト(文脈)を想起させる存在だと思っている。

で、コンテンツというのは、そのメディアが発信する内容なわけなんですが、コンテンツがメディアをメディアたらしめるんだと思うんです。こうやって定義するとメディアのように思われているものがメディアじゃなかったり、逆にメデイアでないものがメディアに見えてきたりします。

例えば、東京カレンダーは東京カレンダー的な人格を持っているように見える。少なくとも色や匂いがある。(好きとか嫌いとかも含めて)

逆に、読売新聞は一般的にはメディアなんだろうけど、ストレートニュースそのものはコンテンツっぽくない。それらが集まって、どういうサイズで取り上げられているか?どんな優先順位で取り上げられているか?はコンテンツに見えてくるし、読売新聞をメディアにしているように思える。

そう考えると、インターネット上に切り出して配信される読売新聞の記事はコンテンツっぽくないし、メディアっぽくなくなると僕は思ってる。

報道などのストレートニュースそのものは、意志が入っていない客観性があった方がいいから、そこに配信者をメディアたらしめる要素が薄いのかもしれない。

一般的にはメディアっぽくないと思われている任天堂ですが、僕自身は任天堂の発信するゲームに一連の文脈を感じます。シンプルなルールで、老若男女が楽しめるマリオやゼルダや、Wiiシリーズやスプラトゥーンなどに任天堂のキャラクター(個性や特徴)を感じることができます。

これらのコンテンツが別の媒体に進出しようが一環した文脈を感じることができ、それらを発信する任天堂にメディア的たらしめるんだと思います。

最近僕が、最もメディア的だなーと思っているのが、LDHです。LDHは、皆さんご存知EXILEを擁する、一般的に見ると芸能プロダクションなんかにカテゴリーされるんでしょうけど、僕には一環した文脈を感じさせるコンテンツを配信するメディア企業に見えるんです。

EXILEや3代目J soul brothersや、僕の大好きなE-girlsなんかのアーティストのマネジメントを通じて、TVや映画やライブなどの媒介手段を通じて、LDHらしい文脈を感じられるコンテンツを流通させています。

細かいことは解説しませんが、コンテンツには一環して文脈や背景など、その主体のキャラクターを浮き出させる色が必要だと僕は思っています。一時的に面白いとか、瞬間的にバズるとか、そうじゃなくてその中につながりを感じることができないと、その主体をメディアたらしめることができないと思うんです。

なので、僕のメディアの定義は、それがキャラクターを持ち、それが配信するコンテンツに一環した文脈や哲学があり、その発信主体の性格を浮き彫りにするものじゃないかなーと思うんです。

単なる媒介手段をメディアと考えると僕は判断を誤ってしまうと思うんです。なぜなら、媒介手段自体はあまり色がないものなんです。じゃあインターネットはメディアなの?まあ一般的にはメディアなんでしょうけど、インターネット自体は、割と無個性的。でも、そこには沢山のメディアとそれをメディアたらしめるコンテンツがひしめいています。

紙の新聞はメディア的なんだけど、インターネット上の新聞はメディアっぽさが失われる。

一方、キュレーションメディアと言われるもの自体には僕自身はそんなに性格を感じないんですが、News picksの中にいるpickerにはメディア性を感じる。

簡単に言えば、擬人化できればメディアだし、擬人化しづらければメディアっぽくないんじゃないかなーと思うわけです。

そう考えて定義してみると、どんな企業だってメディアになれるはずだし、逆にメディアになりづらい企業もありますよね?

まあ、最近流行りのコンテンツマーケティングというのは、企業そのものをメディアたらしめる、色のあるものがいいと思うんですけど、それを語るとまた長くなるので、また今度。

メディアは読者と年をとるか?読者を卒業させていくか?の2択を迫られる

そんな風にメディアを捉えていくと、メディアをやってると自覚してる企業には、上記の問いにぶち当たります。

読者に卒業を強いるメディアで、分かりやすいのは小学館が発行している「小学1年生」なんかが究極じゃないかなと思うんです。だって、小学2年生になったら「小学2年生」という別のメディアに卒業させていくわけですから。

ファッション誌にも、卒業させていくメディアがありますよね。代表例は光文社が出してる女性誌ですかね。JJ(10~20代)、CLASSY.(30前後のOL層)、さらにVERY(30代の主婦層)、STORY(40代の主婦層)、HERS(50代の主婦層)と最初に獲得したユーザー層を引っ張っていくという戦略ですね。

ベネッセさんのビジネスも似てますね。たまごクラブ、ひよこクラブから鉄板のしまじろう率いるこどもチャレンジ、進研ゼミと移行させていく。

私が以前いたリクルートも、ほとんどが卒業させるメディアでした。

リクナビ、ゼクシイをはじめ、人生の一瞬だけを常軌を逸した通過率で獲得し、当たり前に卒業していっていただく。

こういったメディアは、全員が経験するであろう人生のあるタイミングを抑えるために、時代の流れとともに変わり続けるものの根本的には同じ課題や感情に寄り添う必要があります。

「小学生ってなんなんだろう?」

「どんな服がオシャレなんだろう?」

「子育てってどうやるんだろう?」

「就職活動ってどうやるんだろう?」

「結婚式ってどうやるんだろう?」

といった、初心者に向けた不安解消に向けた内容を提供していくことになります。

一方、卒業せずに読者と一緒に年老いていくメディアというものが存在します。実は、卒業メディア以外のほとんどがこれに当たってしまいます。僕が思うに、新聞やテレビなんかが実はこれに悩んでるように思えます。

この読者と一緒に年老いてしまう問題というのは極めて厄介です。なぜならメディアの作り手自体が年老いていくからです。

自分たちがこれまで成功だと思ってきたパターンが、世代を超えられないのがほとんどだという残酷な真実がそこにはあるような気がします。

これにうまく対応しようと試みているのが、AKBだったりEXILEだったりするのかなと考えています。メンバーを卒業させて、常に新鮮なメンバーを入れ、そのメンバーの新陳代謝とともに、古い読者(ファン)を卒業させて、新しい読者(ファン)を入れていきたいという狙いが見えてきます。

少年ジャンプなんかもコミック誌も、常に作品を入れ替えながら、読者を新陳代謝させていくのと似ています。

この場合は、卒業するメンバーとそのファンをリテインする器があった方が良い気がしますね。コミックの場合、単行本や愛蔵本などでそこをリテインする器を持っていますし、アーティストの場合もディナーショーとかいろんな器を持っています。

メディアの作り手が自分たちは、きちんと読者を卒業させていくメディアなんだと自覚しているか、どうかが重要な気がします。

この自覚は、とても難しい気がします。

なぜなら常にターゲットを知り続ける必要があるからです。過去の成功体験は通用しなくなることがたくさんあり、何よりも常に新しい読者を獲得し続ける必要があるからです。

ユーザーアセットを失い続けていくというのは、正直恐怖です。ただ、それが当然なんだという認識に立たない限り、卒業メディアは作れないんじゃないかと思うんです。

卒業メディアは、多くの場合作り手自体も卒業してく必要があります。残酷ですけど。

じゃあ必ず作り手が卒業しないといけないかと言われるとそうとも言い切れないのが面白いところです。例えば、アンパンマンのやなせたかし先生は、ずっと一貫して子供に向けてコンテンツをつくり続けました。

これはこれで、凄く難しいことですが不可能というわけではないのです。

さらに言えば、卒業しないメディアがマズイかというとそうとも言い切れません。代表的なのが、矢沢永吉さん。もはやファンと一緒に年齢を重ね、そのファンの子供世代やさらにその次の新しい世代を獲得することができているケースです。

最近公開されたスターウォーズなんかも同じかもしれませんね。私よりも少し上くらいの世代が熱狂的に愛するコンテンツが30年という時を経て新しいファンを生み出す。そんな事例だってあるわけです。

ただ、やはりそこに必要なのは、一貫性かなと思うわけです。

ある特性の世代やターゲットを一貫して狙ってコンテンツを供給し続け、読者やファンを新陳代謝し続ける卒業メディアか?

もしくは、読者やファンと一緒に時間を重ねていく年老いるメディアか?

これを自覚的にコンテンツをつくり続けないと、メディアがメディアで居られる賞味期限というのは想像以上に短い。というのが、僕自身がR25というメディアで仕事していた時に考えていた話。

あなたがつくっているメディアはどっちですか?