多重CFのRules&Hacks

Taro Inuro Kawai
イヌロマニアックス
12 min readDec 24, 2014

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(この記事は #ingadv2014 の25日目のエントリーです)

皆さん、INGRESSのこのロゴは何を表していると思いますか?

はい、もちろん多重CFですね。INGRESSすなわち多重CFであることがこの件からも確定的に明らかです。INGRESSをプレイするからには多重CFを実践しなければなりません。メダル関係無いとか実績にすらなってないとか、そんな些細なことは多重CFの美しさの前には口にするのも愚かなことです。もしINGRESSに第三勢力が登場するとすればそれは多重CFを信奉する集団であることに間違いないでしょう。ハイル多重ジーク多重

すいません少し興奮しました。

ともあれINGRESSを構成するルールはひとつひとつがシンプルに保たれたまま慎重にバランスが取られ、結果として多重CFは良質のリアルタイムパズルゲーム(それもリアルフィールドでの)となっています。ここではそれらのルールから幾つかをピックアップして、それがプレイにどのような影響を与えているのか、を少し掘り下げて見ていきたいと思います。サマリーは以下の通りです。

Rule#1「内包されるCFは一番大きいものだけが生成される」

Rule#2「CFに沈んでいるポータルにキーは刺せない」

Rule#3「ひとつのポータルに刺せるキーは8本まで」

Rule#4「Hackは5分間隔で4回まで・キーの出る確率は80%程度」

Rule#1「内包されるCFは一番大きいものだけが生成される」

多重CFerにとって最も重要なルールです。例えば下の図のように、ABCとACDが既にあるところにD→Bとリンクを貼った場合、生成されるCFはどうなるのでしょうか。

ABDとBCDの両方が生成される?されない?

幾何学的にはD→Bが繋がることで、小さいBCDと大きいABDの二つが成立します。しかしINGRESSにおいては、リンクが張られることで内包関係にある複数のCFが同時に成立する場合、一番外側のCFのみが生成されます。よって、この場合生成されるのはABDになります。

多重CFはこのルールを逆手に取った遊びです。左の図のように順番にCFを敷き詰めていくと、得ることができたはずのBCDは失われてしまいます。右の図のように先にABDを生成し、その後ACBDを分割することで、可能な全てのCFを得ることができます。言い換えれば、多重CFとは対象のポータル群から構成可能な全てのCFを生成するチャレンジなのです。

前者はBCDが生成されていない

このルールの確認を実際に行ってみたのが以下のスクリーンショットです。左の状態ではA→C・B→C、A→D・B→D、A→E・B→Eの6本のリンクは張られていますが、CFはひとつもできていません。ここでA→Bを繋ぐとどうなるか。真ん中のスクリーンショットで分かるとおり、最も大きなABCだけが生成され、壊されない限りABDとABEを作ることはもはやできません。DとEはCFに沈んでしまっています。CFに沈むと何が問題なのか、は次のRule#2で説明します。

なお余談ですが、n個のポータルで構成可能なCFの最大数は、スタイルを問わず1+(n-3)*3個になります。

Rule#2「CFに沈んでいるポータルにキーは刺せない」

多重CFの一番の基礎となる二重のCFは、下図のように最後にACBDをACDとBCDに分割して完成します。ただこの場合、CのポータルにDのキーを刺してC→Dとリンクを張ることはできません。既存のCFの中にあるポータルにキーは刺せない、というルールがあるためで、この場合CはABDの中に沈んでいるからです。刺そうとすると「Portal is within existing field.」というエラーメッセージが表示されます。

D→Cは張れるがC→Dは張れない

このため、多重CFの最後のリンクは必ず外側のポータルからになります。そのために、この場合であればCのキーは必ず1つは残して置かなければなりませんし、Dのリンク余地も1つ以上は残して置かなければなりません。これについては次のRule#3で解説します。

また、CFを構成するポータルはそのCFの中とはみなされません。このため、非常に紛らわしいですがCFの中のように見えて実はそうではないポータルというのがときどき存在します。例えば下の図では、Aは一見CFに沈んでいるように見えますが、実はABC、ABE、ACD、ADEの共通の頂点になっているだけです。なので、A→Fとリンクを張れば労せずしてCFを2つ生成することができます。こういう状況は実はけっこう遭遇するので、積極的に探してみましょう。

なおふたたび余談ですが、このルールは当初は存在せず、2014/1/24に新たに追加された模様です(https://plus.google.com/+Ingress/posts/SpJkyRpRTqh)。個人的にはゲーム性を高める良い仕様だと思います。

Rule#3「ひとつのポータルに刺せるキーは8本まで」

ポータルには実はキーを刺せる余地というものがあり、ひとつのポータルには最大で8本までしかキーを刺せません。普通にプレイしている分には不自由に思うことはまずありませんが、多重CFerにとってはこれがときどきクリティカルな罠となります。

例えば下図のように、多重CFを広げていくとよく既存のCFに「ぶつかる」ことがあります。この場合、ABDを作ったあとEを利用してEBDを作ろうとするわけですが、もしEに既に6本のキーが刺さっている場合、残る余地は2本分しかありません。これを、キーを持っているからといってお気楽にE→B、E→Dと張ってしまうと、最後E→Aを張ろうとしたときに「Portal can’t support more links.」と言われてしまい泣きを見ることになります。Rule#2で説明したように、CFに沈んでいるAからはA→Eというリンクは張れないため、必ずE→Aの向きである必要があるからです。この場合、B→EかD→Eという具合にどちらかを逆向きに張る必要があります。キーを使われる側には数の制限はありません。

Eに8本キーを刺してしまっている場合、E→Aを繋ぐすべはない

ところでその「今何本刺さっているか」の判別方法ですが、ポータルをよく見るとエネルギーが流れ込んで来ているように見えるリンクと、反対にエネルギーが出て行っているように見えるリンクの二種類があるかと思います。このうち、流れ込んできているように見えるリンクが、そのポータルにキーを刺して張ったリンクです。下の例では左側2本がポータルにキーを刺して張ったリンク、右側の1本がこのポータルのキーがどこか他のポータルに刺されて張られたリンクです。つまりこのポータルにはあと6本キーを刺すことが可能ということが分かります。

ここの概念は非常に理解しにくいのですが、イメージとしてはこんな感じです。ポータルとキーは見えない糸で繋がっており、常にポータルからキーに向けてエネルギーが流れようとしている。キーを他のポータルに刺すとそこに向かってエネルギーが流れ込みはじめる。差込口は8つしかないが、キーは無限に発行することができる。あるいは電源とラインというイメージでも良いかもしれません。

なお、この実際のスキャナ上のアニメーションの向きは、本記事の図で示している矢印とは逆方向なので注意してください。本記事の図では「矢印の根元が現在地のポータル、矢印の先が刺そうとしているキーのポータル」という形になっています。

Rule#4「Hackは5分間隔で4回まで・キーの出る確率は80%程度」

多重CFはとにかく多くのキーと時間が必要なものと思われがちです。しかし実のところ、基本となる4重のCFであれば、キーは6つのポータルそれぞれに2個づつあれば作成できます。2個ということはHackが最低2ターンで済むということで、Hack間の300秒はどうしようもないものの、限りなくそれに近い時間で多重CFを実現することができます。

時系列に追って行ってみましょう。下のようなポータル構成だったとして、まず6つのポータルのキーをHackして集めます(「1/1」は「1個所有/延べ1個収集」を表しています)。

初期状態。6つのポータルのキーが1つづつ集まった状態

キーを集めたら、まずコアとなるCFを作成します。リンクを張る順番は特に問いません。内側のポータルのキーはこれでゼロになります。

コアのCFを作る

次にコアのCFから外に渦を巻くようにリンクを伸ばしていきます。まだCFは張りません(というかキーが無くて張れません)。この時点で最初に集めたすべてのキーを使い切ります。

外郭のリンクを張って行く

ここまでを300秒で終わらせていればちょうどポータルのクールダウンが完了するので、再び全てのポータルのキーを集めます。

キー集め2ターン目

2ターン目のキーを使っていよいよ多重CFを張って行きます。内側のCFから順に、外の頂点に向かってリンクを張ります。実のところこの4重のCFであれば、内部を分割するリンク(右側画像のリンク)は後からでも構いません。ただRule#2にあったように、CFに沈んだポータルからはリンクが張れないので、先に一番外側を張ってしまうとキーが足りなくなったりするので注意が必要です。

多重CFの作成

このとおり、すべてのポータルのキーを2つづつ使って、12リンク・10CFを作成することができました。ポータル間の距離にもよりますが、15分ほどで可能なのではないでしょうか。ちなみにこれだけで16256AP、これはリゾネータのdeploy分を含めていないので、実際にはこの4重CFを作成すればINGRESSを始めたばかりのエージェントでも15分でLV1からLV3に上がることになります。

ここからさらに多重CFを広げて行く場合は、この4重のCFをコアのCFにとして同じ手順を繰り返します。つまり、このサーキュラー型の多重CFは何重になってもポータルのキーがそれぞれ最低3つづつあれば作成できるということです。体感ですが、ポータルをHackしてキーを得られる確率は75〜80%といったところなので、3という数値はつまり得られるキーの数の期待値でもあります。すなわち「ポータルをHackして多重CFを無限に広げて行ってくれたまえ」というのがINGRESSのルールに込められたメッセージであるわけです。嗚呼、なんと美しいのでしょうか。

以下は都内某所で実際に実践してみた例です。実はよくよく見ると一方向に綺麗にサーキュラーが周っているわけではなく、リンクが交差してしまうために一部のCFの向きが逆になっているのが分かります。このように、ある程度のフレキシビリティがあるところもサーキュラー型の多重CFの利点のひとつです。

以上、クリスマスイブの夜にこんな記事を書いているのも我ながらどうかと思いますが、多重CFの魅力を少しでも感じて頂けたのなら幸いです。他にも「レゾネータが8本刺さってないとリンクは張れない→お題リンクを防ぐために7本で寸止めにする」だとか「リンクは交差できない→外のCFを閉じる前に内外判定を行う方法」だとかいろいろネタはありますので、また何かの機会にでも。

※初出時、Rule#1は「内包されるCFは一番小さいものだけが生成される」となっていましたが、大きいものだけが、の間違いです。お詫びして訂正します。(12/25 11:00)

※同じく、Rule#2の「CFを構成するポータルはCFの中とはみなされません」の図と説明が誤っていたので修正しました。(12/25 17:30)

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