映画「ザ・サークル」を観て改めて考えるSNSとの付き合い方

2017年11月10日(金)に公開される映画「ザ・サークル」。先日、ブロガー向け試写会にご招待いただき、ひと足先に観てきました。

原作は、ピュリッツァー賞ノミネート作家デイヴ・エガーズが2013年に発表した小説「ザ・サークル」。SNS社会の光と闇を描いて全米に一大センセーションを巻き起こし、ベストセラーになりました。その映画化ということで、試写会の前から楽しみにしていました。

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映画「ザ・サークル」のあらすじ

全世界に30億人のユーザーを持つ、超巨大SNS企業「サークル」。誰もが憧れる企業に採用された新入社員のメイ(エマ・ワトソン)は、ある事件をきっかけに、創始者でカリスマ経営者であるイーモン(トム・ハンクス)の目に留まる。

自らの24時間をすべて公開するという新サービス「シーチェンジ」の実験モデルに抜擢され、日々奮闘するメイ。瞬く間に1000万人を超えるフォロワーを獲得し、アイドル的な存在になる。人気を背負い、更なる新サービスの公開プレゼンに臨むメイ。だが、そこには思わぬ悲劇が待ち受けていた。そして、メイは「サークル」の重大な欠陥に気づき始めるが……。

エマ・ワトソンとトム・ハンクスの演技に思うこと

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主演はエマ・ワトソン。田舎に住み、親孝行で真面目、でも日常に決して満足しているわけではないメイが、「サークル」に入社してインフルエンサーへと変わる様子を見事に演じています。

心の中には常に、「認められたい」「私にはもっとポテンシャル(可能性)があるはず」という思いを抱えているメイ。だからこそ、「サークル」に入社して、会社のやり方や雰囲気に疑問を抱きつつも、イーモンや同僚に言われたことに素直に従い、結果を出そうと奮闘します。

自らの生活をネット上に公開するとどうなるのか、家族や友だちなど大切な人たちのプライバシーは守れるのか。一度立ち止まって考えていれば、未来は違っていたのかもしれない。でも、自分の考えや気持ちに正直なメイは、そうすることをしません。それはある意味すがすがしくもあり、でも危なっかしくもあり……。物語のラストまで、メイから目を離せませんでした。

そして、「サークル」のカリスマ経営者ベイリーを演じるトム・ハンクス。スピーチではわりと簡単な英単語を使って、同じメッセージを何度も繰り返したり、いつも同じような恰好をしていたりと、大手SNS企業のトップのイメージそのまんまでした。

一見、穏やかで取っつきやすいのですが、常にポーカーフェイスで何を考えているのかいまいち分からない。でも、彼のスピーチを聴いている従業員みんなが「サークル」に惚れ込んでしまう。どういうわけか人を惹きつける、カリスマ性がある、そんな翳りのある役で、ストーリーに薄気味悪さをもたらしていました。

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SNSとの付き合い方について再度考える

実は私、SNSを日常的に使い始めたのはごく最近、もう少し具体的に言うと今年の初めごろだったりします。昨年の秋までは新聞社に勤めていたので、個人的な見解を述べにくかったというのが主な理由です(週刊紙の編集者をしていたので、締め切りに追われてSNSを利用する余裕がなかった…というまったく別の理由もある)。

Facebookだけは大学時代にアカウントを作っていて、その頃は頻繁に利用していましたが、社会人になってからは完全に放置。私の中で、世界中にいる友だちとつながりを保つための手段、くらいの位置づけになっていました。

意識が変わったのは、今年に入って翻訳やライティングの仕事を本格的にするようになってから。書いた記事をシェアしたり、仕事のオファーをもらったりするにあたり、もっと自分という存在を知ってもらう必要があるなと感じ、TwitterInstagramのアカウントを作って、放置していたFacebookも定期的に更新するようになりました。

ただ、いきなりSNSを使い始めたことで、悩みや不安がいろいろと出てきました。SNSを更新しなきゃ!というまるで強迫観念みたいなものに囚われたり、知り合いの投稿をエンドレスに見てしまったり。もしや私、SNS依存症に陥り始めている…?!と思い始めた矢先、「ザ・サークル」が公開されることを知り、これは観ておかねばと思っていました。

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観て思ったのは、この映画はSNSを肯定も否定もしていないんだな、と。ただ、SNSとの付き合い方をよく考えずに利用すると、自分、そして周りの人たちにどのような影響があるのか、どんなことが起こりうるのか、問題提起をしているように感じました。

映画の中で起こることはいささかエクストリームではあるけれども、たとえば、SNSの何気ない投稿が知らぬ間に誰かを傷つけたり怒らせたりしてしまった、あるいはその逆を経験してしまったことは、皆少なからずあるのではないでしょうか。いま一度、「投稿」ボタンを押す前に内容をしっかりチェックしよう、と心に誓いました。

映画のポスターには「いいね!のために、生きている」と書いてあって、実はそれも「あぁ、観たいな」と思ったきっかけでした。「いいね!」はもらえると嬉しいし、もらえないと気になる。私の自己評価の一つの基準になりつつあって、そんな自分に疑問やら危機感やらをちょうど持ち始めていたので。

実際は「いいね!」ボタンが出てくることはなく、メイが視聴者のリアクションを確認しながら配信するライブチャットのようなスタイルだったこともあり、キャッチコピーから想像していたストーリーとは多少ずれがありました。ただ、視聴者から、メイが映しているものとはまったく関係のない、「眠い……」とか「1週間前のミルクを飲んじゃった!」みたいなコメントがたくさんあり、よりリアルさや人間らしさが感じられて、それはそれで面白かったです。

SNSは相手の顔が見えない世界。だからこそ、自分なりの考えやスタンスをしっかり持って利用すべきだ、と映画「ザ・サークル」を観て改めて思いました。

Japanese-English food/travel/lifestyle writer & translator. Lived 11 years in U.S., 5 years in Thailand. 海外居住歴16年の日英バイリンガル翻訳者/ライター。元記者/編集者。Loves 食/住/旅/写真/宝塚歌劇/猫

アメリカに11年、タイに5年暮らした、日英バイリンガルライター/翻訳者がつづる、食、旅、ライフスタイル、、その他もろもろブログ