幾何学の発展

9年生、6月の数学は基本作図を行いました(10・11年生は昨年)。その後、解析作図(物の設計図など)をほんの少ししました。

古い幾何学への入り口というより、定規とコンパスによる作図で無理数が眼で確かめられること、手で感じられること。すなわち王道「解析幾何学」の頂きに登るためです。

生徒はボクの意図を理解してくれ「今どの辺?」と数学山の合目を聞いてくれます。

さて、古い幾何学と書きましたが「ユークリッド幾何学原本」いわゆる「原論」の話をしましょう。

古代ギリシャのアテネにプラトンが創設したアカデミーがその始まりです。「幾何学を知らざるもの、ここに入るべからず」とアカデミーの入り口に刻んでいたそうです。約400年後、アレクサンドリアで有名なアルキメデスとともに勉強していたユークリッドが執筆しました。「原論」13巻からなっていて、前書きなど一切なく定義・公理・公準・定理・証明が続くのみです。

1巻は最初に点と線と面の定義から、次のように始まっています。

1)点は部分をもたないものである。
2)線とは幅のない長さである。
3)線の端は点である。
4)直線とはその上にある点について一様な線である。
5)面とは長さと幅のみを持つものである。

読むと分ると思いますが、その頃すでに三平方の定理から分っていただろう数式・集合による点・線・面のアプローチはありません。

その後、点からの距離を中心にアプローチした射影幾何学、ベクトル幾何学、図形を統合・分裂させた位相幾何学、そして点・線・面の行き来を自由にした微積分を中心と解析幾何学、どれもが「原論」にチャレンジする形で生まれ発展してきたような気がします。

その意味で「原論」は今も燦然と輝いています。

数学は芸術。亡くなられた数学者岡潔氏の名言です。数学の発展は多分にその時代の情緒・気分を映し出しています。先の原論による定義は、その頃の論理学の色彩が濃いものです。

シュタイナー教育に射影幾何学が取り入れられたのも、ゲーテ(本来数学者です)を始め思想家に影響を受けたものかも知れません。自分(点)と世界(面)の距離を測る・確かめる・慈しむ。情緒(恋とか)と情緒(愛とか)がフィットしたのかも。考えるだけでワクワクします。

噴火湾の眺望に例えて言えば、9年生はイコリ岬、10・11年生は駒ヶ岳が見える所まで登りました。9年生は難所を驚くほど易々と、10・11年生は振り返りながらちょっぴり道草を、そんな1学期でした。

今年の豊浦も暑そうです。高等部のイチゴが、先生方の夏バテ防止の一助になればうれしいです。

横田挺一

※この投稿はいずみの学校オフィシャルサイトに2009年7月に掲載されたものを再掲載したものです。