ソードアート・オンライン: ラノベアニメの金字塔でアニメ入門

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7 min readApr 18, 2018

アニメ初心者はまず「ソードアート・オンライン」

©︎ 川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

日本のアニメは世界的にも有名で、宮崎駿のジブリや、君の名は。でその名を一躍有名にした新海誠などの影響により、Japanese Animeの認知度は急速に高まっています。

そしてアニメといって忘れてはならないのがライトノベル(ラノベ)を原作としてアニメです。ここではラノベを元にしたアニメ「ラノベアニメ」の今最も人気のあるものの一つソードアート・オンラインを紹介します。

古典や純文学(芥川賞や直木賞などの小説も含むが)などと比べて、ラノベはまだまだ世の中の認知的には格式高いものだとは言えません。マンガと比べても劣勢かもしれない。

しかしそれがコンテンツの質を保証しないわけではないと思うのです。ラノベやそれを原作としたアニメは、日本が誇るハイクオリティなコンテンツだと言えます。ストーリーやキャラクターとともに作り上げる独特の世界観や圧倒的なドラマを持ち、教養だって見出される。それがラノベであり、ラノベアニメです。

個人の趣味がさらに多様化する今後の世の中で、「ラノベ」「ラノベアニメ」というジャンルは確立され、より広範囲の支持を得ていくでしょう。ただ歴史が浅いだけなのと、あとは好みの問題というところでしょうか。

とにかく最近のアニメの魅力を存分に伝えるため、「ちょっと息抜きにアニメを見たいけど、最近のおすすめな何だろう?」「小説や漫画を読むのはあまり好きじゃないけど、ストーリーにどっぷり浸かりたいなあ」という人向けにこのソードアート・オンラインという作品を紹介します。ラノベならではのテーマである、異世界もの(要は主人公が現実世界とは異なるパラレルワールドで物語が進む作品)の先駆けです。

ソードアート・オンラインとは

©︎ 川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

言わずと知れたラノベアニメ(厳密にはオンライン小説として始まる)の金字塔。設定はVRMMORPG(Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)という、VRを使った仮想空間没入型のゲームの中である。そのゲームの名前がSword Art Online(SAO)であり、五感を通してその世界で生きていく。

主人公「キリト」やヒロイン「アスナ」を含む10,000人のユーザーがSword Art Onlineにログインし、突如ログイン不可になってしまうところから物語は始まる。ゲームをクリアしないとログアウトつまり現実世界へ戻ることはできない。さらにゲーム内での死は現実世界の死を意味する。フルダイブ技術を持つヘッドマウントデバイス「ナーヴギア」を装着し、ゲーム内でゲームオーバー、つまり死ぬとナーヴギアが電磁パルスを発生させ脳に影響を及ぼす。

序盤から食い入るように見てしまったのを覚えている(今でいうと結構ありがちな設定になっているが。最近でいうと2018冬アニメ ベスト5: ぼく的レビューでも紹介したデスマーチからはじまる異世界狂想曲もそう)。

昨年にも続編劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-が映画化され、2018年春期のアニメクールではスピンオフ作品ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインが放送されている。SAOの勢いは未だとどまるところをしらない。

何がいいのか

まずソードアート・オンラインの何が素晴らしいのかという点だが、やはり仮想世界という設定とドラマ溢れるストーリーである。キリトとアスナというメインキャラクターを中心にSword Art Onlineの舞台である巨大な天空城「アインクラッド」で、現実世界さながらの生活を繰り広げていく。食べるし、寝るし、もちろん恋愛だってする。

人の死だってリアルに存在する。村上春樹がノルウェイの森で死生観を以下のように語ったことが、突き刺さるなと感じる。

死は生の対極としてではなく、その一部として存在している

まあ具体的なストーリーの内容はあまり触れないが(見てほしいので)、とにかく物語に没頭しまう。

キリトとアスナの関係を見ていてもすごく自然で心地いい。お互いに弱いところを補完し合って生きていく様が描かれる。2人はゲーム内での戦闘に関しては強いが、ある面ではもちろん弱い。まだ10代の若者なのだ。

そこでアスナが壁に直面したときにはキリトが守るし、逆もまた然りである。必ずしも男の「ヒーロー」が女の「ヒロイン」を守るというのではない。男が強くて女がかよわいみたいな従来のイメージは、おそらく男は工場(外)で働いて、女は家庭(内)を守るという産業革命以後の「役割分担」のステレオタイプから来てると思うが、お互いが守り合って生きていくいのは、今風の概念である。

アスナのキリトに対する優しさ、料理している様子はそれ単体として非常に魅力的なものではあるが。

現実世界とは何か。仮想世界とは何か。

©︎ 川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

ソードアート・オンラインを見ていると、現実世界と仮想世界って何が違うのだろうと思ってしまう。そこで体験したことや過ごした日々の記憶はもちろん現実世界にも通じる。初めはログアウトできなくなった恐怖があって、一刻も早くゲームをクリアしたいとみんなが思っているはずだった。しかし少し時間が経って、アスナが興味深い考えを示す。以下は10話目の中のアスナとキリトの会話だ。

アスナ「ちょっとだけ夢見てた。元の世界の夢。おかしいの。夢の中でアインクラッドのことが、キリト君と会ったことが夢だったらどうしようって思って、とっても怖かった。よかった。夢じゃなくて。」

キリト「へんなやつだな。帰りたくないのか?」

アスナ「帰りたいよ。帰りたいけど、ここで過ごした時間がなくなるのはイヤ。わたしにとっては大事な2年間なの。今ならそう思える。」

つまりアスナは仮想現実だろうがそこで過ごした時間は大事なものだと思っている。このままずっとこの大事な人との時間が続けばいいのにという想いさえ感じる。帰りたいとは言っているが、重要なのは現実世界か仮想世界かという話ではなく、自分が何を体験・経験するか、どのように生きてきたか(生きていくか)ということである。

今後ぼくたちの現実世界でもこのようなフルダイブ型の技術というのは開発される可能性は十分にあるし、現時点でも仮想世界はすでにある。そもそもネット上でアバターを持ったりオンラインゲームをして、そこで現実世界のお金をつぎ込んだり、1日の多くの時間を使ってのめり込んで現実世界より充実感を覚えている人はすでにいる。

そういう人たちにとってメインに生きていく場が現実世界である必要は必ずしもない。テクノロジーの発展により、生きていく場所は今後多様化してくるので、「仮想現実と現実世界はどちらが重要か」という価値観の議論は意味をなさない。人によりけり、である。

以上いろいろ考えたくなるようなソードアート・オンラインの魅力でした。ただアニメそのものとして単純にストーリーやキャラクターというコンテンツを楽しむだけでも十分に価値のある作品だと思います。

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