企業文化をつくる「最初の一歩」

Japan Digital Design, Inc.
Japan Digital Design Blog
7 min readSep 9, 2020

Japan Digital Designのカルチャーづくりに向けた取り組み

この記事では、三菱UFJフィナンシャル・グループの戦略子会社であるJapan Digital Designにおいて会社のカルチャーや組織開発を担うコーポレートカルチャー室の取り組みを紹介します。

Japan Digital Designとは

Japan Digital Design(以降JDD)は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以降MUFG)の内部組織だったイノベーションラボが、2017年10月にスピンアウトして設立されました。

「金融の新しいあたりまえを創造し人々の成長に貢献する」というミッションのもと、「金融ビジネス」「テクノロジー」「体験デザイン」の機能を融合したチームを社内に組成して、新規事業アイデアの創出から、AI研究、技術実証実験、社会実装までを行っています。

設立時点では社員数は十数名でしたが、社内にAI 研究所(M-AIS)を設立し、新規ビジネス開発部門、そしてテクノロジー&デザイン部門を立ち上げ、2年間で100名弱の会社へと急拡大しました。現在、金融業界だけでなく、IT企業、コンサルティング会社、事業会社、スタートアップ企業、教育機関など様々な領域と分野から、ビジネスプランナー、エンジニア、データサイエンティスト、デザイナーが集まり、新しい金融サービス創出に取り組んでいます。

企業文化はどんな戦略にも勝る。

「Culture eats strategy for breakfast」(文化は戦略を食う)。ピーター・ドラッカーの有名な言葉です。企業にとって「戦略と同じくらい(もしくは、それ以上に)文化が重要である」こと表現しています。この言葉は、企業の組織拡大時や事業変革の際に、文化の形成が大事であることを説明する際によく引用されます。

企業文化の重要性については、現在成功を収めているスタートアップ企業から大企業まで、様々な企業で語られています。 例えば、Airbnbでは、会社の設立当初から「企業文化を軸にした経営」を実践しています。自社の企業文化を守るために、Employee Experience部門が中心となり、採用プロセスから社内活動、オフィス設計に至るまで細部にわたって徹底的にマネジメントをしています。

大企業の事例としては、デジタル改革推進で有名なスペインの銀行BBVAが、グループ全体でのデジタル改革を支える重要な要素は、テクノロジープラットフォームの構築と、「企業文化の変革」であると自社のホワイトペーパーのなかで語っています。

JDDは立ち上げから2年、試行錯誤を経て事業戦略はだいぶ明確になってきました。一方で会社の文化においては、社内で大切にする価値観(Value)を掲げているものの、メンバーの専門性やバックグラウンドが異なることや、毎月新しいメンバーが加わっていることもあり、まだまだ会社としてひとつの文化が形成されているとはいえない状況です。

金融ビジネス、テクノロジー、体験デザインを融合し、自律的に新たなサービスを創り続けるためには、経営戦略にもとづいた事業推進に加えて、会社が目指す文化を醸成することが必須であると考えています。

企業文化は見えない資産、無形資産である。

企業文化づくりには当然ながら相応の投資が必要です(人も時間もお金も)。そうなると当然「企業の文化づくりに投資する必要はあるのか」「そんなことに会社のリソースを割く必要があるのか」という意見も出てきます。そのひとつの回答になると思っているのが「無形資産」に対する考え方の変化です。

近年、企業の価値を生み出す源泉として有形資産ではなく、目に見えない資産、「無形資産」の重要性が認識されるようになってきました。企業文化(組織文化)やそれを支える仕組みや人材は、企業活動や企業ブランドの基盤となる企業の「無形資産」として、その価値や意味が議論されるようになってきています。

現在の会計制度ではその価値を一定の尺度で試算することは難しいですが、今後、企業文化に関わる投資が企業を評価する基準の一つになるかもしれません。

文化づくりを担うチーム、体制をつくる。

JDDの社内に、文化づくりを担う組織としてコーポレートカルチャー室(以降CC室)が組織化されたのは今年2020年の4月です。それ以前は、社内のデザインチーム(Experience Design Team)が中心となって、従業員体験(Employee Experience)をより良いものにしようという観点で、社内ツールやオフィス環境の整備を行っていました。

しかし、デザインチームメンバーが本業であるプロジェクト業務で忙しくなると、社内向けの活動の優先度は下がってしまい、どうしても後回しになってしまいます。また、デザインチームだけで全社横断の活動を推進することは限界があり、会社戦略の一部として文化づくりを推進する必要性を感じていました。

そこで、CEOと議論した結果、戦略的に組織開発や会社の文化づくりを推進するチームとしてコーポレートカルチャー室(以下CC室)をCEO直下に設置することになりました。また、CC室は、従業員体験を設計するという観点からCXO(Chief Experience Officer)が取りまとめを行い、全社横断チームとして各部門と連携できる体制としました。

社員が自然に取り組み、自然に共有する。

CC室では専任の担当者と各部門からの兼務者がチームとなって、社内の情報連携や組織開発の推進を行なっています。まだ組織化されたばかりということもあり、全社横断でのプロジェクトの進め方やチーム内での役割分担は手探り状態ではありますが、少しづつ社員同士のつながりや部門間の情報連携は良くなってきていると感じています。

JDDの全社横断での取り組みでは、デザインチームが媒介者の役割を担っています。具体的には、社内のUXデザイナーが社内ワークショップのファシリテーションを行って対話を促したり、ビジュアルデザイナーが社内アンケートやヒアリングの結果を可視化して分かりやすいかたちにして情報共有を行っています。

できるだけ多くの社員が自然なかたちで全社横断の活動に参画し、周りの社員の考えや想いを自然なかたちで知ることができるようにしていければと思ってます。文化づくりに向けての企画を立案し推進するだけでなく、全社員が会社の文化づくりに関わる仕組みや場を整えることもCC室の重要な役割だと考えています。

まずは、最初の一歩。

企業文化の重要性をトップマネジメントが認識して、企業文化づくりを推進する組織やチームをつくり、全社横断の活動として自然に取り組める仕組みや場をつくっていく。まずは、JDDの文化づくりに向けて最初の一歩を踏み出したところです。

現在、企業文化の基盤となる創造的な働く環境づくりとして、「つながる」従業員アプリや、「多様なプロジェクトに対応できる」オフィスなど、全社横断での取り組みが具体的なかたちになりつつあります。

当然のことですが、これらの取り組みが企業文化として昇華するにはまだまだ時間がかかります。全社員が対話を続けながら、一歩づつ全社横断の活動を積み重ねることが、社内のコミュニケーション活性化に、社員間の創発促進に、会社のミッションや価値観の浸透に、会社文化の醸成につながり、そして、その文化が社員や会社にとって大切な資産となると思っています。

JDDでは、ミッションや価値観を共有するとともに、社員一人ひとりの能力を引き出し、個性を活かす創造的な「働く環境づくり」に取り組んでいます。
https://japan-d2.com/culture

Chief Experience Officer
Head of Corporate Culture, Head of Experience Design
at Japan Digital Design, Inc.

Takashi Asanuma(浅沼 尚)

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三菱UFJフィナンシャル・グループから2017年10月にスピンアウトして設立。「金融の新しいあたりまえを創造する」というミッションのもと、「金融ビジネス」「テクノロジー」「体験デザイン」の機能を融合したチームを社内に組成して、新規事業アイデアの創出から、AI研究、技術実証実験、社会実装までを取り組んでいます。