写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, 色彩を増幅させた冥王星の写真 使用機器: Ralph/Multispectral Visual Imaging Camera (MVIC).

冥王星の赤い地表、その謎がついに解明された。

なぜ赤みの強いエリアがあるのか?それは太陽光がメタンの氷に影響を及ぼすから。

Ray Yamazaki

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By Ethan Siegel

冥王星を最初に探険するというミッションのなかでも本当に最高の瞬間でした。太陽系でも冥王星やその衛星はそれまでミステリアスでしたので、ニューホライズンズ号の探索が教科書をすべて書き換えると思われたのです。 – アラン・スターン

色彩を増幅させて見ると、冥王星の氷に満ちた世界は、単調で控えめな色調だとはとても言えないのがよく分かります。

写真の著作権: NASA/JUAPL/SwRI, 天然色での冥王星とその衛星カロン 使用機器:the Long Range Reconnaissance Imager (LORRI) instrument and the Ralph instrument.

また、こちらの天然色では衛星のカロンがくすんだグレーなのに対して、冥王星はもっと赤みが強いですね。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, 色彩を増幅させた冥王星とその衛星カロン 探査機からの観測 使用機器: Ralph/Multispectral Visual Imaging Camera (MVIC).

色彩を増幅させると、冥王星の至る所でこのような赤みの強い地域が存在することが分かってきました。

写真の著作権t: NASA/JHUAPL/SwRI, 平原でかろうじて色調の差異を感じ取れる。「でこぼこ」は窒素の海を漂う氷のシャーベットによる。

起伏に富んだ平地が広がる冥王星のハート型の地域は、氷のシャーベットのような山や蒸発が進む窪地によって削り取られた窒素の氷によって平らな表面が形成されており、ほとんど色調に変化がありません。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, 冥王星のハート型地域のすぐ外側には色のヴァリエーションが認められる。

そのハート型の地域の外れにはもっと山がちな地域が広がっていて、地形も色調もわずかに違いが出てきました。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, ハート型の地域(右下)と山がちな地域(左上)。色彩に顕著な差が認められる。

氷の山からなだらかな窒素の海へと移り変わるにつれて、これら2つの地域の境界付近では違いが顕著に出てきます。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, 冥王星の山に散らばるクレーターには色彩の多様性が見受けられる。

しかし、最も顕著な色彩の多様性はクレーターが山脈に沿って存在する辺りで見られます。そこでは窒素と水が太陽光で昇華する一方で、メタンの氷は全く異なる反応を示しています。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, ニューホライズンズ号から撮影されたフルサイズのイメージ。赤道沿いの色のヴァリエーション。

すなわち、太陽の紫外線はメタンをイオン化し、その一連の作用によってソリンが生成されます。そして、そのソリンが赤色の炭化水素化合物としてそこらじゅうに沈殿するのです。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, 冥王星の「ハート」の右手側の少し下にはより暗い(より赤い)地域が広がる。

また白く見える地域は、真新しい白色のメタンの雪がソリンに富んだ地域を覆っているのです。

写真の著作権: NASA/JHUAPL/SwRI, ソリンに富んだ地域に積もるメタンの雪

次回、私たちが冥王星を訪れる時は、見える色彩が今とは大きく異なっていることでしょう。

Mostly Mute Mondayは写真やヴィジュアルで天文事象のストーリーを200ワード以内で伝えています。

この記事は、Forbesに最初に掲載されました。もしよろしければ私たちのフォーラムにコメントを残してください。また、私たちの初めての本:Beyond The GalaxyPactreon campaignをチェックしてみてください。

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