次世代のデザイナーが学ぶべきなのは「コード」よりも「ビジネス」

デザイナーこそ独善的なデザイン中心主義に陥ってはいけない

Ray Yamazaki
4 min readJan 28, 2017

近年多くの企業が求めるもの、それは素晴らしいデザインで自社を牽引してくれる人財だ。そういった企業では「もっともっと社内にデザイン思考を取り入れろ」と日頃から言われていて、デザイン中心主義の経営に乗り換えたがっている。

だが、企業がデザイナーに相談に乗ってもらいに行くと、繰り返し繰り返し彼らは「クラフトマンシップ」について聞かされる。ブランドとしての一貫性、磨き上げられたデザイン、コードも書ける近頃のデザイナー、それにプロトタイプやテスト、そういったデザイナーが重視する「技巧(craft)」について聞かされるのだ。

これは間違いではない。デザインにまつわる必須のスキルや方法論だと言えるだろう。だが、ビジネスをサポートする最善の方法を知るデザイナーという立場としては、まずは「何がビジネスを成功に導くか」に注目することから始めなければならない。

そのため大抵の場合、まずはクライアントのビジネスについて深く理解するところから始めるのが良いだろう。すると、「技巧」が重要になってくる場面とそれを強調するのが行き過ぎな場面の区別が出来るようになってくるはずだ。

一方でデザイナーはシンプルで本質に迫るやり方でビジネスの問題を解決出来る存在だと思われている。だからこそ、深い洞察に富んだ会話を通してビジネスの根本原則にまつわる価値ある提案を出来れば、デザインの提案をするにあたっても説得力が増すのだ。

現状

自分たちが決めたことがクライアント企業にどれだけ大きなインパクトを与えうるか真摯に考慮するデザイナーも増えてきた。概して、ユーザーのリサーチや分析を大切にするデザイナーの姿勢は、発言に信頼性を付与する役に立つ。

また、デザインを大切にする企業、そして才能に恵まれたデザイナーたちが、Airbnb、Pocket、Facebook、Google、Slackといった現在最も勢いのある企業のコアとなる価値に極めて重要な影響を与えてきたのも私たちは目にしてきた。

こういった企業が成功したのは、1つ1つのピクセルがどう見えるかといった瑣末な問題を気にするのではなく、それぞれの企業が本当に必要としているのは何かといったものの方に強い問題意識を持ったデザイナーがいたことが大きいのではないかと私は考えている。

何に集中すべきか考え直す

そうするとビジネスにデザインがインパクトを与えていくために今後私たちはどうしたら良いのだろうか?

ひょっとするとMBAを取るのが良いのかもしれない(私の周りのMBAホルダーは全員活躍している)し、もしくはもっとシンプルなやり方の方が良いのかもしれない。

マーケットの現況について営業チームに話を聞いたり、なぜ注文がいつも1日遅れで届くのか出荷係に確認してみるのも良いだろう。

第1四半期(Q1)の見通しを読んで、当該四半期のキー・イニシアチヴと取り組んでいるCSSのリファクタリングが何の関係もない事を知るのも良いかもしれない。経済学の夜学に通ったり、夜遅くに最新のSketchのプラグインを試す代わりにファンドレイジングやキャップテーブル(資本政策表)がどんなものかググるのも良いかもしれない。

もしくはビジネスの大原則を学ぶのに時間を使うべきかも。例えばビジネスモデルの選び方やチーム・マネジメントの仕方、競合する分析結果をどう扱うか、見通しをどうやって立てるかといったものについて。

それともCEOやVPが直面している問題について学び、それを解決するためにデザインを活用すべきなのだろうか?不眠になるほど彼らが悩む諸問題について理解を深め、彼らの問題の解決に手助けをすべきかもしれない。

未来

出来の悪いデザイン体験を世に送り出そうと言っているわけじゃないんだ。デザイナーは前へ進み続け「技巧」を拠り所にし続けなければならない。もし私たちデザイナーがそれを止めてしまえば、誰も後に続かなくなるからだ。

だが、同時に私たちのクライアントのビジネスと彼らのビジネスの成長に何が必要か学び始めよう。

それが出来れば彼らに対してもっと影響力を持てるようになるし、もっとインパクトのあるプロダクトをクライアントとそのプロダクトのユーザー双方のために作り続ける事が出来る。

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