#3 異世界の大広間ー有明駅(東京都)

時刻は、午後6時を回っている。

豊洲駅発新橋駅行きの「ゆりかもめ」上り列車から、5〜6人の男女が改札を抜けていった。りんかい線への乗り換えか、それとも此処が帰る場所なのか。およそ人家の見当たらない、このまちが。


高架にある有明駅からは、周囲の景色が一望できる。
高速道路を眼下におさめ、すぐそばには国際展示場(東京ビッグサイト)もある。そこにはライトを光らせ走る車や、夕方まで展示を見ていた来場者の波など人の気配は濃厚に感じられる。だが、それはあくまで生活の一部としてそこを利用する人だ。「そこに暮らす人」ではない。


駅から降りてすぐ目に留まる巨大な病院と、道路を覆うゆりかもめの太い水色の鉄骨が、何となく不安な気持ちを煽る。道も建物も綺麗だが、それが余計に居心地の悪さを誘発する。

どうも、「広すぎる・大きすぎる」空間にいると人は落ち着けないらしい。
大海原・大草原・砂漠。人工物で言えば外国の映像で見る宮殿の大広間もそうかもしれない。これらの中に1人身を置いたとき、抱くのは感動よりむしろ心もとなさではないだろうか。まちもそれに然り、だ。

スケールの大きなまちは、身の丈にあっていない感じがしてゆっくりとしていられない。まるで巨人が住む世界に、小人の自分が迷い込んでしまったような感覚だ。普通にそこを歩いていても、何となく場違いな気分になってしまう。

せき立てられるように、天空の旅へと戻ることにした。

訪問日:2016.9.2