ベトナムでWeb開発する時に知っておきたい20のポイント

初の訪問で発見した事をつづります

石井@ハノイ長期出張中です。

元はと言えばシリコンバレー滞在中に、

ベンチャーバブルによるプログラマー人件費高騰を目の当たりにし、

例えばRuby on Rails開発者の年収平均が1000万円というサンフランシスコでは、

とてもプログラマーを雇えないなと感じた事から、

ITに強く人件費の安いベトナムは気になっていました。

弊社内にCTOは必要ですが、

CTOの部下となる開発チームは中長期的に日本の地方もしくはアジアの人件費の安い都市に構えないと、

会社の固定費がかかりすぎます。

今回はベトナム・ハノイに2週間滞在し、

様々な発見がありましたのでリスト化したいと思います。

海外の人件費の安い地域にWeb開発を外注する事をオフショアといいますが、

今回の出張中に回らせていただいたオフショア開発会社さんは下記の通りです。

エボラブルアジア

フランジア

リケイソフト

OMI NEXT

SETA INTERNATIONAL

ソルパック

1.数百人規模の若い開発会社がごろごろある

”うちは2013年創業で、現在社員300人で、創業者グループは27歳です”といった大きな規模の話を、色々な所で聞きました。

日本だと、”えっ?成長スピード速すぎだし数字間違ってるんじゃない?”と言われそうですが、

発展真っ只中のここベトナムでは現実の事例としてごろごろ転がっています。

現場で実際に数百人規模の開発チームを見ると、

迫力がすごいです。

2.エンジニア月給は12万円程度

中級スキル程度のWebエンジニアが実際に受け取っている給料は、

月収12万円程度です。

ベトナムの平均月収が2.5万円、

ハノイ市内の平均月収が5万円なので、

かなりのエリートであり、

高給取りですよね。

ちなみにフィリピンの平均月収4万円、

タイの平均月収は9万円です。

3.人材管理会社を通すと20–30万円程度

上記に挙げたようなオフショア開発会社さんを通して発注すると、

エンジニア1人あたり月20–30万円程度課金されます。

オフショア開発会社さんの利益率は50–60%程度と思われますが、

ある意味人材派遣の業態に近いので、

日本の人材派遣会社の利益率の相場50%程度を考えても、

妥当なマージンだと思います。

逆に、オフショア開発会社さんにマージンを渡さずに直接現地エンジニアを雇用しようとすると、

会社法・税法・福利厚生・社会主義の壁などへの対応が大変で、

かえって予想外のコストがかかってしまいます。

オフショア開発会社さんは手数料分のバリューはある訳です。

2.国民の平均年齢28歳

街を見ても、

開発会社社内を見ても、

とにかく皆若いのに驚かされます。

理由としてはベトナム戦争が終わったのが1975年、

人口増はそれからですから、

日本と戦後のベビーブームが30年ずれているのです。

日本の平均年齢は40歳で、

やはり歳を取っています。

ベトナムの開発会社は、

現場のエンジニア達は20代前半で、

職場の雰囲気は大学の様で、

福利厚生パーティーでも全員でプールに飛び込むなど、

はじける若さがとても印象的でした。

この点もITビジネスにぴったりだと思います。

3.英語はベトナム英語

ベトナム英語は、聞き取りにくいので有名です。

ホテルのフロントでも、

“ディカ!ディカ!”と言われて何回聞いてもわからないので書いてもらったら、Discountの事だったり。

“リ!リ!”と言われて意味不明でよく聞いたらListの事だったり。

ベトナム人はベトナム語の癖で子音を発音しない事が多い為、

上記の様な言い回しが発生します。

Skype Meetingはちょっと不安です。(笑)

また、

書く時もベトナム語の言い回しにつられた英語の表記ミスもある様です。

4.日本の大手ネット企業は積極的にベトナム開発を利用している

社名を挙げると問題がありそうなので書きませんが、

みなさんのご存知の日本の大手ネット企業の多くは、

ベトナムで開発していると考えていただいて間違いないと思います。

日本の本社で技術上の意思決定をし、

決まったコーディング要件をベトナムチームでこなせばかなりの節約になります。

例えば日本で年収700万円のエンジニアチーム30人を、

全員ベトナム開発チームに移管して年コスト@240万円/人になれば、

全体で1.4億円/年の経費削減となります。

さらに、ベトナムチームは言ってみれば派遣社員的存在なので、

2–3ヶ月前に日本側から告知すれば、

必要な際何のリスクもなく人員削減が可能です。

5.エリートたちは皆25歳で起業している

ハノイ工科大学がベトナム北部では理系トップ大学ですが、

その中でもエリート達は、

新卒で就職したとしても3年で辞め、

皆Web開発の受託などで起業し、

どんどんビジネスを大きくしているそうです。

ITはご存知の通り起業資金がほとんど必要ないので、

普通に勤めたら月収5–10万円、

創業者として成功したら可能性無限大、

ベトナム経済はばんばん成長中、

という環境だと起業が多いのもうなづけます。

裏を返せば、日本の新卒学生が安定を求めるのは、

会社員の給料がそこそこ良く、

日本経済の成長が止まっているからかもしれません。

6.国全体でIT人材育成に力を入れている

日本とベトナムが共通しているのは資源が無いところです。

資源がなければ人材を売るしかない。

世界的に見てリターンが大きい職業はIT系。

社会主義なので政府と教育機関、受け皿となる企業の連携が取りやすい。

という事で、ベトナムは国を挙げてIT人材の育成に力を入れています。

例えばハノイ工科大学と立命館大学・慶応大学の交換留学生の提携や、

ハノイ西部に広がるIT特区での免税制度(起業や外資系企業誘致目的)、

といった事例が挙げられます。

7.開発会社の夜逃げやトンズラもある

海外、特に途上国では当たり前ですが、

詐欺や夜逃げの話も沢山あります。

Web開発だとシステムの中身やサーバーを外注先に握られてしまうと、

ビジネスの主導権を開発会社に渡すことになります。

騙されて、開発の途中でコーディングを投げ出されて夜逃げされても、

途上国の警察や裁判所は十分に対応してくれませんので、

ベトナムに開発を依頼する際には、

信頼できる人たちか、

会社情報は現場の現実と合っているか、

経営状態が傾いていないか、

しっかり確認してから取引をはじめましょう。

8.ブリッジSEは不要

ブリッジSE必要という方の意見も理解できるのですが、

あえて僕の意見を述べさせて頂くと、不要だと思います。

ブリッジSE(=システムエンジニア)とは、

ベトナムの開発会社において、

日本とベトナムのブリッジ(架け橋)となって、

日本のクライアントからの指示や設計図を、

ベトナム語に翻訳し、

エンジニアチームをマネジメントする職務です。

確かに翻訳係は必要なのですが、

問題は窓口がブリッジSEに一本化されることで、

ブリッジSEがエンジニアチームの実際の進行の遅れなどネガティブな情報を隠しやすい傾向が立場的にある事です。

更にブリッジSEは別経費なので、

エンジニアとは別に30–40万円/月の経費が発生します。

弊社は英語のサービスを立ち上げようとしているので、

英語で直接エンジニアにメッセージを送ろうと思います。

こうすれば、ブリッジSEの人件費もかかりません。

9.通貨高と人件費高騰で他国と競合している

ベトナムのインフレ率は年2%とそれほど高くないものの、

2011年 1JPY=0.0035VND(ベトナムドン)だったのが、

2015年 1JPY=0.0055VNDになっており、

下記グラフの通り円に対してベトナム通貨の価値が1.6倍になっています。

仮に月給2,000万VNDで一定とし、

日本円での2,000万VNDの価値を計算すると、

2011年は11万円で済んでいた月給が、

2015年には18万円に高騰してしまっている状況です。

加えて人件費の絶対値もベトナムの好調な経済に支えられて年々伸びつつありますので、

もっと安価な人件費を求めてバングラデシュでの開発チームを作っている会社もあります。

インドにはINFOSYSというGoogle/Facebook等の世界企業のアウトソーシング開発を一手に受けるオフショア開発のトップ企業もあります。

10.しっかりしているのは女性

20代前半の頃の僕自身がどんな感じで働いていたかというと、

全然しっかりしていませんでした。。

やはりベトナムの開発会社でも一緒で、

20代前半のエンジニア男性が多い職場の雰囲気は、

まだ子供っぽさが残っていて、

真面目にバリバリ働いているというよりは、

適度にサボりながら、ゆるく働くといった牧歌的な感じでした。

では現場をゴリゴリ仕切っているのは誰かというと、

主に既婚者・ママさんで構成されるベトナム人女性のマネージャー達です。

根性が座っていて、

時に年下の男性エンジニアを叱りつけて働かせているそうです。

日本の各業界でも、プロセスを管理する業務は、

男性より理性的な女性が行った方が上手くいくと、

僕自身の経験から思います。

これは世界各国共通なのではないでしょうか。

11.現場は95%男性エンジニア、デザイナー少数

ベトナム開発会社の現場の男女比は男性95%です。

一部の会社さんに、女性デザイナーがいましたが、

技術職はほぼ100%男性エンジニアで構成されていると言っていいでしょう。

デザイナーはほぼ皆無です。

やはり日本的なクリエイティブや、

欧米的なクリエイティブは、

ベトナム人に出すのは難しいようで、

デザイナーは日本側で用意する事をお勧めします。

12.真面目ではにかみ屋

ホテルやレストランでも感じましたが、

ベトナム人は非常に人当たりが良く、

親切・まじめで笑顔がソフトです。

例えば中国は、

地域やコミュニティによっては無愛想だったり、

お金をしつこく要求する(文化が拝金主義なので)人がいますが、

ベトナムではチップを受け取らない人もいますし、

飲食店でぼったくられる事もまずありません。

この辺りの文化の根底が日本と共通していて、

お互い仕事がやりやすいのだと思います。

(注:ハノイは緑と白以外のタクシーはよくぼったくるそうです)

13.社会主義だが情報の遮断はない

同じ社会主義の中国は、

共産党体制維持のため反対意見がネットで拡散されないように、

海外の情報を遮断しているので、

Google/facebook/twitterは公式には使えません。

ベトナムは社会主義でも緩やかなので、

そういった情報の遮断が全くなく、

皆スマホでfacebookにはまって、

Googleで情報を探しています。

英語さえ読めればシリコンバレーをはじめとした最新の技術情報に触れられる訳で、

これはITの発展の為に非常に良い事だと思います。

ここから番外編:

14.iPhoneが大人気

品質を気にする国民性だからだと思いますが、

スマホはiPhoneが圧倒的人気です。

最新機種を持っている人も多いです。

一般の人が持っているiPhoneはUSD100で中国から手に入る流出品が多いらしいですが。(アプリの使用など制限がかかっている様ですが、見た目はちゃんとしたiPhoneです)

同じ東南アジアでも、

先日フィリピンに行ったときは、

Androidの格安スマホが人気だったので、

トレンドの違いが伺えます。

因みにベトナム出張されるときは空港でSIMカードを買うと良いでしょう。

データ通信無制限、30分の通話付きのSIMカードが10USDで買えます。

15.消費国としてはまだまだ(偽物天国)

欧米のファッション製品をベトナムに売りこめないか、

というミッションも僕はあったので、

小売店を廻って市場調査もしたのですが、

アパレルに関して言えば販売市場が非常に限られていて、

街にはアパレル縫製工場からの流出品・偽物が溢れていて、

例えば日本から正規の物販店が本格進出するのはまだ早いのかと思いました。

イオンモールや、

ロッテモールなど大型物販商業施設もハノイにはありますが、

クオリティは要改善で客もまばらで、

盛り上がるのは平均賃金が月収10万円に近づいてからだと思います。

16.韓国のディベロッパーが目立つ

韓国もITを国策としている点や、

韓国が中国とあまり仲が良くないからだと思うのですが、

ハノイのIT特区や物販の地域では、

韓国系の高層ビルやショッピングモールが目に付きます。

日本の事もベトナム人は好きなのですが、

どちらかというとODAで道路や橋を作ってもらった事を恩に感じているようです。

17.ランチは100円で済む

地元のフォーの専門店に行けば、

100円前後で非常に美味しい食事にありつけます。

下記、NomadListをご覧ください。

欧米のバックパッカー達は月の経費総額580USDで生活できています。

僕も2週間の長期出張できていますが、

お金は全然使っていません。

出張者向きの街だと思います。

18.ハノイは娯楽がない

ハノイは首都ではあるのですが、

政治的な施設が多く、

観光スポットや歓楽街は少なく、

真面目に仕事するにはぴったりな街です。

南部ホーチミンが開発会社の数自体は多いようですが、

北部ハノイの方がおっとりとした人が多く仕事しやすいなど、

カルチャーの違いがあります。

ハノイの地元起業家と交流したい方は、

コワーキングスペースToongに行かれると良いと思います。

とてもオシャレで大きな施設で、

毎週交流会イベントをやっており、

僕も創業者の方と仲良くなりました。

19.バイクの量が半端ない

車の税金や維持費が高い、という理由で、

バイクを買うベトナム人が多く、

街中のバイクの数は本当に半端ないです。

逆走・割り込み当たり前ですが、

道路を横断するとき気をつけてゆっくり進めば、

バイクの方から避けてくれます。

旧市街中心部はこんな雰囲気で、良い感じにカオスです。

因みにノーヘルは当たり前、

バイクについては飲酒運転オッケーです。

20.ベトナム料理を食い続けるのがベスト

本場のベトナム料理は安くて非常に美味しいです。

10回以上通っている旧市街のフォーの店がありますが、

全然飽きがこないです。

中国に割とふくよかな人が多いのは、

油を使った料理が多いのと大食だからだと思いますが、

ベトナムは太った人をほとんど見ません。

ベトナム料理が野菜や米麺を中心としているヘルシーな内容だからだと思います。

2週間ベトナム料理を食べ続けていても全然胃にもたれません。

一度フランス料理のカフェで食事しましたが、

西洋料理はいまひとつだったため、

ベトナム料理を食べ続けるのが間違いないと思います。

下記は僕がはまったベトナム北部の料理、

ブンチャ(豚肉具材の米麺/1杯200円)です。

日本にあまり出回っていないのが残念です。

読んでいただき有難うございました!

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岡山県のギーク道場倉敷を拠点にしています。