シリコンバレーのカンファレンスで見たBlockChainの未来

Daisuke Ishii
Kiara Inc. Blog
Published in
6 min readApr 15, 2018

ICO狂想曲のその後を見据えた議論が盛んです

“An impressive low-angle shot of two modern glass facades reflecting orange light” by Alex wong on Unsplash

はじめに

前回のブログの続きで出張レポートを書きます。

弊社のFinTech領域での事業立ち上げを検討する際、

調査対象としてBlockChainは外せないので、

積極的に当地のイベントに参加し各国の方々と意見交換を行いました。

非常に実りのある10日間だったので、

今後も定期的に当地を訪れ情報をインプットしたいと思います。

結論&予測

雨後の筍の様に世界中でICOやサービスが立ち上がったが、

淘汰が進みビジネスモデルとして次のステージに行こうとしている。

規制や法律は、インターネット黎明期のカオスが規制の試行錯誤で落ち着いた様に、

政府がイノベーションを阻害しない様配慮しながら犯罪を取り締まっていく。

ICO狂騒曲の後

米国政府はイノベーションに対して寛容でありながら、

法を犯した事例には思い懲罰を科するという傾向があります。

ICOに関しても、詐欺やテロリストの関与に繋がりそうな事例が出ると矢継ぎ早に規制を仕掛けてきました。

大国家の政府のあり方としては非常に正しいと思うので、日本の金融庁が米国のSECに準じて動いている点は共感できます。

少数ではなく、かなり多くの専門家が”ICOの大多数は将来的に罪になり、刑務所に行く”と言い切っています。これがフィリピンだったらかなり緩いでしょうが、米国人の見方としては常識的な意見だと思います。

ICOも大分成功例と犯罪事例の傾向が見えてきたので、

そろそろ社会実装としての”正しい法的落とし所のあるICO2.0”が登場すべきだ、

という事で、意見を戦わせている人が多いです。

ICOまだいけるんじゃない?草コインで一儲けしたい!といった日本の空気感から2歩くらい先を行っている感があります。

証券型トークン

予測のプラットフォームで有名なAugur Founder Joey Krugが発言していました。

ICO後の勝ち組負け組の情報は、今後を占う上で非常に大事なので、

今後も海外情報を注力してウォッチしたいと思います。

(以下引用)

まず先行したのがトークンの技術基盤となるEthereumなどのProtocol Token。

これはその基盤をつかったトークンが広がれば値が上がるので合理性がある。

次に流行ったのがUtility Token。これは構築するアプリに対してその価値を定義するトークンを発行する。Augurもこのカテゴリーだが、ほとんど成功例は出ていない。

今後注目すべきなのが次に出てきたSecurity Token(証券型トークン)。

世界中のあらゆる資産価値のあるものをTokenize(トークン化)する。

まだ法律含め社会実装が十分進んでいる訳ではないが、

不動産から絵画まで、自由に世界中からトークンを通じて資金調達できる様になれば、

世界の金融市場や個人資産がよりダイナミックに流動化し、大きな新市場が生まれる。

さらに言えば、個人が自由に自分の株式市場を公開できる。

理論上はそうであり、非常に大きな可能性があるビジネスアプリケーションだが、

社会実装のために調査目的でAugurはヴァージン諸島の株式市場の株の一部を取得し、

実験する。

(引用終わり)

スケーラビリティ

当地のBlockChainハッカソンにも参加しましたが、

ICOなどの浮いた話とは一線を画し、

真面目に技術課題と向き合い、改善ツールを開発している会社も多くありました。

情報はまだ拾いきれていませんが、今後交流を深めながら技術進化の未来を予想できる様になりたいと思います。

指摘されているBlockChainのスケーラビリティ問題も黎明期のAmazonに例えられていました。

本を売るのにメガバイトの通信ができなかったので、

キロバイトの通信量でE-Commerceが成り立つ様に工夫し、

あとは世界中で通信速度の問題を解決した話です。

先日Ethereum財団の東京キックオフでも創業者Vitalikがプレゼンしていましたが、

Casper、Plasma、Shardingなど、スケーラビリティは財団としても最優先で解決しようとしています。Ethereumに限らず、ここがボトルネックになってはBlockChain業界全体の進化が止まるので、世界中の多くの組織で研究開発が進むでしょう。

Amazonは、結局映像の配信でギガバイトの情報を扱える様になりました。

便利な技術があれば、表裏一体で技術課題が浮かび上がる。

それがもし本当に世界にとって便利なら、世界中の英知を集めてボトルネックを取り除く。

シリコンバレーは過去もずっとそうして進化してきたし、

今回のBlockChainが普及とともに重くなる問題も、世界から天才を集めて解決すれば良い。当地のBlockChain業界が楽観的なのは、そういった背景があります。

共感したサービス

  • Cosmos BlockChain同士を繋ぐサービス
  • Purse.io BitCoinとAmazonGiftCardをDiscountつきで交換できる
  • Bcoin BitCoinの実装を簡単にするツール
  • Slice BlockChain上で海外への不動産投資ができるプラットフォーム
  • ExsulCoin 難民に直接寄付ができるプラットフォーム
  • Cambridge Quantum Computer 量子コンピュータ耐性のある暗号研究
  • BlockChain Education Network(BEN) BlockChainの教育組織
  • Qtum 各種BlockChainプロトコルと互換性がある基盤技術(中国系)
  • Bodhi 予測取引のプラットフォーム(中国系)
  • Augur 予測取引のプラットフォーム(米国)
  • Earn.com メール質問に答えるとBitCoinがもらえるサービス

参加したイベント

--

--