私がY Combinatorの最終面接に呼ばれる為にやった3つの事 & 当日の攻略法
一人でも多くの方に応募してほしいので、ノウハウを公開します
はじめに
先日、米国のアクセレレーターY Combinatorの最終面接に臨み、
結果、不合格でした。
でも、YCの合格者の40%は過去に不合格経験があり、
下記のメールの通り諦めずに応募し続ける事は強く推奨されています。
今回のW19バッチの合格者には8回目の挑戦で合格を勝ち取った強者もいます。
(不合格通知: 引用)
Hi Daisuke,
Unfortunately, we’ve decided not to fund Kiara.
We originally thought XXXXXXX.
However, XXXXXXXXX.
We were not convinced that XXXXXXXXX.
Of course, we could easily be mistaken (we certainly have been before).
I encourage you to sincerely try and prove us wrong.
We would love to see you apply again.
YC
(引用終)
気持ちを早速切り替えて6ヶ月後の次のチャンスに向けてもっと良いソフトウエア+KPIを仕込もうとしているのですが、
今回ここに至った経緯をブログにまとめ、残しておこうと思いました。
ブログの目的
- もっと多くの日本人起業家にシリコンバレーに挑戦してほしい
- Y Combinatorへの合格攻略法をナレッジベース化したい
- 難易度はもちろん高いが、合格は決して不可能ではない事を知ってほしい(皆さんに勇気を持ってほしいので、私が元々非ITであった事も後述します)
私がなぜYCに挑戦し続けているかと言うと、
野球をやっていたら大リーグ選手が目標になるのと同じかと思います。
シリコンバレーはビジネス界の天下一武道会に例えられますが、世界から天才起業家が集まって、皆で助け合って一発当てようとしているので、自分の成長にとっては非常に大切な環境だと思っています。
後述する今年9–10月に実施されたY Combianator Startup School(Onlineのミニバッチ)では、YCの合格メール誤送信が原因で特別に応募者全員が合格し、15,000人の同期がいたのですが、東京からは5人(0.03%!)くらいしかおらず、あまりの少なさにびっくりしました。我が国の将来を思うと非常に寂しい思いをしました。
きっと英語だからハードルが高いのだと思うのですが。。実際シリコンバレーではインド・中国からの挑戦者は大量に街を歩いていますが、日本人は人口比から考えてもかなり少数です。やはりチャレンジャーの絶対数が少ないと思います。主な方々で下記の13人くらいです。
日本のサッカーも海外活躍組が増えてから実力が上がったと思うのですが、日本のテック業界活性化・日本の国力増強のためには、やはり海外活躍組が増えるのが一番の刺激になると思いますし、おこがましいですが私も早くYCに合格して、日本の挑戦者のロールモデルとなり、そこに僅かながら貢献したいと思うわけです。
日本人の過去の合格者は、Fondの福山太郎さんのみ。
私も含めた2人目、3人目の日本人合格者が早く出てほしい事を祈り、
このブログを書かせていただきます。
最終面接まで行けた理由1:博士課程経験者の外国人と組んだ
私の相方、Leonardoが日系ブラジル人で、本当に助かったと思っています。彼なしには最終面接はあり得なかったと思います。
a)多様性
シリコンバレーを目指している時点でグローバルビジネスをベースにするわけで、今回は本当に多様性の大切さを実感しました。
私の専門性が機械学習と数学、事業開発で、Leoが機械学習とバックエンド開発でした。彼は博士課程の経験もあるので、最新のAI論文に関してもさくっと実装ができ、本当に頼りになりました。
そして、グローバル市場の分析をする際も、彼が地球の裏側にある国から来た事が役立ちました。私は欧州・アジア・北米に強いですし、Leoは南米に強いので、二人で議論すると世界の動向が掴め、クリエイティブな議論ができました。
b)英語
私はビジネスレベルの英語ですが、Leoは英語流暢であり、
ピッチの準備と本番、アプリケーションのライティング、競合や技術調査など、生産性がかなり高まったと思います。彼がエンジニア・AIリサーチャーとしての能力が高いのも、英語流暢だからです。
c)集中力
私は日本人的に準備を用意周到にし、24時間体制で働きますが、Leoは普段本当にリラックスしていて、その代わりココ一番!という時は午前4時まで働いてくれたり、面接の事前数日間はものすごい勢いで準備したり、集中力は凄いものがあります。私は伊藤忠商事時代にミラノで働いていましたが、イタリア人(同じラテン系)はなぜ普段遊んでいるのにワールドカップで優勝できるのか、分析するとやはり個人技と集中力の差なのだと思います。
最終面接まで行けた理由2:定番アプリをAIでリプレイスした
例えばFinTechやMedicalといったキーワードにAIを使う会社さんが日本でも増えて来ましたが、いわゆる業界地図に載るような大テーマのAI企業は、世界規模で見ると競合も増えて来ており、レッドオーシャンとは言いませんが、オンリーワンのポジションを取るのが難しくなって来ました。これは、AIと一口に言っても、該当産業でAIが大きく業務改善ができるテーマは数限られているからです。
例)医療だと画像認識による診断効率化、金融だと貸付リスク判断の自動化によるロス率低下やクレジットカード詐欺検知などが代表例 =>これらは前例がもうあります。
そこでオススメは、我々が”同時通訳の翻訳字幕付きのビデオ会議ツール”といった様に、いわばSkypeのポジションをAI機能を付加する事でリプレイスする事を狙ったわけなのですが、この”定番アプリXにAI技術Yを付加してリプレイスする”という手法を使えば、割と斬新な世界オンリーワンを狙えるポジションが簡単に作れると言う点です。
正直YCに一番受けたのはこの”多言語対応&グローバル展開”な点だと思います。Skype(Microsoftが9000億円で買収)をリプレイスできたらかなり大きな市場を取れるという風に映った様です。
かつ、ビデオ会議というのはどの業界地図にも入らず、様々な産業テーマに使ってもらえる”色のつかないアプリ”なので、意外と地味であり、他社が着目する可能性も実は低いと思います。皆さんも、ご自身のスマホに入っている毎日使うアプリを分析して、AI機能を付加してリプレイスできないか考えてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、7月まで弊社は全然違う”世界のリモートワークの横断検索エンジン”を作っていました。
8/1–9/30までのコーディングで、YCの最終面接まで行けたことになります。動くものはあった方が良いですが、USの500Startups(アプリケーションがKPIドリブン)に比べて、YCの方がよりアーリーステージを許容していると思います。実際にローンチしていない会社も沢山合格しています。その分、アプリケーションには共同創業者がどれだけ凄い人物か語らせる項目が沢山あります。より才能重視で選び、ポテンシャルに賭けるのがYCだと思います。もちろんKPIが急激に伸びていれば合格確率はぐっと上がります。
最終面接まで行けた理由3:YC Startup Schoolが助けてくれた
9/1–10/30まで、YCのOnlineバッチとなる、
Startup Schoolの指導を受けていました。
- ビデオレクチャー
- ディスカッションフォーラム
- KPI進捗報告
- 週1度のメンタリング(Office Hours)
- スタートアップ関連のソフトウエアの割引
が主なコンテンツですが、特にメンタリングでは素晴らしいメンター(YC 2012年度の卒業生)に当たる事ができ、Group142というアジア人のスタートアップが20社入っているグループに入っていたのですが、非常に実務的でハンズオンな指導を受ける事ができ、かなり事業に弾みがつきました。
実際に、Group142のバッチ同期3名からYCのアプリケーションへの推薦状をもらう事ができましたし、メンターも私を推薦してくれたと思います。
Startup Schoolは完全無料のプログラムですし、受かる確率も高いので、みなさんにもお勧めします。
こちらに、コンテンツの70% くらいが一般公開されています。
https://www.startupschool.org/library
YCの選考プロセス
1)まず、2019年であれば、YC W19(1–3月)とYC S19(7–9月)の2つの学期(バッチ)があります。それぞれ、140社が合格します。
2)書類審査 (過去のアプリケーション例:Dropbox) 数不明
3)10分間のビデオ会議審査(リモート) 数不明
4)最終面接(シリコンバレーのMoutainView) ここまできた500社の30%=140社が合格
下記が”どうやったらYCに合格できるか?”というYCビデオです。
要所要所で、YC卒業生が周りにいたらアドバイスをもらいながら進めると良いと思います。
実際に私もかなり助けてもらいました。
その後、合格すれば最終面接に呼ばれます。
これはシリコンバレーのMoutainViewなので、
旅費はかかりますが、ほぼ全部YCが負担してくれます。
最終面接攻略法;
面接練習アプリ;
上記を見ると一般的には超圧迫面接なのがわかります。
ただ、今回の我々は面接官に恵まれ、優しい人だったからか、
質問は沢山されましたが圧迫ではありませんでした。
2008年ごろ初期のYCはバッチに8社くらいだったので、
かなり手間を掛けていたそうですが、
2018年のYCはバッチに140社いるので、かなり大量生産になっており、
面接プロセスも変化している様に感じます。
非ITの人にもチャンスはあるから皆で頑張って応募しよう!
私もかなり迂用曲折ありながらここまで来れたと思っています。
私が過去やって来たビジネスの変遷を下記にまとめましたので、
みなさん業界が多少遠い場合でもシリコンバレーを目指していただきたいと思います。
オフライン小売店をやっていた私ですら、
かなり近い所まで来れている訳ですから。
2010 独立(その前は総合商社)
2011 オフライン小売店(インテリア雑貨)
2012 商社(新規海外ブランド獲得エージェント)
2013–2014 クロスボーダーECの事業開発
2015 米国市場向け日本の商品のEC
2016 AI受託開発
2017 AI人材紹介
2018 自社AIソフトウエア開発
かなり事業転換していますが、
私としては、
徐々に最終目標のシリコンバレーに近づく為、
階段を上がっているつもりです。
もともとITですらなかった訳ですから、
どんな人でもYCの最終面接に呼ばれる可能性はあるという事だと思います。
最後に : 皆で勝とう!!
いかがでしたでしょうか?
私はシリコンバレーの一番の素晴らしさは、
Paying Foward=成功者が次の成功者を助ける文化とエコシステムだと思っています。
弊社では、月に1回ペースで、
SaaS立ち上げノウハウの勉強会を行っています。
私がYCや他のアクセレレーターで学んだ事をシェアしながら、
皆さんとの意見交換を活発に行い、
この”勝つときは皆で勝つ”文化を東京にも根付かせたいと思いますので、もしソフトウエア立ち上げに興味ある方は是非いらっしゃってください。
下記のイベントカレンダーでご覧ください。
そして、皆でY Combinatorに応募しましょう!
日本から3,000–10,000アプリケーションくらいの応募があれば、
シリコンバレーで成功する起業家が数十人単位で出てくると思います。
サッカーの本田や長友、野球の大谷やイチローの様な感じですね。
私も、必ずYCに合格しますよ!見ていてくださいね。(約束)