キャリアコンサルタントの能力開発(2)

寄り添って聞けば、信頼関係を構築できるは本当か?

先日、知人からキャリアコンサルティングを受けたいとの依頼があった。唐突だったので、何を目的に受けたいのかを確認すると、

「キャリアコンサルタント試験を受けるにあたって、自分自身がすっきりしないので、一度どんなものか受けてみたい…」

とのことで、なんとなく自分が以前感じていた違和感をその方も感じているような気がしたので、引き受けたのです。

「寄り添う」の前提条件は何か?

ご本人の現在の課題についてキャリアコンサルティングを実施した後、何に違和感を感じているのかをたずねると、「寄り添って聞きなさい」と言われてもどうするのかわからず難しいとのこと。実は私自身もこの方と全く同じことを以前は感じていたのでこれについてはよくわかるのです。

指導されている方は、「寄り添う」という言葉をどういう意味で使っているのだろう?

私がこの言葉に抱くイメージは、

「クライエントは弱い人だから話を聞いてあげる」

そんな対等ではない印象が浮かぶのです。

私ならそんな聞き方して欲しくない。困っている状況を共有してもらい、現状を打破する解決策を見つけられるよう、自分が見えていない気づきをもらえる。そんな時間が理想かもしれない。

そのためには、

相手の置かれている現状を理解するために、訴えたい本筋からそれないよう話を聞くことが重要なはず。

なぜなら、クライエントが見ている世界を自分も一緒に共有するためには、相手の話を聞きながら自分が理解したイメージが相違ないかを丁寧に確認しないと理解がずれますから。

大事なことは、どれだけクライエントに関心を持って話を聞くことができるかどうかです。深く話が聞けないのは、究極のところは相手への関心の薄さにあると思う。本当はわかっていないのにわかったフリをしている。

自分ならこんなことはしないなーと理解できない時は、そう考える理由を自分も理解したいから教えてもらうという姿勢で聴きます。

人は誰でも自分にとって合理的な主張をするはずなので、そう考える背景を知ることが、他人の世界を知る最初の一歩になるはずです。

人の話を共感的に聴くために必要なこと

自分の考え方や価値観と異なる主張が出てきた時に、良い悪いや正誤など判断保留にして純粋な興味・関心で話を聴く姿勢が最も重要なはずです。

これができなければ、自分と異なる価値観や考え方を受け入れることができません。私自身もこれができていない時は、過去失敗したなぁということはあった。

聞いているフリは相手に伝わるし、一番聞いて欲しいことを話せていなければ、不満や不快な感情を与えることもある。事実、そういう声を私のクライエントからも聞く。

「寄り添う」聞き方を主張されている人が使っている言葉の意味は、本当のところはご本人に確認してみなければわからないけれど、誤解を与えやすい言葉だと思う。

話を聴く目的は、クライエントを理解するためであって、そのためには、何が見えていて何が見えていないか、事実と主観を自分の頭の中で整理できるように、丁寧に確認をとることが重要なはずです。

それができていれば、自然に共感できるはずだし、クライエントが気づいていなかった本当の課題も見えてきますから。

私が考える前提条件

「寄り添って聴く」に違和感を感じるなら、私が考える前提条件は、

自分とは異なる価値観・ものの見方・考え方をしていて、現状について困っている人、基本的に一緒に見えてないものをさがすという前提で話を聞いています。つまり、対等な関係で話を整理する役割を担っている人というスタンスです。

だから、クライエントの話を聞いていて自分が理解できない時は、

わからないことを教えてもらう

そんなイメージです。

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キャッシー:内藤圭子
有限会社あじさいキャリアフロンティア

人の隠れた強みを引き出すことに情熱を燃やすラーニングファシリテーター。家族は7歳年下のダーリン。特技はニコニコしながら言いにくいことを伝えること。プリン大好き神戸っ子です♪