キャリアコンサルティング事例(9)

対応策がないと思われる相談にどう対処するか?

子供を預けて再就職活動する場合、子供を預かってくれる所の確保が重要ですね。幸運にも施設の確保ができて再就職活動をしてもなかなかうまくいかない。そんな方のご相談です。

病児保育してくれそうなところの確保ができない

その方は、お仕事はそれなりに自信があるそうで、面接で自分なりのアピールをすると、それなりの手応えがあるそうです。でも、結果は不採用。自分が採用にならない理由は相手の反応を見ていて、ほぼわかっているそうです。理由は、今の保育所は子供が熱を出した時に預かってくれないから。また、ご主人や自分の実家が近くなら、お願いもできるでしょうが、どちらも遠方なのでそれも無理。つまり、

子供が熱を出したら自分がお迎えにいくしかない

「お子さんが病気で熱を出した時には預かってくれる所ありますか?」

「いえ、私しかいないんです。」

面接でのこんなやりとりのあと、それまでの良い感じの雰囲気がなくなって、結果は不採用。

解決策を相談に来られた

私:「なるほど、どこも預け先が見つからなくて困っているんですね。仕事や自己アピールなど面接には自信があるんですか?」

ク:「はい。そこには自信があるんです。でも、いろいろ探したんですが、解決策がなくって困っています。」

「なるほど、それは困りましたね。ところで、面接官はなぜ、子供が病気で熱を出した時に預かってくれる所があるかを聞くんでしょうかね?」

ク:「それはやっぱり、子供が病気になって頻繁に休まれたり、途中で抜けられたりされると業務に支障が出るからじゃないですか!」

私:「ですね。あなたのお子さんは、過去2–3年振り返ってどのくらいの頻度で熱を出したりしてましたかね?」

ク:「えっと、、年に1回くらい軽く風邪をひくくらいでしょうか」

私:「年に1回ですか。それなら、独身でフリーの方でも年1回くらい急病で休みとることありそうですねー。預け先がなくても心配ないんじゃないですかね?」

ク:「あっ、、、、」

真の問題は別にある

この方の場合、たまたまお子さんがそう病気をするわけでもなかったので、このあとは、そもそも自分が問題だと思っていたことがなくなったので、最初の20分くらいで本丸の問題は解消したのですが、基本は、クライエントが何を見ているのかを理解することに努めます。

多くの場合、クライエントがこれが問題なのだと思っていることが問題ではなく、真の問題は別にあります。この場合なら、「病児保育先を確保しなければならない」と思い込んでいるところです。

クライエントに見えている世界を理解する

前提条件を疑うためには、クライエントが持っている前提条件(思いこみや常識だと考えていること)を知ることが必要です。いろいろ行動してみて調べてみたけれど、自分の中では解決策が見つからない。そんな時に重要なことは、相手が見ている世界を深く知ることです。

この後、職務経歴書のアドバイスをささっとして終わりましたが、1週間後、仕事が決まったとの報告がありました。「面接には自信がある」と言ってましたから、あの後、さっそく行動したのでしょうね。

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キャッシー:内藤圭子
有限会社あじさいキャリアフロンティア

人の隠れた強みを引き出すことに情熱を燃やすラーニングファシリテーター。家族は7歳年下のダーリン。特技はニコニコしながら言いにくいことを伝えること。プリン大好き神戸っ子です♪