新加坡で外国語を学ぶということ

Keisuke Kato
JISS blog
Published in
4 min readNov 12, 2015

外国語の学習といえば、読み・書き・話す・聞くという基本がありますが、日本で学習が難しいのはとりわけ「話す」ことだと思います。それは、日本にも外国の人がいるものの、教室の外では外国語を話す機会が少ないことが要因の一つではないでしょうか。そのため発音も練習しづらい。だからいざ外国語を話そうとすると、慣れていなくて構えてしまうことが多々あると思います(僕はそうでした笑)。ところが、シンガポール国立大学はこの「話す」ことを学習するのにうってつけの場所なのです!詳しく説明していきましょう。

僕はシンガポール国立大学で中国語の授業を取っています。週に2回授業がありますが、1つの授業はおおよそ90分なので、時間で見ればそこまで多くないと思います。これらの授業は、先生の解説が中心のlectureと生徒の演習が中心のtutorialに分かれています。Tutorialではもちろんのこと、lectureでも生徒が発言する機会が圧倒的に多いです。Lectureの授業でいえば、教科書の例文の音読に始まり、先生との会話も全て中国語で行われています。先生が新しい内容を含むことを説明するときや、どうしても意思疎通が難しいときにのみ英語が使われています。そのうえtutorialでは毎回の授業において、少人数のグループに分かれて会話練習も行います。

こうした練習方法自体は目新しいものではないですが、日本の大学における授業との違いを作っているのは、同じ教室にいる学生でしょう。つまり、中国語を学んでいる学生は東南アジアを中心にして、多様な国から来ている学生です。彼らの多くがとても活発に発言をします。もちろん彼らは完ぺきな中国語を話すわけではありませんし、文法事項は日本人のほうが身に付いている場合もあります。ですが、彼らが活発に発言することによって、教室には「ミスを恐れず元気よく発言する」という雰囲気があります。そのため最初こそ僕も静かな生徒(笑)でしたが、その雰囲気に後押しされて、次第に発言に対する抵抗感が少なくなりました。

こうした点を踏まえると、シンガポール国立大学の授業は「話す」ことを身に付けやすいといえるのではないでしょうか。もちろん、長所があれば短所もあります。それは、話すことに重点が置かれているので文法の説明がおろそかになりがちだという点です。LectureとTutorialの双方で文法の解説はありますが、話すことに重点が置かれている授業であるからこそ文法の説明が少なくなりがちです。さらに、進度もゆっくりです。これは僕が日本の大学で履修していたドイツ語の授業と比べるとはるかに遅いです。

さらに、冒頭で「日本では、教室の外で外国語を話す機会が少ない」ということを述べましたが、シンガポールはその真逆なのです。国の公用語こそ英語ですが、中華系の人が多いため、地元の学生はもちろん、市内のお店やレストランで働いている人も中国語を話します。ときどき中国語しか話せない人もいます汗。なので、シンガポールでは中国語を話す機会が自然と多くなります。さらに、シンガポール人の友人はほとんど中国語が話せるので、いつでも発音・会話練習をすることができます。発音の練習というと、人に間違いを指摘してもらわないと行いづらい面がありますが、シンガポールでは簡単に友人にチェックしてもらうことができます。そのため、気軽に、しかししっかりと発音の練習をすることができます。

まとめますと、シンガポール国立大学は地元の学生も中国語を話せる点で、とても中国語の学習に適している場所だと思います。しかし、その他の外国語もまた学びやすいのです。アジア・ヨーロッパを問わず毎学期多くの国から多くの学生が来るため、キャンパスの中にはいろいろな言語を話す学生が常にいます。そのため、中国語以外の外国語を学ぶにしても、周りにその言語を母語とする学生がたくさんいるのです。中国語を話す学生と比べると少なくなりますが、それでもその言語を母語とする学生と共に練習することは難しくありません。外国語を学ぶという点において、シンガポール国立大学はとても優れていると思います!

��=

--

--