See you again, USA!

Koshi
JISS blog
Published in
6 min readMay 18, 2016

Chicagoに向かうAmtrakに揺られながらこの原稿を書いています。そう、私のアメリカ滞在も残り数時間。このまま空港に向かい、東京へ。皆さんがこの記事を読む頃にはきっと既に帰国しているでしょう。

10ヶ月前、初めてChampaignの街にやってきた時もこのAmtrakに乗ったのですが、いま思えば我ながらかなりビクビクしていたような気がします。この見渡すばかり畑のまっ平らな土地の先に大学なんてあるのだろうか…などと思いながら。朝日に照らされたその畑を今は名残惜しく見つめています。

アメリカにいるうちに今の気持ちを言語化しておきたいと思ったので、久々に、そして最後になるかもしれませんがこのタイミングで投稿することにしました。

率直に言って、交換留学が決まった時、いや申請するプロセスにおいても私には確固とした留学の動機なんてものはありませんでした。JISS2期代表なんて役職を務めながらも。面接やapplicationで述べるような”動機”はさておき、心から親しい友人に真顔で「どうして留学に行くことにしたの?」と問われたら言葉に詰まったでしょう。「自分の将来像はこうだからそこから逆算して今undergradでこんな留学をしたい」なんて綺麗な方程式は描けませんでした。むしろ逆で。将来が見えないまま東大で4年間過ごして卒業してしまうことに一種の恐れを感じていました。恵まれた環境であることは自覚しつつも、少し東京から距離を置きたい、誰も自分を知らないところで今までとは別の角度から自分自身にチャレンジしたい、そういった気持ちからでした。東京での2年間の大学生活に少し疲れていた部分もあったように思います。

この10ヶ月を振り返ってみて、自分にとって本当に大切な時間だったなと心から思います。実はUIUCは交換留学の第3希望でassignされた、それまで名前も知らない、東大の数少ないアメリカとの提携先(私達の代が提携1期生)だったという理由くらいで応募した大学でした。実際Computer scienceやEngineeringでは全米トップクラスなのですが。結果的に自分にとても合った環境だったように思います。

まず田舎にあること。自分のfacebookには旅行中の楽しそうな写真しか敢えてアップしませんでしたが、留学中の大部分の時間を占める授業期間、思う存分勉強に向き合うことができました。無数の挫折をしながら、苦しみながら、楽しんでいました。Spring Semesterは特に自分を追い込んでいたのでカフェインを摂取しながら徹夜を重ねる日々でしたがそれもまた良き思い出。広大な土地に贅沢に広がるキャンパスはどの季節も美しく、特に長い長い冬が明けた4月のある週末に友人と週末ずっと芝生の上で過ごしていたのも懐かしく思い出されます。

学生の多様性。これは海外に出れば誰しも思うことかもしれませんが。UIUCの場合生徒数4万人というマンモス校なのでキャンパスで友達にあって”Hey!! How are you doing?”となることがあまり頻繁に起こらないのは寂しかったですが様々なbackground, nationalityの学生と親しくなれたのは貴重な財産でした。初めて海外に出た夏に「自分が勉強した英語で外国人と意思疎通ができる!」という純粋な感動を覚えたときから7年が経って、もちろんnative speakerには到底及ばないのですが、自然に彼らと一緒に笑い悲しみ怒り喜ぶことを重ねた日々でした。日本人現地生の数もゼロではない程度にいたのが良かったですね。

時間があったこと、留学したからこそ会えた人たちがいたこと。勉強して、ジムに行って、友達と遊んで…それでも余った時間は自分と向き合う時間でした。孤独な時間です。中高・東大の友達が着々と前に進む中、自分はここで何をしているんだろうと時にネガティブになりながら、忙しかった東京では見繕えなかった自分との時間を大事に過ごしていました。そして留学生特権を使って様々な方にお会いできたこと。大学教授・裁判官・弁護士・官僚・バンカー・NGO/NPO職員…臆せずどんどんアポを取った結果多くの方から快くお話を伺う機会をいただきました。皆さんとてもはつらつとした方ばかりで迷える一学部生にフランクに接してくださいました。目下考える進路が彼らの影響を受けたことは言うまでもありません。

アメリカという国に滞在したこと。私は20年以上日本で生まれ育ち、旅行以外では今回が初めての海外長期滞在でした。私はアメリカの良く言えば他人のことを気にしない、悪く言えば自分のことしか気にしない空気が好きでした。髪の色が紫だろうが、顔にピアスを何個開けていようが、どんな体型であろうが、自分は自分。人それぞれ違うもんだという共通の感覚が、日本人という自分を無条件で認めてくれたような気がしたのです。自分らしくあればいいと。自分がやりたいことを見つけろと。日本での自分とアメリカでの自分、上手く説明できませんが少し違うような感覚があります。帰国して久しぶりに合う友人は私のことを変わったなと思うのでしょうか。それとも相変わらずだなと思うのでしょうか。それでも変わらなかった部分をこれからも受け止めて大切に付き合っていきたいなと考えています。また、大統領選が行われていたことも専攻分野に近い私にとってこの時期にアメリカにいれてラッキーだったことの一つです。生でアメリカ政治の雰囲気を体感できたのは面白い経験でした。

毎日こもった図書館、ガチムチのアメリカ人たちに混じって通ったジム、Jazz Band、NPOでのインターン、ホームパーティー、フルマラソン、長期休みの旅行、毎日の何気ない会話…そういった一つ一つの思い出が心に深く刻まれています。月日が経って少し忘れても、日記をめくり返せばまた蘇るはずです。長い充電期間を経て、また東京での日々が始まります。

太陽も大分高く上がり、電車も間もなくChicagoに到着です。ここらへんでキーボードを打つ手を止めておきましょうか。拙い文章でしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今年29本目の飛行機で帰国します。

See you again, United States of America!

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