最近の活動について
これまで
もともとは音楽よりのことをしていて、三つの領域で音楽活動をしていました。
- 音楽制作
- 映画音楽
- デジタルミュージックのオーディオビジュアル即興パフォーマンス
三つ目のプロジェクトで、2017年にカンタベリークライストチャーチ大学で音楽の博士号を取得しました。タイトルは「デジタルミュージックパフォーマンスにおけるオーディオビジュアル言語の発展」で、詳細はこちらから見ていただけます。
今は何をしているか
リサーチベースのアート制作に移行中です。音楽関係のプロジェクトも行うとは思いますが、今年はリサーチベースのプロジェクトにより多くの時間を使いたいと思っています。
関心を持っている主領域は二つあります。一つは食文化と人類史、もう一つは性愛文化と人類史です。
食文化と人類史
2018年の6月に、この領域に関係するパフォーマンスを行いました。タイトルは
Act: Study
Subject: History
Topic: _
というもので、ワインとタラの歴史、特にそれらを通じたポルトとイングランド間の貿易史を学ぶ行為についてパフォーマンスするというものです。学ぶという行為に内在するパフォーマティブな要素、詩的な要素を取り出すのが目的でした。
今はこの領域に関係する次の小さなプロジェクトに取り組んでいます。Musicityに依頼されたプロジェクトで、ロンドンにあるLeadenhall Marketのために3分から5分のサウンド作品を作ります。作曲家がテーマとなっている都市から各々場所を選び、その場所に新しい音楽で応答するというのがMusicityのコンセプトです。Leadenhall Marketは14世紀には新鮮な食品が手に入る市場でしたが、現在ではビジネスマンで溢れる商業的かつ資本主義を象徴するようなマーケット・ストリートになっています。マーケットの歴史、イングランドの食べ物と飲み物の歴史などのリサーチ、文献とフィールドワークを通して行っています。このプロジェクトにおける個人的な野望は、音楽にせずに、何か面白いものに仕上げることです。
性愛文化と人類史
この領域に関しては、より長いスパンで考えているプロジェクトがあり、ロンドンにおける中高齢のポリアモリーのコミュニティに関するものです。現在彼らにアプローチをしているところで、彼らの集まりに定期的に参加しています。最終的なアウトプットの形式は決めずに進めていますが、マルチチャンネルのビデオ、マルチチャンネルのオーディオ、テーブル、いくつかの椅子、取材対象者の参加、などを含めたインスタレーションをぼんやりと考えています。
社会的に受け入れられている規範がいかにして「規範」となり、またそれらに当てはまらないものがいかにして「規範」にならなかったのかに関心を持っています。そのことがこのプロジェクトにおいて核となる動機です。
現在のポジション
2018年6月から、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジと、 ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションにおいて、客員芸術家および博士研究員です。 平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員として助成を受けています。
ゴールドスミス・カレッジでは、受け入れ先はAtau Tanaka教授で、彼の研究グループである コンピューティング学科のEmbodied AudioVisual Interaction Research Group(EAVI)に加わりました。ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションでは、受け入れ先はDavid Toop教授で、彼もメンバーとして参加している研究グループ、Creative Research into Sound Arts Practice(CRiSAP)に加わりました。
音楽は?
音のことを、自分が最も使いこなせるツールとして見ています。あるプロジェクトで音を使うことが効果的あれば使いますし、そうでなければ必ずしも使う必要はないと考えています。
その意味では、プロジェクトに面白さや意義があれば、映画音楽やサウンドデザインは喜んでやります。
音楽作品制作とオーディオビジュアルデジタルミュージック即興パフォーマンスについては、今は「なんとなくかっこよい、美しいだけ」のものを作るムードではありません。興味深いプロジェクトのためであればやります。あるいはリサーチベースのプロジェクトの一部として、コンセプトの強い音楽を作るかもしれません。
作品はこちらから見ていただけます。