自粛の音。色々

Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind
Published in
6 min readMay 24, 2020

谷戸の音, オンライン学校, ジャズ

こんにちは。
自粛期間が長引く中、家にいる時間が長い毎日を過ごされている方も多いと思います。今回は、鎌倉、宅間谷戸の自然についてお話しする予定でしたが、ちょこっと予定変更。

2020年4月7日に日本に緊急事態宣言が発令されてから約2ヶ月。私たちにとっては、休校要請の始まった3月始めからになるので約3ヶ月の自粛生活。日に日に観光客の皆さんの足音が減り、久しぶりに鎌倉に静寂が訪れました。若宮大路や小町通りのお土産屋さんは閉まっている店がほとんど。昔の鎌倉はこんな感じだったのかな。。と思いを馳せたり。
いつもより人通りが少ないからこそ聞える音があります。

朝の音
朝早く起きると、まだ人間の世界ではなく、動物たちの世界。
リスのキューキューという鳴き声。鶯やら他の鳥たち(名前が分からないのが残念!)がピーチク、パーチクあーだこーだ。朝から熱い議論を交わしている。

特に朝日が眩しい晴天の日は、朝からハイテンション。毎朝、コーヒーを飲まないとテンションが上がらない私にとっては、羨ましい限り。鳥たちには、今日はさえずる気がないーそんなやる気がない日はないのかな。ドリトル先生に教えて欲しい。

そして朝8時。お隣報国寺で、お掃除が始まる。ブオーンと落ち葉を掃くブロワーの音。

8時55分。オンラインの学校が始まる5分前にセットされた子供達の目覚ましが鳴る。二階からドスンドスンとベットから降りる音。約1時間強の「通学時間」がなくなったうちのティーン達。とりあえずギリギリまで寝る。開始時刻と同時にコンピューターの前に座る音。とりあえず上半身だけ着替えていればOK。

息子が先生に質問する声。娘がクラスメート達と議論している声。
普段、学校どうだった?と聞いても、”別に”とか、”普通”としか答えないうちのティーン達。オンライン学習のおかげで、学校の様子が壁越しに聞こえるのは楽しい。そしてこの時ばかりは風通しの良すぎる、スッカスカ、隣の部屋丸聞こえのうちの中古民家に感謝。

窓ガラスを振動させる、頻繁に谷戸上空を飛ぶ飛行機。毎回谷戸の上空を通るたびに、地震かと思う程の大げさな音で薄っぺらい窓を鳴らすのだが、その回数が最近、確かに少ない。

昼の音
毎日日課にしている谷戸の散歩。大体夫婦二人で歩く。(残念ながら子供達は誘っても断られてしまう。)山沿いを流れる宅間川のせせらぎの音とことり達のさえずり。この谷戸定番のBGM。毎日同じルートを歩いても、散歩する時間や天気によって少しずつ違う顔を見せる苔の色や草花。湿度によって、谷戸の匂いも違う。自粛期間だからこそ、ゆっくりとした時間を味わえる。家の中にいる時間が多いからこそ、自然界のちょっとした変化に気づく。

よくお会いする優しいおじいさん。小川をのぞいたり、向かいの山肌の様子に見入っていらっしゃる。私たちが挨拶をすると、きちんと体ごと振りかえって「あー、こんにちは」そして丁寧に、「お疲れ様です」とお辞儀をして下さる。
特に疲れていないのに、毎回恐縮だなと思いながら笑顔で会釈を返す。いつもお決まりのご挨拶。人に会う機会を減らしているこの頃。こんな些細なやり取りでも大事に思う。
更に谷戸を登ってちょっとした広場、浄明寺緑地で軽くフリスビーを投げ、「鎌倉からの富士」を拝む。いつものお散歩パターン。

夕方5時に地域放送で流れる音楽。本来なら外で遊んでいる子供達に帰る時間を知らせる、、という役目なのだが。自粛中の今はあまり意味をなしていないかも知れない。私にとっては、そろそろ晩御飯を作り始めないと、という合図、そして、晩酌をし始めてもOkという合図。
決まった時間の決まった音。

夜の音
最近楽しみにしているのは、ふくろうの鳴き声。
どうやら向かいの山にいらっしゃる様子。
「ほーほー、ごろすけほっほー」1回鳴いたら、30秒くらいあけて
「ほーほー、ごろすけほっほー」と鳴く。大体この一定の間隔。
ちょっと脱力した、気の抜けたほーほーという鳴き声にほっこり。
気づいたら寝落ちしていた。今晩も鳴いてくれないかな。と毎晩耳を傾けて待つ。

朝のテンション高い系の小鳥達が夜の鳥でなくてよかったとつくづく思う。夜はふくろう様の鳴き声がぴったり。自然の摂理は素晴らしい。
今まで山に住む鳥たちの声にどれだけ耳を傾けてきただろう。
これも自粛期間のおかげで気付いたこと。

オンラインライブ・ジャズ
毎晩9時からは鎌倉在住のジャズピアニスト、小曽根真さんの自宅のリビングからの配信されるオンラインライブ。緊急事態宣が出た頃から始められ、毎日約5000人以上世界各国のリスナーと共に私も耳を傾ける。
一流ミュージシャンののライブを自宅で、どこでもどんな格好でも聞けるという環境が嬉しい 。パジャマで、洗い物をしながら、お風呂に入りながら、ストレッチをしながら。その日、その時の自分らしいスタイルで。

他のリスナーのメッセージも見れ、一緒に聞いている皆さんの反応を共有できる。一人で聞いているのに、その感動をみんなと共有できているという初めての体験。自粛期間限定のライブ配信に感謝。

その小曽根さんがご自身の”No Strings Attached”を弾く前におっしゃっていた事。「Stayhomeー自粛で窮屈に感じる事多いですよね。皆さんも自分のココロまで自粛してませんか?縮こまっていませんか?Your Spirit is free!皆さんのココロは自由ですから!」と。
そうですね、ココロには自粛要請は出ていないですから(笑)。
いつも全開に解放!

観光客の皆さんの足音が減り、静かな鎌倉。家のすぐそこにある鎌倉の谷戸の自然、音、色に毎日癒され励まされました。
自宅で過ごす時間が長くなった今。
静かな時間が増えたからこそ出会えた音、気づいた音。

みなさんの周りの「今だから聞こえる音」どんな音ですか?

鎌倉より愛をこめて。

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写真: Alexander O. Smith

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Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind

Director of Kamakura Mind — Experience Japan in Kamakura, ancient capital of Japan, 1 hr from Tokyo, cradle of Zen. 米国に約10年居住。米国人の夫・2児と共に8年前鎌倉に移住。日本文化体験事業経営。