梅雨と梅

Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind
Published in
6 min readJun 14, 2020

春と夏の間の季節、梅雨

梅雨入り
世界中に四季のある国は数多く存在しますが、私たち日本人は季節の変化を敏感に感じ、愛でてきました。桜が美しく咲く春、赤や黄に染まる紅葉の美しい秋は、沢山ののお客様が日本を訪れます。梅雨は丁度春と夏の間、6月−7月の約1ヶ月程。曇りや雨の日が多くなり、6月は例年秋の台風の時期10月に次いで2番目に降水量の多い月です。鎌倉も今週(6/11)、梅雨入りが発表されました。これからしばらく雨と灰色の空。湿気を帯びた重い空気の日々が続きます。

雨の報国寺

梅雨と鎌倉
あじさいは梅雨の風物詩。あじさいと言えば鎌倉、と言われるほど、鎌倉にはあじさいの名所が点在します。長谷寺明月院は鎌倉を代表するあじさい名所です。長谷寺には40種類以上のあじさいが咲き誇る「あじさいの小径」があり、あじさい越しに見る海は何とも開放感があります。明月院の数千本あるあじさいの9割は日本古来の品種「ヒメアジサイ」で、青色が美しく咲き誇ります。例年梅雨の時期には、紫陽花を見ようと訪れる人々でお寺の周辺は溢れかえります。雨の日の行列を遠目で見ると、まるで傘の花が咲いたようです。

明月院にて

私はその行列を横目に見るだけで、今まであじさいの時期にこちらの名所を訪れた事はありませんでしたが、今年はあえて足を運んでみました。幸い自粛開けすぐという事もあり、咲き始めた紫陽花ゆっくりと愛でる事ができました。やはり古寺と雨、色鮮やかなあじさい、そして苔の緑のコンビネーションは素敵ですね。さすが、梅雨の鎌倉の風物詩です。

一方、個人的には散歩や買い物途中に見る、道端に咲く普通の(といったら失礼ですが)あじさいも大好きです。雨が続き、グレー色の空の下、色鮮やかな紫陽花が心を明るくしてくれます。ありがたい限りです。

梅雨と谷戸
山合の鎌倉の谷戸。雨の降り続く梅雨の湿度は半端ありません。私たちの住む宅間谷戸の紫陽花もその雨の恵みを受け、青・紫・ピンク・白と色鮮やかに咲き誇り、緑一色だった谷戸は一気に華やかになります。もちろん足元の苔もたっぷりと水を含み、喜んでいる様子同じころ、夜の宅間川にはちらほらと蛍が舞い、カエルの合唱が谷戸に響き渡ります。人間界でおこっているそんなコトあんなコトは関係なく、自然界はいつも通り季節が進んでいます。

宅間谷のあじさい

梅雨と我が家
しっとりと風情のある谷戸とは対照的に、乾燥機がない我が家では、この時期、洗濯物との戦いが始まります。天気予報で”洗濯指数”をチェックし、”明日は絶好の洗濯日和”となると、たまっている洗濯物を徹底的に洗い、干します。ただ外に干しても湿気が多すぎて、乾くどころかかえって湿気て生臭くなってしまい残念な事も。諦めて除湿機をかけ、室内干しに。家中に干された色とりどりに咲く洗濯物の花は、梅雨の日本家庭の風物詩といっても良いのではないかと思うくらいです。(我が家だけでしょうか???)

梅雨 と梅仕事
「梅雨」の語源は色々な説があるようですが、”この時期、梅の実が熟す頃であることから梅雨と呼ばれている”という説が好きです。青梅のほのかな甘い香りを思い起こさせてくれます。

毎年この時期、友達が梅を収穫して干したり、梅酒や梅シロップを作る「梅仕事」のSNS投稿を羨ましく眺めるだけだったのですが、今年は思い切って梅シロップ作りにチャレンジしてみることに!

青梅

材料は3つ。消毒したびん、青梅、とその同量程度の砂糖。作り方は熱湯消毒したびんに砂糖と梅を交互に入れていくのみ。意外と簡単。もっと早くチャレンジすればよかったです。後は冷暗所に置いて毎日様子をみて軽く混ぜ、1ヶ月待つのみ。

この梅雨の時期に行われる日本の梅仕事。アメリカの雪国、バーモント州で夏や秋の保存食作りを思い出しました。日本では厳しい夏の前の梅仕事ですが、バーモント州の小さな村では新鮮な野菜が手に入りずらい長い冬の前に、夏の野菜を保存する人たちが多かったです。大量に収穫したトマトでソース、きゅうり、豆類やパプリカなどの夏野菜の酢漬け、ブルーベリーやブラックベリー、グースベリーのジャム等。私はもっぱらそれを横目で眺めて感心するばかりでしたが、寒さの厳しい冬、クリスマスプレゼントに友達から自家製ジャムやピクルスを頂くのは、とても嬉しいものでした。

梅の実が熟する梅雨に行う梅仕事。今年は一つチャレンジできて嬉しいです。偶然、梅シロップをつけた日に鎌倉は梅雨入りとなりました。ちょうど私の梅シロップがいい塩梅に出来上がった頃、梅雨明けといった感じでしょうか?ギラギラと太陽の照りつける暑い夏に、梅シロップを冷やしたソーダで割って飲む日待ち遠しいです。

1ヶ月後が楽しみな梅シロップ!(初日)

では今回はこの辺で。
鎌倉より愛をこめて。

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写真: Alexander O. Smith

参考
Kamakura Climate Conditions (Hikersbay)
梅ジュース(シロップ)の作り方・飲み方

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Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind

Director of Kamakura Mind — Experience Japan in Kamakura, ancient capital of Japan, 1 hr from Tokyo, cradle of Zen. 米国に約10年居住。米国人の夫・2児と共に8年前鎌倉に移住。日本文化体験事業経営。