新型コロナウイルスの算数(9)
中国の感染者数の増え方は鈍っているけれど
先週の記事 でも、日経の感染者マップによる感染者数と死亡者の数を予想しました。予想と実際の結果は、下記のとおりです。
今回は、大幅に多く予想してしまいました。中国の感染者数は予想ほどには増えなかったのです。
先々週、中国は、感染しているかどうかの判断を、検査(PCRという、そのウイルスに特有の遺伝子の並び方があるかどうかを判断の基準に使う)から病状に変えました。そうして2月13日に一気に感染者が増えました。
その後は、それほど感染者数は増えない傾向が続いたということです。
上のグラフを見ると、全世界的にも、感染者は中国が圧倒的に多いので、感染の勢いが鈍ったように見えます。
その理由は本当に勢いが止まったのか、医療機関の能力の限界を超えたのかのどちらかでしょう。今のところどちらとも言えません。
ところで、中国以外のデータだけをグラフにすると、こんな感じになりました。
これを見る限り、逆に感染の勢いは強くなっていますね。
つまり、中国では感染者の増え方は少し鈍くなっているが、中国以外では勢いを増しているということです。
感染者数は感染した人の数ではない
ところで、ひとつ確認しておきたいことがあります。それは「感染者数」というのは誤解を招く言葉だということです。
感染者数が表しているのは、新型コロナウイルスに感染した人の数ではありません。「感染したと医療機関で確認された人の数」を感染者数と言っているのです。
- 感染者だけれども、検査では陰性になった人
- 感染者で病院に行ったけれど、検査を受けていない
- 感染者だが発症していないので、病院にも行っていない人
- 感染者なのに「感染の疑い」をかけられず、検査を受けていない人
- 感染者で発症もしたが、他の風邪だと思われている人
などが、当然いるからです。
おそらく感染した人は感染者数よりもはるかに多いはずです。
ですから「感染者数」ではなく「確認感染者数」とでも書くべきだと、私は思います。
そんなわけで私は、大雑把に言えば「『感染した人』は『感染者』の10倍くらいいても不思議はない」と考えています。
日本の「感染者」は143人ですから、すでに1500人くらいは感染していても、なんの不思議もないのです。
そこで、今後はただ、感染者数、とは書かずに、カッコをつけて「感染者数」とか、感染を確認された人数、と書くことにします。
中国以外の「感染者数」は6000人になる?
中国以外の感染者数は、この2週間で
383 ⇒ 776 ⇒ 2,185
と増えてきています。増加率は
202% ⇒ 282%
と増えているのです。
今後の一週間で、300%、つまり3倍になるとすると、来週3月2日の中国以外の感染者数は、6,000人くらいになる可能性があります。これは少なめの予想です。
実際に感染した人は、発症した人も発症していない人も合わせると、60,000人くらいになっていると考えられるということです。
もっとも、実は、この元になる数字が当てにはできません。
一番の不思議は、ひとり亡くなっているフィリピンの感染者数が、ずーっと3人のままだということです。