音量が大きくても騒音にならないこともある
一人で電車に乗っているとき、ぼくはだいたい本を読むかスマホで原稿を書いているかのどちらかだ。原稿を書くのに気分が乗って来た時に、右隣のスーツを着た男が突然喋りだした。スマホで電話をしている。どうやらお仕事の打ち合わせのようだ。
ぼくだったら、電車の中でそんな電話がかかってきたら、とっても大事な目上の方でも「すみません、今電車の中なので、次の駅で折り返し電話させていただきます」と小声で答えておしまいにするところだ。普通は、すぐに切ってメッセージを送る。
ところがこの御仁は延々と交渉をしている。声をかけて注意しようと思った瞬間に「いやいや待てよ」と思ってしまった。
注意して居直られたらどうしようと思うほどまでには、ぼくは弱気な男ではない。もともとは大阪は河内のオッサンだ。
いきなり注意するのを思いとどまったのは、、左隣の関西人二人が、その電話の御仁の倍の音量で話を続けていることに気がついたからだ。うるさいという点で言えば、左隣の二人の方がはるかにうるさい。一人でもうるさいのに二人が交代に大声を出す。おまけによく笑う。
でもね、ぼくはこの二人の会話に対しては、ちっとも気にならなかったわけですよ。おかしいよね!?
相手が目の前にいない電話なら、小声でも気分が悪くなるのに、対話の相手がその場にいれば音量がすごくても、その会話はどこか心地よいノイズになるのだろうか?
それとも突然話しだしたから気になったのだろうか?
でもそれだったら、しばらくしたら関西二人組のほうが気になるよねぇ?
いや、やっぱりスーツの方が気分を悪いんだよね。
今ぼくはパソコンの作業をしているとき、いつも Noisli というサイトの BGM を流している。雨とか波とか雷、虫の声なんかを合成して好きなバランスのいい感じの BGM を作ることができる。
しかもタイマーがついていて音がなくなると「時間だよ」と教えてくれる。無粋なチャイムなんかを鳴らさないのだ。
その中に喫茶店(古いね。カフェ)の音も入っている。人の声は気にならないどころか、集中する手助けにもなるわけだ。
で、「あれーっ」て思ったわけ。関西人の場違いに大きな声の会話は気にならないのに、どちらかと言えばおとなしめのスーツの携帯電話のやり取りにはイライラするぼく。
なんでやねん。
そんなことを考えているうちに、右隣のスーツは電話を切ってしまった。その後、多少は気にしていたのだろう。こっちを見ないどころか、正面も見ずにアッチの方を向いて視線が合わないようにしていた。
人間というのはつくづく主観的な生き物なのだなぁと改めて思った出来事だった。
話題は変わるけれど、パソコン作業のお供に Noisli (ノイスリって読むのだろうか?)はおすすめです。
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