いま「作品」の根拠を問う

建築作品小委員会主旨文

川井操
建築討論
2 min readJan 31, 2018

--

建築における「作品」とは何か。建築作品小委員会では、このような遠大ともいえるテーマを掲げ活動に取り組みたい。「作品」に注目することについては、以下の二点を問題意識とする。

まず一点目は、状況論や社会論ではなく、具体的な「建築物」である「作品」をもとに議論を組み立てる、ということである。これは、建築家や建築関係者の活動が、必ずしも建築・建設という行為のみならず、ソーシャル・デザインなど分野横断型になりつつある現状が、如何にして建築物そのものに影響を与えるかを問うことを企図している。

二点目は、現代における「作品」の定義を改めて考える、ということである。上述のように建築家が扱うフィールドや社会的な課題が多様化し、建築を支えるための確固たるイデオロギーも存在しない中、必ずしも空間的な特性をもつ構築物だけが「作品」とは言えない状況が確かに生まれている。だからこそ、われわれは今、「作品」の根拠を改めて問うことができるのではないか。

現在的な問題意識の上で、具体的な場において考え、対話し、歴史に接続させながら、多角的に「作品」を検証することでその意義を確かめていきたい。

建築作品小委員会一同

建築作品小委員会(2015年〜)
川井操(主査、滋賀県立大学助教)
和田隆介(幹事、フリーランス編集者)
吉本憲生(幹事、横浜国立大学産学連携研究員)
石榑督和(東京理科大学助教)
市川紘司(東京芸術大学助手)
岩元真明(九州大学芸術工学部助教)
川勝真一(RAD)
京智健(京智健建築設計事務所)
辻琢磨(403architecture [dajiba])
能作文徳(東京工業大学助教)
水谷晃啓(豊橋技術科学大学講師)

写真:建築作品小委員会の様子

--

--

川井操
建築討論

かわい・みさお/1980年島根県生まれ。アジア都市研究・建築設計・建築計画。滋賀県立大学環境科学部准教授。2005~2006年、2011~2013年に中国で建築設計実務に携わる。