建築討論
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緻密な木取りが山を生かす

『建築雑誌』を読む 04|1736号(202004)特集「山を考える建築・森と街をつなぎ直す」

1.林業、木材産業、木造建築をめぐる問題

現代は林業を生業とすることが難しい時代といわれる。林業が盛んだった時代に比べて製材歩留まりと価値歩留まりが悪くなったことで、立木や原木の価格が著しく落ちためである。大貫肇氏の示すデータによれば、50年もの間、製材品の価格変動がほとんどないにも関わらず、ピーク時からの価格下落率が丸太は約3割、立木に至っては約1割という恐るべき数字となっている。歩留まり低下のしわ寄せが全て川上に行っている現況が明らかにされた。

2.緻密な「木取り」の欠如が「歩留まり」低下を生む

これらをみていくと、歩留まり低下の直接的原因が「木取り」であることがわかる。木取りとは、一本の原木から製材品を効率良く採材するために、鋸を入れる位置や順序を決める作業である。この木取りの良し悪しによって製材品の質と量が決まり、その結果として歩留まりが決まる。

3.問題解決に向けて

歩留まり低下の直接的な原因が緻密な木取りの欠如で、それを発生させている問題が上述の1)~4)にあるとすれば、改善には次の取り組みが重要である。

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山田憲明

やまだ・のりあき/山田憲明構造設計事務所代表取締役/単著『ヤマダの木構造』。共著『構造ディテール図集』/第22回JSCA賞作品賞「国際教養大学図書館棟」。第7回日本構造デザイン賞「東北大学大学院環境科学研究科エコラボ」。2021年日本建築学会賞(作品)「上勝ゼロ・ウェイストセンター」