016 | 201802 | 特集:建築批評 吉村靖孝《フクマスベース/福増幼稚園新館》

Architectural Review : Yasutaka Yoshimura [ FUKUMASU BASE / FUKUMASU KNDERGARDEN ANNEX]

川井操
川井操
Jan 31, 2018 · 3 min read

目次

01 座談会:システムの上書きから作品性は生まれるか?
02 寄稿:連勇太朗「失敗している(かもしれない)建築 」
03 ショート・レビュー:建築作品小委員会より


特集前言

川井操(建築討論委員会/滋賀県立大学助教)

吉村靖孝は、大量生産による市場や法制度といった社会システムの中で生じる「綻び」をデザインの契機と捉え、その積極的介入を試みてきた建築家である。中でも既製品テント倉庫をそのまま使った《フクマスベース/福増幼稚園新館》(千葉県市原市,2016)はその試みを代表する建築作品といっていいだろう。そこで今回、「いわゆる既製品(レディーメイド)が建築作品へといかに昇華されるのか」という問い立ての下、建築批評の対象作品として選定した。

まず作品を選定するにあたって、2017年6月30日に開催された建築作品小委員会にて、委員による推薦作品を募った。そして以下の6作品が候補として上げられた。

1. 《豊岡中央交流センター》(渡辺隆建築設計事務所)
2. 《Casa O》(高橋一平建築事務所)
3. 《私設大室美術館》(大室佑介アトリエ)
4. 《HAUS-004》(大室佑介アトリエ)
5. 《casaco》(tomito architects)
6. 《フクマスベース》(吉村靖孝建築設計事務所)

議論を重ねた結果、《フクマスベース》の方法論・作家性・場所性のあり方から、以下の理由が注目を集め選定された。

・既製品テント倉庫とその中の自立した壁を分離した構成
・あらゆる建材が既製品化する中、その組み合わせによる創造性・作家性
・コスト的制約の大きい現代の設計業務におけるローコスト化の可能性
・首都圏郊外地において生み出される建築の場所性

企画するにあたって、10月28日(土)に委員6人(川井、吉本、和田、川勝、辻、水谷)による現地見学を実施した。その後、建築会館にて吉村靖孝氏をお招きして作品解説をしていただき、委員を交えた座談会を実施した。

本特集では、まずその座談会「システムの上書きから作品性は生まれるか?」を掲載する。続いて、吉村建築の作品性をより漸進的な視点から浮き彫りにすべく、建築家の連勇太朗氏(モクチン企画代表理事)に「失敗している(かもしれない)建築」を寄稿していただいた。最後に当日参加した6人によるショート・レビューを掲載する。

写真:《フクマスベース》外観(撮影:吉村靖孝)

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川井操

Written by

川井操

かわい・みさお/1980年島根県生まれ。アジア都市研究・建築設計・建築計画。滋賀県立大学環境科学部准教授。2005~2006年、2011~2013年に中国で建築設計実務に携わる。

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