017 | 201803 | 特集:イベント・レビュー 戦後空間シンポジウム01 民衆・伝統・運動体

戦後空間WG & 10+1 website 連携/PEOPLE, TRADITION and CULTURAL MOVEMENTS

KT editorial board
建築討論
5 min readFeb 28, 2018

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冷戦の世界地図と、現実社会の変革とを結びつけようとした1950年代の文化運動・文化政策。建築の民衆論・伝統論もそのなかにあった ── 。

目次

◆10+1 website|201802 |戦後空間の萌芽としての民衆論・伝統論

鳥羽耕史+ケン・タダシ・オオシマ+日埜直彦
1 冷戦の地図と運動の地図 ── 議論のフレームワーク
2[討議]建築と文学、日本とアメリカ ── 1950年代の呼応関係/1950年代の日本文学における伝統
3[討議]地政学としての戦後空間/「戦後空間」の萌芽としての表現と方法

◆建築討論|017|201803|特集:イベント・レビュー 戦後空間シンポジウム01 民衆・伝統・運動体

1 逆井聡人|皮膜としての「民衆」── 冷戦期日本の「国民」の範疇
2
高田雅士|「戦後空間」を民衆の側からとらえ返す
3
辻泰岳|戦後空間の肌触り ── シンポジウム「民衆・伝統・運動体」について

10+1 website 201802 PICKUP 戦後空間の萌芽としての民衆論・伝統論

今号の特集は 10+1 website 誌の協力により上記のかたちで実現した。むろん同時に本会〈戦後空間WG〉との連携企画でもある。

戦後空間WGは、2017年1月、本会歴史意匠委員会のもとに設置された新しい活動体である。設立の趣意は、会誌『建築雑誌』に次のようにある。

戦後空間WGは、日本の戦後が構築しようとした理念・都市・建築のビジョンを再考することで、今この現在からその相対化を進めるとともに、なお継承すべき普遍的信念や課題を摘出し、その種子を磨き、取り次いでいくことを企図する活動体である。(学会発 第1回「戦後空間ワーキンググループ」、『建築雑誌』no.1706, 2018年1月号 p.40)

「戦後空間シンポジウム01 民衆・伝統・運動体」はこのWGのキックオフ公開イベントとして開催されたもので、プログラム概要は下記のとおりであった。

戦後空間シンポジウム01「民衆・伝統・運動体」
2017年12月16日

◆主旨説明
◆講演1 文化運動のなかの民衆と伝統/鳥羽耕史(日本近代文学・戦後文化運動・早稲田大学)
◆講演2 日本とアメリカの建築的交流:「民衆」と「伝統」をめぐる文脈の輻輳/ケン・タダシ・オオシマKen Tadashi Oshima(Architectural History, Theory and Representation, University of Washington)
◆コメント 日埜直彦(建築家)
◆討議

10+1 website ではシンポジウムの枠組みと報告および討議の記録が掲載され、本誌では逆井聡人(日本近代文学・表象文化論)、高田雅士(日本近代史)、辻泰岳(建築史・美術史)の3方にシンポジウムに参加のうえレビューを執筆いただいた。これまで建築ジャーナリズム内部の議論としてのみ語り継がれてきた50年代の「民衆論」「伝統論」が、どれほど大きな地図と錯綜した線のなかにあったのか ── 議論のアリーナが設営し直されたという印象である。

戦後空間WGでは、今後もさまざまな主題を掲げた大小の議論の場をもうける予定だ。〈戦後空間〉のかたちは次々に描き変えられ、複数化し、やがて立体的な相貌を顕すだろう。

*本企画では紙幅の関係でシンポジウム討議のうち来場者との議論は活字化できなかったが、そこに含まれた重要な論点の一部は、本誌掲載のレビュー記事のなかに反映されている(編)

伊藤ていじ「山形にみる地方の造形」(『新建築』1957年7月号)より

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建築討論委員会(けんちくとうろん・いいんかい)/『建築討論』誌の編者・著者として時々登場します。また本サイトにインポートされた過去記事(no.007〜014, 2016-2017)は便宜上本委員会が投稿した形をとり、実際の著者名は各記事のサブタイトル欄等に明記しました。