特集前言

建築作品小委員会より

dot architectsは、これまでの《Umaki Camp》や《№00》に代表されるように、一建築家の決定によって作られるいわゆる建築作家作品ではなく、複数の主体が設計・施工・運営に関わることで既存の計画学には嵌らない建築作品を生み出してきた建築家集団である。彼らの本拠地・北加賀屋にある《千鳥文化》は、地域性の色濃い建物の文脈を丁寧に読み解き設計され、そして自ら主体的に運営するという意味でも、一連のdot architectsの設計アプローチを集約した建築作品といえるのかもしれない。ただし、そこにある「作品性」はいわゆる建築家作品とどう接続あるいは分断されるのか、状況論に依拠してしまうのか、そうした《千鳥文化》の持つ建築作品として不可思議さを紐解くべく、建築批評の対象作品として選定した。

今回は、2017年10月28日に開催された建築作品小委員会にて、以下の3作品が候補として挙げられた。議論の末、最終的に《千鳥文化》を建築批評の作品として選出した。
1. 中川エリカ《桃山ハウス》
2. 大井鉄也《木之本宿 オフセット町家》
3. dot architects《千鳥文化》

本特集にあたって、2月18日(土)に委員5人(川井、辻、能作、吉本、和田)による現地見学を実施した。現地にて、dot architectsの家成俊勝氏をお招きして作品解説をしていただき、委員を交えた座談会を実施した。またゲストレビュアーとして建築家の川島範久氏、常山未央氏をお迎えした。

本特集では、まず座談会「ポリティカル・マテリアリティ:素材と政治性」を掲載する。続いて哲学者の篠原雅武氏には、近年の社会学的状況と重ねて「建築の自律性」を巡る論考を寄稿していただいた。建築家の常山未央氏にはロンドンとベルリンの事例を参照しながら、《千鳥文化》の「都市のコモンズ」としての潜在性を寄稿していただいた。最後に今回参加した小委員会メンバー(辻、和田、吉本、川井、能作)によるショートレビューを掲載する。

《千鳥文化》西側外観(photo by Yoshiro Masuda)
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