028 | 201902 | 特集:建築批評 東急設計コンサルタント 小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt《渋谷ストリーム》

Architectural Review : TOKYU ARCHITECTS & ENGINEERS, KAZUHIRO KOJIMA + KAZUKO AKAMATSU / CAt [ SHIBUYA STREEM ]

目次

  1. 座談会:微細な流れの集積としての都市建築
  2. 寄稿文①:難波和彦「〈小さな矢印の群れ〉がつくる街路」
  3. 寄稿文②:石榑督和「 開豁な再開発の足元」
  4. ショートレビュー:建築作品小委員会より

特集前言:巨大開発に関わる建築家の可能性

現在、渋谷は大掛かりな再開発のただ中にある。東急グループが中心となり進めるこの再開発では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時期に向けて複数の巨大プロジェクトが進行しており、組織設計事務所と建築家がチームを組み、それぞれの計画に取り組んでいる。そのなかで、一足早く完成した《渋谷ストリーム》を、今回の特集では取り上げたい。
《渋谷ストリーム》は、東急設計コンサルタントと小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt(デザイン・アーキテクト)の設計によって2018年7月に竣工した、高層部にオフィス・ホテル、低層部に商業施設・多目的広場(フットサル用)、別棟に多目的ホールを有した複合施設である。高層部こそ巨大ボリュームが立ち上がって見えるが、低層部は縦横にさまざまな抜けのあるポーラス(多孔質)な空間が実現している。こうした空間の質は、これまでにCAtが学校建築で試みてきた空間とも連続したものであり、大きな資本がからむ再開発の空間として画期的であるといえよう。
今回、CAtは「デザイン・アーキテクト」という限定された役割であった。にもかかわらず、いかにして表層のデザインにとどまらない空間を獲得することができたのか。《渋谷ストリーム》をとおして、建築家がもういちど都市や開発にかかわることの可能性について考えたい。
(担当:和田隆介、岩元真明)

本特集にあたって、2018年12月27日に赤松佳珠子氏(CAt)に現地を案内して頂き、建築作品小委員会8名(和田、岩元、伊藤、川勝、川井、辻、能作、吉本)を交えて座談会を実施した。

本特集では、まず座談会「微細な流れの集積としての都市建築」を掲載する。次に、渋谷を拠点とする建築家の難波和彦氏(界工作舎/東京大学名誉教授)に寄稿文を依頼した。続いて、戦後の東京副都心ターミナルを中心とした闇市を研究し、渋谷都市開発史に詳しい石榑督和氏(東京理科大学)に寄稿文を依頼した。最後に建築作品小委員会によるショートレビューを掲載する。

《渋谷ストリーム》[Photo by CAt]