[3] 復興の風景

038|201912|特集:福島、風景と注釈

KT editorial board
建築討論
5 min readDec 2, 2019

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発災からまもなく9年。2016〜17年頃を節目として、原子力被災12市町村は復興のフェーズに入った。もっとも、特集前言でも述べたように、いまだ除染未了の地域も少なくなく、福島の状況を単純化するわけにはいかない。読者諸氏にはこのことをじゅうぶん踏まえていただきながら、比較的早期に実現した災害公営住宅・復興公営住宅、沿海部の防災緑地公園、復興交流館、駅の風景をご覧になっていただきたい。(編集部 A)

photo 3_01|災害公営住宅「広野腹団地」。|広野町|2016年12月12日 撮影(A)
photo 3_02|2016年とかなり早期に入居開始に至った災害公営住宅「楢葉町中満南住宅」。中通りを南北に貫く国道6号線に沿った立地で、団地に隣接して保育園や医療機関、商店街もある。|2017年6月18日 撮影 (A)

避難指示の解除にともない各自治体による災害公営住宅の整備も進んでいる。福島県下では木造・平屋建・2戸1棟の形式をとるものが多いようだ。

災害公営住宅とは、災害により住宅を失い、自ら住宅を確保することが困難な人を対象に、地方公共団体が国の助成を受けて整備する低廉な家賃の公営住宅である。早いところでは2017年前後に災害公営の整備を一気に進めたが、概して空室率が高く、各自治体では入居対象者の範囲を拡大したり、他自治体が整備した災害公営への入居を認めたりするなどの柔軟な運用が進められているようだ。

photo 3_03|同上。|2017年6月18日 撮影 (A)
photo 3_04, 05|葛尾村復興公営住宅|三春町恵下越|2019年10月20日 撮影(A)
photo 3_06|約3年前の防潮堤建設工事の様子。|南相馬市小高区 浦尻|2017年1月7日 撮影(A)
photo 3_07|「ひろの防災緑地」。いわゆる防潮堤(TP+8.7m)に、県道のかさ上げ(TP+10.7m)、さらには防災林や防災緑地を組み合せた施設。|広野町|2016年12月12日撮影(A)
photo3_08, 09 |同上。左の写真で遠くに見える煙突は東京電力火力発電所。|広野町|2016年12月12日撮影(A)
photo 3_10|みんなの交流館「CANvas」。ウェブサイトはこちら。|楢葉町北田字中満|2019年10月21日撮影(A)
photo 3_11, 12 |葛尾村復興交流館「あぜりあ」|葛尾村 落合|2018年11月2日撮影(A)
photo 3_13|富岡駅にJR常磐線の車輌。帰還困難区域の双葉町と大熊町には鉄道も通行できないため、南からは富岡駅、北からは浪江駅が「終点」となっているが、それでも鉄道が動き、旅客が乗り込む姿が日常に。|富岡町|2019年9月17日撮影(A)
photo 3_14, 15, 16|富岡駅をこえて沿岸の防災緑地公園と内陸部とを結ぶ高架道路。|富岡町|2019年9月17日撮影(A)

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建築討論委員会(けんちくとうろん・いいんかい)/『建築討論』誌の編者・著者として時々登場します。また本サイトにインポートされた過去記事(no.007〜014, 2016-2017)は便宜上本委員会が投稿した形をとり、実際の著者名は各記事のサブタイトル欄等に明記しました。