BAMBOO THEATER(能作文徳建築設計事務所)

能作文徳/BAMBOO THEATER / Fuminori Nousaku Architects [建築作品小委員会選定作品]

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建築討論
4 min readSep 28, 2017

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解説文

敷地はフィリピン、マニラにあるヴァルガス美術館の前庭。用途はパフォーマンスアートのための野外劇場である。アジアの若いアーティストが集うことから、アジア圏の多くで主食となっている「米」が、アジア圏の共通性となっていることに着目して、米に関係する物質循環のネットワークの中で、どのような建築ができるか模索した。マニラの市場で見つけたカラフルな米袋を屋根葺材に、米農家の庭に植わっている竹(農機具や杭や小屋に使われている)を構造材に用いた。

収穫できる最大11メートルの竹の長さをそのまま生かして、叉首組にして単純で安定した構造形式にした。竹の根元を1メートル鉄筋コンクリートのシリンダーに埋め込み地面に固定し、水平方向に母屋を流して米袋を取り付けた。既存の前庭の窪地による高低差を観客席や舞台としてそのまま生かし、その上に簡単なサーカス小屋のような屋根をかけることで、お祭りのように仮設的であり賑やかな場所をつくりだそうと考えた。

データシート

建築名称 :BAMBOO THEATER
所在地:フィリピン、マニラ
主要用途:野外劇場
設計:能作文徳建築設計事務所
設計協力者:Rosario Encarnacion Tan
施工:Rosario Encarnacion Tan & Avelina Gabat
設計期間:2016.5~2016.12
施工期間:2017.1~2017.3
構造:竹造
基礎:鉄筋コンクリート
最高高さ:7.79m
建築面積:78.3㎡

Originally published at touron.aij.or.jp on September 28, 2017.

能作文徳
建築家。1982年富山県生まれ。2012年東京工業大学大学院博士課程修了。博士(工学)。現在、東京工業大学大学院建築学系助教。2010年「ホールのある住宅」で東京建築士会住宅建築賞受賞。2013年「高岡のゲストハウス」でSDレビュー2013年鹿島賞受賞。主な著書に『コモナリティーズ ふるまいの生産』(共著、LIXIL出版、2013)、『シェアの思想/または愛と制度と空間の関係』(共著、LIXIL出版、2015)。第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築出展(審査員特別賞)。

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建築討論委員会(けんちくとうろん・いいんかい)/『建築討論』誌の編者・著者として時々登場します。また本サイトにインポートされた過去記事(no.007〜014, 2016-2017)は便宜上本委員会が投稿した形をとり、実際の著者名は各記事のサブタイトル欄等に明記しました。