タイトル通り、書くことは専門的な営みであることを認識している人が少ない、というより少なすぎると思う。
まあ要は、このつぶやきなのだが。
ネットで下記記事を見かけ、ふむふむと読んでいたのだが、そもそも記事広告がどうこうとか、ウェブにおける成果ってなんなの以前に、書くことを「誰でも出来る作業」だと思っている人が多すぎる。
もちろん多くの人は、普段から日本語を話し、日本語で書いているため、文字通り「書く」ことであれば、それほど難しくはない。
しかしながら、紙であろうがウェブであろうが、何か文字によって情報を伝達する作業は、(ほとんどの場合)単なる書き起こしではなく、「情報を適切に整理し、読者に分かりやすく編集して伝える」ことを意味する。
これは想像するよりも遥かに難しい。
またそもそも、事実を適切に描写するという誰でも出来そうな作業であっても、実はそれほど容易ではない。たとえば、
ゲームをやる人が増えたので、凶悪犯罪が増えている
という一文があった時、そもそもゲームをやる人と凶悪犯罪が増えているのかという事実確認も必要だし、その因果関係を立証するとなると、それはそれは大変な作業だ。
別にネットに限らず、昔から因果関係を無視したトンデモ本は存在するため、ネットによって悪文が増えたと主張するつもりはない。
ただ少なくとも、誰しも自分の文章を世の中に公開することができるようになった現在、私たちが真偽不明な情報と出会う総量は、相対的に増えているはずだ。
もちろん、一文一義やパラグラフライティングなど、良い文のつくり方をノウハウとして抑えておくことも出来るが、文章を書くためには、論理的思考や批判的思考、適切な情報ソースのあたり方など、前提として知っているべき事項は非常に多い。
その意味で、文を書くことはそれ自体が非常に専門性の高い営みなのだが、なかなかそれは人口に膾炙した見方ではない気がする。もちろん、専門性の高い人間は文章を書くなと言う暴論を言いたいわけではないが、少しでもこの前提が共有されると、世の中は少しハッピーになる気がする。