【インタビュー】理化学研究所生命機能科学研究センター発生動態研究チーム大浪先生

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この度、Kiaraをご愛用いただいている国立理化学研究所生命機能科学研究センター発生動態研究チーム、チームリーダーの大浪修一先生にお話しを伺うことができました。

大浪 修一先生のご紹介

大浪 修一先生は、国立理化学研究所生命機能科学研究センター発生動態研究チーム、チームリーダーで、大量の定量動態情報を利用した発生のシステム解析や発生の数理モデルの構築、発生動態の定量化技術の開発について研究しておられる素晴らしい先生です。
普段私たちがお話しを聞けるような方ではないのですが、今回、快くインタビューをお受けいただき、大変光栄に思っております。

Kiara導入前、どういう課題がありましたか?

研究室でSlackを導入していましたが、日本語の読み書きが不自由な一部外国人メンバーと英語の読み書きが不自由な一部日本人スタッフへの配慮から、Slackへの書き込みは可能な限り日本語と英語の併記としていました。しかし、日本人スタッフの人数が外国人スタッフと比べて多かったこともあり、実際には、特にカジュアルなコミュニケーションについては日本語のみで行われることが徐々に多くなり、日本語が不自由なスタッフは、書き込まれた日本語を自ら翻訳して読むという状況になり、研究室スタッフ間での情報流通の平等性が実現できていないことに大きな問題を感じていました。

Kiaraはどのように課題を解決していますか?

Kiaraを導入し、研究室のSlackの全てのチャネルでの会話を日本語→英語、あるいは英語→日本語で同時翻訳しています。これにより、研究室スタッフ間での情報流通の平等性が顕著に改善されました。

Kiara導入前は、研究室Slackにおいて日本語のみで行われるコミュニケーションが増えていましたが、多くの日本人スタッフは、日本語が不自由なメンバーの存在を認識していたため、このことについて罪悪感を感じていたと感じられます。Kiara導入後は、この罪悪感が払拭されたと考えられ、研究室におけるSlackでのコミュニケーションが活発になりました(投稿量が増えた)。また、日本語や英語以外を母国語とするメンバーのために特別なメッセージがある場合には、特別に、日本語/英語からその母国語への翻訳を行うなど、研究室内のカジュアルなコミュニケーションにおけるスパイスのような使われ方もされており、想定外の効果も得られています。

Kiaraを友人に勧めるとしたら、どのようなチームに向いていると思いますか?

日本語が不自由な外国人と英語が不自由な日本人が混在しているチーム。特に、その職務の性質上、英語でのコミュニケーションが上達することが必ずしも必須ではない日本人スタッフが含まれているチーム。

我々のチームの場合には、研究員、技師、学生は、英語が世界標準語になっている科学業界で活躍するためには、英語でのコミュニケーションが上達する必要があります。しかし、実験や情報解析の遂行を担当するテクニカルスタッフや、それを補助するパートタイマーは、研究室内での職務が中心なので、必ずしも英語でのコミュニケーションが上達することが必須ではありません。

大浪先生からのメッセージ

理化学研究所生命機能科学研究センターでは、多細胞生物の発生の予測可能な理解を目指し、分子細胞生物学、生物物理学、ゲノム科学、計算科学、情報科学、数理科学等を融合し、発生システムの数理モデルの構築と、発生の定量的研究のための技術開発を行っています。近年は特に、大規模な顕微鏡画像データを活用した発生のデータ駆動モデリングや顕微鏡画像データ/生命動態データの国際的な共有化、標準化を強力に展開しており、生命科学分野のオープンサイエンスおよびDXをリードしています。

大浪先生、この度はお忙しい中、快くインタビューをお受けいただき、誠にありがとうございました。

大浪先生の研究概要など以下にまとめておりますので、よろしければご覧ください。

■研究概要

多細胞生物の発生は時間的空間的に動的な過程です。受精卵と呼ばれる一つの細胞は細胞分裂を繰り返して様々な機能を持つ細胞を作り、それらが特定の位置に配置されることにより、複雑な構造を持つ器官や個体が作られます。このような時間的空間的に動的な過程のメカニズムを理解するためには、現象の定量化と数理モデル化、計算機シミュレーションを組み合わせた定量的計算科学的アプローチが有効です。当研究チームは、分子細胞生物学、生物物理学、ゲノム科学、計算科学、数理科学等の研究手法を統合的に用い、線虫C. elegans胚やマウス胚、立体培養系等をモデル系として発生システムの数理モデルを構築し、多細胞生物の発生のメカニズムの解明を目指します。

理化学研究所生命機能科学研究センター発生動態研究チームより引用

■プレスリリース:ゲノムの動きをシミュレーションする新手法

■大浪先生の国内会議での研究講演の動画(2020/10/14)

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