バルタザール・コルマウクル監督 / エベレスト 3D

Takashi Okada
King of Life
Published in
3 min readNov 19, 2015
Everest

1996年5月、8名の死亡者を出したエベレスト登山史上最悪の遭難事故の映画化。
もうね、オイラも登山家の端くれとして観ないわけにはいきませんよね ! てウソです。

ついこの間、韓国岳(標高1700m)にてヒーヒー言ってたオイラですが、なにか。

この映画、実話というところがね、ほんと怖いです、ほんと寒いです。

ちなみにこの事件と同時期に、チベットから登頂する北稜ルートでもインド・チベット国境警察隊の遭難が発生、3人が頂上付近で死亡。また2週間後南アフリカ隊の一名が死亡。都合このシーズンは12名の命が失われたということなんですな。

映画の中にも登場するアドベンチャー・コンサルタンツ隊の日本人顧客 難波康子さんも、もちろん実存の人物でした。

エベレスト / 8,850m は、初登頂以来216人が命をおとし150人の遺体は未だ放置されたままらしい。8000m付近デスゾーンと呼ばれる地帯に一度行くと “ ボクシングでボコボコに殴られてノックダウンされるのと同じレベルで脳細胞が死ぬ ” らしいし、他人を救助したり遺体を運ぶという行為は、まさしく自らの命を削る世界ちゅ~ことです。

なんでこんな大事件が起きたかというと、一言で言えば「判断ミス」ってことになるんだけど、結局は「あきらめきれないヒトの欲」がそれを起こさせてるワケで。この映画を観て思ったのはですね、「そこに山があるから登るんだ」ていうなんか “ ピュアなイメージ ” なんかとは、まったく裏腹な世界がそこにあって

「エベレスト、そこは人間の業の吹きだまりというか」修羅場というか、もう凄惨きわまりないとこなんですね。

もちろん登山の商業主義、あるいはレジャー化が進んだ結果が、より事態を大きくしたことには違いないワケなんですけど、人間の存在、人智、努力、財力、機動力やチームワークなんぞ、いったん機嫌を損ねた自然(というか地球というか)の前では、何の役にも立たないという、身も蓋もない映画でもありました。

しかし、その商業主義と思い切り矛盾をはらんでますがこの映画、どうやって撮影したのでしょうか。

まったく想像しただけでおとろしい3D映画であります。DVDでメイキングとか是非観てみたいですね。

オイラ、いまいち3D眼鏡との相性が悪いので、2D版を観たかったのですが、時間が合わずに3Dを観るハメになりました。

まあ、目もくらむ足もすくむ◎◎縮みあがる映像世界でありました。

サバイバル映画というより、もう為すすべもなく人間がやられてゆくだけなんですが、一見の価値ありの極寒映画。

いやあ、面白かった。

おかげさまでオイラも、やっとエベレスト登頂をあきらめることが出来ました、ナンチテ。

あ、蛇足ですが イモトアヤコ もエベレスト断念してよかったですよ、シャレならんし、マジ世界の果てまで イッちゃいかんよ。

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Takashi Okada
King of Life

ムダヅカイキング。 雑貨屋家業歴27年 What→SoWhat→Sundries→M4What。Postmark 代表を経て 中町ベルク商店街に復帰、只今事務局長。包丁づかい苦手な料理好き。妻から鍋の購入禁止令を出される。ノワール小説とJAZZが好き。最近、麻婆豆腐を探求。愛機は、Fujifilm X-T1 。