職住同一から職住近接になってわかったメリット・デメリット

働き方改革が叫ばれる中、個人事業主として、生活と仕事の職住のパターンを実践した経験をまとめてみた。

Takeshi Kakeda
kkd’s-remarks
10 min readOct 24, 2017

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先日、SNSでこんな記事が流れてきた。まさに最近同じような感じの状況になったので、自分の場合についてを書いてみたいと思う。

ただし、この記事とは前提が異なる。それは、職住同一から職住近接への変容の結果だ。

状況

職住同一は強い結びつき(あえて同一にはしていない)

元々、自宅を仕事場として利用していた。自分の最近の仕事は、客先へ行ってのコンサルティングと、オンラインでのコンサルティングが多いので、オンラインミーティングを頻繁に実施している。出張や客先に行くときはその限りではないが、PC上の仕事は自宅で完結できる。いわゆる職住同一だ。

以前は、松山市の中心部のコワーキングスペースやカフェに行って仕事をしていた。しかし今やっている仕事は多数の文献を参照しなくてはならなく、移動にそれらの文献を持参していくのはさすがに大変なため、次第に外出して仕事をする機会が減ってしまった。

職住同一のメリット

自宅で仕事をするメリットは、家族と食事や会話などの交流が多くできることと、家事の分担がしやすいということだろう。妻は勤めに出ているので、平日日中の子供の習い事のお迎えは自分がやっている。二人共勤め人だと休みをとったりするのはなかなか大変かもしれない(そういうのがしやすくなるのが働き方改革!?)

また、昼食は自宅で済ませるようにしている。庭で栽培している野菜を収穫してすぐに食べたり、ありあわせの食材で昼食を作ることは、良い気分転換になり、なにより食事のバランスを考えることができるので気に入っていた。

雨が降りそうなら、洗濯物を取り込みに行けるし、学校で子供に何かあったらすぐに駆けつけることができる。共働きかつ奥さんが勤め人の場合には、このメリットは生活を回していくのにとても便利だ。

(他方、人と合わなくなる、というデメリットも内包しているのだが。。。)

課題は何か?

しかし、オンラインミーティングの時間帯が、早朝(7:00)や、夜(18:00以降)も増えてきて、家族に迷惑がかかるようになってきた。

自分の作業スペースは居間と連続するスペースのため壁やドアで区切られていない。そのため、TVの音や会話が聞こえてくる。

これまで、朝のバタバタする時や、夜にリラックスしながらTVを見ている時に音や声を立てないよう、家族にお願いしてきた。その御蔭で自分がオンライミーティングしている時は、TVの音も最小にし、会話もささやき声で行ってくれるので助かってはいた。しかし、家族に迷惑をかけているという後ろめたさは残っていた。

更に、自分の仕事場の壁向かいの義母の部屋へ、こちらの会話などの音が、早朝や夜間に聞こえるのもよくないのもわかった。

仕事を自宅で行うことで、多くのメリットがある反面、生活と仕事の境界がなくなったがゆえの弊害も明らかになってきたというわけだ。

葛藤

家族との時間がとれる職住同一の魅力は非常に高い。しかし同一であるがゆえの弊害も確実にある。

自宅の仕事場を、完全に隔離した部屋にしてしまう、という方法は1つの手ではあるが、現在開いている部屋はないし、現在のスペースに壁や扉をつけて防音対策をするのはコスト的に現実的ではない。

我が家のリビングをリフォームした時の設計思想として、子どもたちも含めて、完全に仕切られている部屋がなく、部屋は緩やかに繋がっている(大きなアルコーブをイメージしていただきたい)。この設計思想は崩したくない。

単に外に仕事場を求めるのであれば、コワーキングスペースで良いのだが、元々の状況にあったように、職住同一のメリットの各種が失われてしまう。

解決策は職住近接

職住近接はゆるいつながり

その結果、今年の夏に、自宅から徒歩3分のマンションに部屋を借りて仕事場とした。家賃は31,000円、光熱費やネット回線を含め6万程度となり、なんとか借りる事ができる金額だ。

通勤3分、昼食は自宅、移動中にトレーニング

朝は自宅から歩いて出勤する。必要な生活備品は自宅から持参していくので仕事場に常備しておく必要もない。仕事場は1ルームではあるが、なんとか人をお招きしてミーティングができる環境にはなっている。

自宅では置けなかった据え置き型のホワイトボードも設置できたので、特にブレインストーミングが格段にやりやすくなった。本が溢れていた自宅の書棚の一部を仕事場に移し、自宅の本が減り、仕事に必要な本だけの快適な空間ができた。

仕事をする環境としては、自宅の時よりも格段に向上したといえる。

昼食時は自宅に戻って済ますのはこれまで通りだ。毎週水曜の子供のお絵かき教室への送り迎えもできる。自宅から仕事場への道中に公園があるので、寄り道をして雲梯で懸垂などの公園トレーニングもできる。

夕食ができる時間帯には、自宅に戻り家族と食事をともにする。我が家は子供が3名で賑やか(騒がしいとも言う)な食卓を囲んでいる。仕事の状況によっては、再び仕事場に戻ることもあれば、そのまま戻らない(=帰宅)こともある。

職住同一を少し距離をとって職住近接にした結果、同一がゆえの弊害を克服し、仕事と生活のし易い環境を作ることが出来たと思う。

新たに生まれてきたデメリット

しかし、このようにすることで、新たなデメリットも出てきた。

1. 仕事場に戻ると長居してしまう

夕食を済ましてそのまま仕事場に戻らない場合は特に問題はない。しかし一旦仕事場に戻ってしまうと、そこからずるずると長居をしてしまう傾向があった。

仕事のきりが悪い時は仕方がないが、居心地が良いがゆえについつい仕事場に滞在してしまい、あっという間に23時を過ぎてしまう。せっかく自宅が近いのに、オフィスで残業していて、帰宅したら子供がすでに寝ているサラリーマン家庭と変わらないではないか!更に寝不足にもなりがちだ。持続可能な状況ではない。

このため、夜間のオンラインミーティング以外は、無理にでも家に帰るようにすることにした。

2. 場所が増えると管理対象も増える

あくまでも仕事場なので、ガスも引いていないし、荷物も最低限で引っ越しをしたつもりだった。しかし滞在しているとどうしても荷物は増えてくる。

たまに、忘れ物をして自宅あるいは仕事場に取りに戻ることもある。こういった機会が増えていくと、次第に「二拠点に同じものを置く」ということになっていく気がしている。拠点間のつながりが段々と薄れて、個々が独立した拠点となっていくのだろう。

しかし、あくまで仕事をする場所として借りているわけなので、そこまで仕事場ですべてを完結させる必要はないと割り切ることにする。個々の拠点が独立すればするほど、管理(片付けなども含む)コストも増えるからだ。

3. コストがかかる

もちろん、仕事場を借りるコストもデメリットの1つと言っていいだろう。家賃と光熱費で合計6万円くらいは月々の出費となっている。今はいいがそのうち払えなくなるかも?という可能性もあるが、その時になって考えればいいかなという感覚でいる。家賃が払えないくらい収入がなくなってしまったら、そもそも個人事業を廃業した方がよいのかもしれない。

原さんの記事のメリットとデメリットをチェックしてみる

先の原さんの記事にもあるようなメリットはどうだろうか?

1.時間を有効活用できる

2.ストレスが軽減する

3.無駄に脳みそを消費しないで済む

これら3つのメリットに関しては、元々の職住同一の時代から、もっというと東京から愛媛に移住してきた時から感じている点だ。

次に、デメリットを見ていこう。

1.運動不足になりやすい

この点については、自分は走るのを趣味にしているのでまったく感じない。たとえ片道3分でも走っていけば運動になる。また通勤時間が減った分を運動の時間に使えばいいので、これをデメリットと考えるのではなく、通勤の時間がなくなって運動の機会が増えたと捉えたほうが良いだろう。

2.読書の時間が減った

この点については、会社員をやめてから、更に言うと、東京から松山に移住した時点で感じた大きなデメリットだ。

この解決法は自分で計画して読書の時間を作るしかないと感じている。通勤のような空いた時間がないのなら、読む時間を意図的に作るしかない。仕事の予定として読書時間を計画するのだ。あとは、トイレの中に本を置いておき、こまめに読むのも地味にオススメだ。工夫次第でなんとかなると考えている。もちろん、出張の際の移動時間は大事な読書時間、といいつつ寝てることも多いけど。

3.スイッチの切り替えがなくなった

この点については、通勤時間で切り替えるというよりは、仕事場について作業計画を立てることで切り替わると感じている。週の作業計画は、PCやスマホ上ではなく、スマホを見ながら週初めに手帳に週の計画を書き込むことで行う(メインはスマホのカレンダーだがアナログも使う)。日々のタスクは付箋に書いてカンバンに貼り日計画を立てている。これらをやってると否が応でも仕事モードになってくる。

たまに乗らない(=切り替わらない)時もあったりするが、そういう日は仕事だけでなく体調含めて調子が悪い可能性が高いので、極力ムリはしないようにしている。

まとめ

職住分離〜職住同一〜職住近接へ

職住同一から、職住近接への移行の際に起こったことをまとめてみた。自分の場合は、職住分離→職住同一→職住近接というプロセスを経て今に至っている。ここから、また職住分離に移行するのかどうかは、よくわからない。

これから数年間(子供が小学生の間)は大きく変わることは恐らくないとは思うが、子供が手を離れたり、妻が仕事を辞めたりすれば、また状況は変わるし、その時に最適な形を模索するだろう。未来は未定なので何が起こるかわからない。

原さんの記事の状況とはまた違うので一概に比較はできないが、いずれにしても、それぞれの仕事の形態、そして家族構成を含めた暮らしによって、どう変えるべきかは変わる。それぞれの状況において自分の優先することを明らかにして最適な形に変えていく必要があるだろう。

ここには挙げていないが、仕事する場所も、暮らす場所も縛られない職住自由という形もあるはずだ。自分は今のところ必要性も感じていないし実践もしていないが、そういったことが必要かつ出来るような状況なったら考えてみたい。

個人が、それぞれのライフスタイルの中で、何が最適なのかを追求した結果として、働き方を含めた暮らし方を模索・実現できる時代になってきたとことを実感する。

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Takeshi Kakeda
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I’m Thinker, Doer, Maker, iki-iki Generator and Runner in Ehime, Japan. My blog is https://tkskkd.com/