クリエイティブ屋がおやつを作るということ
コネルで、子どものおやつの商品開発を始めました。
と言うと、たいてい「は?!」と言われる。
私は主にバックオフィスを担当するワーキングマザー(初めてここに投稿します)。めまぐるしく活動するメンバーを支えるべく日々頑張っているつもり。
しかし食分野に詳しいわけでも強いこだわりがあるわけでもない。手作りおやつが趣味とか手料理が自慢ですってこともない。(それどころかこの頃はキットオイシッ◯スに頼りすぎて、料理の腕の退化に危機感すら感じる)
その私がなぜ、どうやっておやつを作って売ろうというのか?そりゃ驚かれるのは当然だと思う。
でも。
ごく一般的な、いやどちらかと言えば食に関して無頓着だからこそ、やろうと思ったのだ。
食は奥が深い。
食べ物は体を作る。
たぶん心も作る。
私には3歳・5歳の息子がいるが、特に子供にとって食はめちゃくちゃ大事。
栄養バランス、添加物、農薬、産地、味付け、食べ方、食べる量、食べる時間・・・あれを食べると良い、これはダメだ、こんな食べ方の悪影響は、、といった溢れる情報が頭をかすめる中で、
—いいのかこれで??という迷いでいっぱいの食卓につく。
普段の食事でそうなのだから、おやつの時間のモヤモヤはさらにひどい。
「私も働いてて時間ないから、おやつも手作りなんて物理的に無理だし」
「昼に保育園でちゃんとバランス良いもの食べてるから、油こってりスナックあげても良いよね」
「今日は休みだもん、喜ぶからチョコもグミもたっぷり解禁!」
と、誰に言いわけしてるんだか知らないが、何かと理由をつけて正当化されたおやつを与える。
母の心にうごめく、薄い、薄ーい、しかし蓄積する“罪悪感”。
親の心子知らず、だろうか。
いや、楽しいはずのおやつの時間にそんなお菓子ばっか食べちゃダメ!!と目をつり上げて子供を追いかけ回すのは、本来のコミュニケーションとしておかしいはずだ。
ふかしたお芋やこたつのみかんをおばあちゃんと分け合って食べるようなおやつは、もはや夢かまぼろしか。
でもこんなモヤモヤに毅然と立ち向かって、食生活を立て直すようなガッツは私にはない。
そして私のママ友を含め多くの母親が似たような状況だと思う。仕事や家事、教育、休日の過ごし方を考えるのに精一杯で、おやつのことなんて最後の最後。
賢く育てよと習い事に通わせたあとに、脳を破壊しそうな添加物と油こってりの棒状のお菓子(ご想像にお任せします)を与える矛盾。
ああ、なんとかこのモヤモヤを解消できないか。
本気のオーガニックやアレルゲンフリーまでいかなくても、素朴で優しくて美味しい、穏やかな気持ちで子供と食べられるおやつ。
そして願わくば、失われたおやつの時間のコミュニケーションを回復するような、楽しい仕掛けのあるおやつ。
ありそうで、あんまりない。
ならば、“作ってみようか” と。
そういうわけで立ち上がったのが、
【オノマトペのおやつ】プロジェクトである。
地域に眠る子どものおやつに適した食材や素材を発掘して、生産者の協力のもと、ママと子供に向けたギルトフリーな美味しいおやつへとアレンジを加える。
そこへ親子のコミュニケーションを促進するよう食感を表す擬音語〈オノマトペ〉をキーワードにデザインを加え、子供たちが親しみやすく“食べること”そのものを楽しめるエッセンスとした。
そして生産者の方々には、都市部の新しい客層へ向けたアプローチと、ふるさとの味の次世代への継承といったメリットを提供する。
現在シリーズの第一弾として、富山の老舗水飴店“島川”と、茨城の干し芋を扱う“幸田商店”の2社の協力で商品を発売予定だが、日々学びと発見と感謝の連続で、それはそれはそれは奥深い。(これは語り出すと長くなるのでまた次回!)
そしてもう一つ。
このプロジェクト立ち上げの後押しとなり、今後の原動力にもなりそうなのが、
“矛盾のない仕事” の追求である。
数年前に出会った名著〈自分の仕事をつくる〉https://www.amazon.co.jp/dp/4480425578/ref=cm_sw_r_cp_api_eS8IBbDVVXCSE
の中で出会ったこの言葉がずーっと心に残っていて、世の中に希少な、でも確実に追い風が吹きつつある“矛盾のない仕事※”を、このプロジェクトを通じて模索できるんじゃないかと思ったのだ。
(※矛盾のある仕事とは、例えば仕事で熱心に勧めている自社の商品をプライベートでは利用しないとか、“環境に優しい”と謳っている商品が実は劣悪な労働によって支えられているとか、本当に胸を張ってやりたいこと好きなことだとは言えない、建前や言い訳がブレンドされた、“よくある、ごく普通の”仕事のことである)
100%矛盾のない仕事なんてまぁ奇跡のようなものだとも思うけど、できるだけ純度の高い取り組みに挑戦することはできるし、そこを追求していく中でどんな壁があるのか、どんな喜びがあるのかを純粋に知りたいと思うのだ。
それを、オノマトペのおやつプロジェクトを通して、じっくりゆっくり試してみたい。
こんなごく普通の母親の、ともすれば思いつきとも取られかねない取り組みに、今多くの協力者が現れていることに心から感謝したい。
これからどうなるのか、どんな形に変わっていくのか、
それは誰にもわからないけど、楽しくひたむきに、もちろんビジネスとしてもしっかり前に進めたら良いなと思う。
そしていつか私みたいな迷える親子たちが、カリカリサクサクモチモチ言いながら、今よりもっと楽しいおやつの時間を過ごしてくれたら。
そしてそのおやつを作った生産者の方々に何か新しい幸せをもたらせたら。
そりゃあもう最高なわけです。
そうそう、クリエイティブカンパニーがこれをやる意義は?
それは簡単なこと。名がそのまま体現しているように、今世の中にないものを作るのが我々の生業だから。(アウトプットはちょっと変わってるかもしれないけれど)
今後をどうぞお楽しみに。
ちょっと大きな実験の、はじまり、はじまり。