低度テクノロジーがもたらす体験
金融、恋愛、ショッピング・・・あらゆる領域で技術革新が加速の一途を辿っています。高度テクノロジーはスムースな体験を提供し、ヒトが脳を使わずとも体験が進むようなUIが主流となっていますが、この潮流はすべてのケースにおいて善なのでしょうか?
Konelは2017年、いくつかの音楽フェスを視察しライブエンターテイメントを演出するテクノロジーが「高度化」しすぎることに疑問を持ちました。音・光・映像、演出要素がスムースにシンクロすれば「無意識に心地よい状態」が生まれます。
しかしテクノロジーによって演出効果をブラックボックスに隠すのではなく、むしろ「体感している出来事の因果関係をむき出しにした演出がグルーヴが高める」と仮説を立て、実験的プロトタイプを制作しました。
PLAYJACK (http://playjack.jp/)
PLAYJACKは振動を検知しラジオ波で光を発生させる、いわば「低度テクノロジー」で実現されています。
音楽・スポーツ・祭など、人々の熱量が高いシーンでは、因果がむき出しな演出が場を盛り上げ、それは低度テクノロジーによる実現が最適です。
2018年はテキサスで開催される世界最高峰の文化的祭典SXSWにてPLAYJACKを公開し、拡張のヒントを模索しに行きます。
SXSWでは「BEYOND WORDS」をキーワードに置き、セカイカメラやTelepathyを世に出してきた井口氏が率いるDOKI DOKI Inc.が世界初公開する「Transparent」との共同展示となります。
SXSWに参加される方は、ぜひご来訪ください。
井口氏とのセッションも行う予定ですので、別途SNSにて告知します。
以降、長くなりますが「低度テクノロジー」という思考に至った背景をメモします。
現状
ライブ会場でステージが発光している光景に心踊ったことは、多くの人が体験したことがあるでしょう。
音に合わせて光るとよりグルーヴ感が増していくわけですが、多くのケースでは照明担当者が光のテンポを調節していたり、デジタルに事前設定されたプログラムが制御しています。
ステージの光をみて、照明担当者やプログラムのことを想像する人はいません。終始アーティストのことを見ています。
原体験
TAICO CLUB 2017で、水曜のカンパネラのライブパフォーマンスを見ながら影響を受け、シンプルな仮説がうまれました。
「アーティストの動き」または「観客の動き」に連動してリアルタイムに発光すると、グルーヴは増大はずである。
いま、アーティストが飛び跳ねたことで観客席が眩しく光っている!
いま、観客がクラップしたことでステージがこんなにも光っている!
アーティストと観客という立場を超越して、同時に目にする光の発生理由が可視化されると、グルーヴは増大するはずです。
プロトタイプ
振動センサーとラジオ波を使って、人の動きで光を制御する原始的なプロトタイプを開発しました。
振動と光をむき出しに接続し、光の因果を直感的に楽しめます。
低度で原始的なテクノロジーにより、体験はよりライヴになっていくはずだと考えています。
拡張
音楽の現場から着想したアイディアですが、スポーツやゲーム、お祭りの太鼓など、プレイヤーの熱量が高い空間との相性が高いことに気づき、さまざまなプレイに拡張していきます。プロジェクト名をPLAYJACKと名付けた背景もこの拡張性にあります。
これから、様々な形で低度テクノロジーの実験を行なってまいります。