Kotaro Okada
Dec 31, 2015 · 13 min read

年末になって、「今年は◯◯が良かったね」と人と話す機会が多くなってきたので、良かった/面白かった映画、音楽、ゲーム、本、Webメディアをまとめてみることにしました。


映画

今年は映画館で50本くらいみました。だいたい週に1本のペース。スター・ウォーズの新作にはがっかりしたものの、特に良いと思った3作品を取り上げてみます。

『はじまりのうた』

「人生のベスト映画」と言ってしまってもいいくらいに感動した作品。ストーリーの説明は省きますが、印象的なシーンをひとつ挙げるとすれば、キーラ・ナイトレイとマーク・ラファロがスプリッターを使って、iPodから同じ音楽を聴きながら散歩するシーンがもう素晴らしくて……!

しかも、DVD/BDの初回生産版には、劇中で使われたものと同じスプリッターがついてくるんですね! 映画を見ただけで終わらずに実際にスプリッターを使ってみるところまでデザインするなんて……そういったパッケージの設計も含めて、とにかく素晴らしい作品でした。

(スプリッターってこういうやつです。どこかで一度は見たことがあるんじゃないでしょうか)

『インヒアレント・ヴァイス』

登場人物はたくさん出てくるし、話は二転三転するし、ストーリーはとっちらかった印象を受けるんですが、とにかく描かれている世界観が魅力的でした。70年代のヒッピーカルチャーと退廃的な空気、そこに乗っかる音楽が、また素晴らしかったです。

『ミニオンズ』

前作『怪盗グルーのミニオン危機一発』の主題歌がファレル・ウィリアムスのHappyであったり、予告編でビーチ・ボーイズのBarbara Annを使ったり、何かと音楽にもこだわっているミニオン・シリーズ。3作目となる今作の舞台は、60年代のイギリス。本編を通して、とにかく当時のイケてる音楽が流れるのが最高でした。エンディングではビートルズのRevolutionをミニオンが歌っちゃってるし! 楽曲使用料にかなりお金かかってそう……。ミニオンという全く新しいキャラクターと、60年代のイギリス文化を掛け合わせる、文化融合的な側面が面白かったです。

音楽

続いては、音楽。今年は新譜をそこまで多く聴けなかったので、色んなメディアや個人の年間ベスト見ながら、Apple Music片手に今年の音楽を振り返ろうと思います。聴けなかったとは言いつつも、良かったアルバムを3枚紹介。

・In Colour/Jamie xx

はじめてThe xxのアルバムを聞いた中学3年生の時、ここまで音数をそぎ落とした音楽はよくわからなくて、そのままCDを放置していた覚えがあります。その後聴き直すうちに大好きになって、今でもちょくちょく1stアルバムは聴いているんですけど、それよりもっと好きなのはThe xxのフロントマンを務めるJamie xxのソロ楽曲「Far Nearer」。アナログレコードを買ってしまう程度にはこの楽曲が好きで、そんなJamie xxがはじめてソロで出したアルバム、良いに決まっている。クラブミュージックのアルバムって単調になりがちなんですが、このアルバムはどちらかというと、クラブでは鳴らないクラブ・ミュージックとして、リスニングにぴったりなアルバムだと思いました。来年の来日公演もめちゃくちゃ楽しみです。

・Elaenia/Floating Points

2012年くらいから待ちわびていた気がする、Floating Pointsのファースト・アルバム。ジャンルレスすぎて、どう語っていいやら。これまで発表してきた、EPやシングルと比べると際立った曲はないかもしれないけれども、電子音楽のアルバムとして完成度は随一だなと。

・Plus Minus/Mew

前作から約6年振りのリリースとなったメジャー4枚目のアルバム。当時中学生だった僕は、いつの間にやら大学3年生になってしまった……。美しいメロディの裏で、メタルっぽいギターだったり、プログレっぽい変拍子だったりを繰り出してくる変態なところが魅力なんですよね。

ゲーム

PS4をついにゲットしたので、年末ずっと遊んでました。今年最大の後悔は、任天堂の14年ぶりの新規IP(ピクミン以来らしい)である「Splatoon」を遊びそこねてしまったことです。

Gravity Daze

もともとはPS Vitaで2012年に発売されたゲームで、今年の12月にPS4版が登場。Gravity Dazeは「重力と無重力を行き来しながら、冒険する」という全く新しい体験を提供しているのが良いなと。ゲームの開発費が高騰してから、続編やリメイクものばかりが発売されますが、こういった新規タイトルもどんどん出てきてほしいですね。来年はVRコンテンツもついにコンシューマ向けに登場するので。

Fallout4

前作の「Fallout3」やスピンオフ作品の「Fallout New Vegas」とくらべて、そこまで新しい要素はないけれども、核戦争後の、荒廃して広大な世界を冒険するワクワク感は色褪せないものでした。

大学に入ってから、年間50冊は本を読むようにしているんですが、今年は40冊程度で目標達成ならず……。人文、社会科学、ビジネス、デザインなどのジャンルから、特に読んで面白かった3冊を取り上げてみました。

『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』

文章を書いていると、ついつい扱いやすい表現を多用してしまうことがあるんですよね。例えば、導入部分で「〜を知っていますか?」と問いかける表現とか。そんな世の中に蔓延している「紋切型の表現」を切り崩していくのがとにかく痛快で、面白い一冊でした。

『シェルターからコックピットへ 飛び立つスキマの設計学』

教育って誰しもが経験したことがあって、独自の論理を持っていることが多くて、よく語られるテーマだなと思います。大学で、いま教育について研究していて、今年は「教育とは何か」を考えることが多い一年だったんですが、その一環として読んだ本がコレ。これからの時代は仕事をするにあたって、スキマ、余白、遊びなんかが大事だとよく言われていますが、教育というテーマをそれと同じ視点から読み解いていく本でした。

『さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法』

日本ではUIとUXという言葉がよく並列で語られていますが、それがいかに間違っているのかがわかる良い本でした。筆者は、昨今の何でもかんでもアプリで解決しようとする世の中に対して、「本当にそれをアプリで解決する必要があるのか?」と疑問を呈している方で、スクリーンを用いない「No UI」こそ最も素晴らしいUIであると語っています。

Webメディア

今年は自身の能力不足を痛感しつつも、いくつかのウェブ媒体に関わらせてもらい、とにかく色んなメディアの動向を追っていた1年でした。数多のキュレーションメディア、オウンドメディアが立ち上がって、同じ数だけ消えていったような2015年において、「これは面白い!」と思ったものをいくつか取り上げさせてもらいます。

kakeru

大人になると、「若者が何を考えているか」って気になりますよね。そんな欲求に答えてくれるメディアが、kakeruだと思っています。僕らの代わりにJKとかに話しかけて、情報を引き出してくれる、素敵です。とりわけ、帝越コクくんへのインタビューはバズっていたし、面白かった。大人と若者の世代間ギャップを楽しむといえば、マツコ会議とかも面白いですよね。

SELECK

メディアって、「世の中にまだ流通していない情報を掘り起こしてきて、届けるもの」だと思っているんですが、その視点から考えると、SELECKは素晴らしいメディアだなと感心してしまいました。SELECKは、表に出てこないような、企業内で使用されているツールやコミュニケーションの方法について、みんなで共有することがコンセプトのメディアです。

新しい価値を掘り起こすという視点からだと、ぼくが以前働いていた書き起こしメディア「ログミー」は、再生されていない動画を発掘してきて、そこに新たな価値を与えるメディアだったし、海外では研究者と編集者がタッグを組んで、アカデミックなテーマを世の中に噛み砕いて伝えるメディア『The Conversation』も面白いなと思っています。

灯台もと暮らし

たしか今年の1月1日に立ち上がったのかな。個人的には、2015年を象徴するようなメディアだったと思っています。多くのオウンドメディアやキュレーションメディアで「キュレーションだけではなく、インタビューなどの一次取材もしなきゃ」という風潮があった中で、最初から徹底的な一次取材と、コンテンツの質の高さが魅力的でした。

また、note.を使って「取材の裏側」を売ったり、LINE@をメルマガのように使ったり、オンラインサロンを始めたり、電子書籍を売ったり……新しいツールを使って、どう情報を届けるかに真摯な姿勢から、とにかく学ぶことが多かったです。「灯台もと暮らし」を立ち上げた、鳥井弘文さんのブログ「隠居系男子」もとてもビジョナリーで面白いので、ぜひ。

Zunny

よく話題に上がるインフォグラフィックですが、実践できているメディアは『ビジュアルシンキング』を運営している櫻田さんが在籍するNewsPicksくらいなのかな。そんなインフォグラフィックを(おそらく)製作会社と一緒につくっている、Zunny。運営母体はR25を運営しているメディア・シェーカーズさん。まだ立ち上がったばかりなので、来年の展開が楽しみです。

その他には、「RealSound」のコンテンツが特に面白かった印象を受けました。年末の音楽ビジネス振り返り記事は、食い入るように読んでしまった。

「編集者暇人論」と来年への抱負

12月になってcotasで公開された、『WIRED』若林編集長のインタビュー記事。それと、『LIKTEN』や『OFF THE BALL』編集長の小田明志さんがブログで公開していた「編集者暇人論」がすごく面白くて。

同じように、日本橋でもどこでもいいんですが、新しいおそば屋さんができたとします。火事の場合と同じように、みんな本当は自分で行きたいのだけれど、お金や時間の余裕が無くてなかなか行けない。 そんな時に、暇な人が「俺が食ってくるわ」とそこに行って、みんなにどうだったかを伝える。「うまかったよ」だったり、「今いちだなあれは」ということを教えてあげる。で、その情報の対価としてなんらなかの「情報料」をみんなからもらうとしたら、これって、メディアじゃないですか。

以上が若林さんの発言。それに対して小田さんは

ブランドのパーティに顔出すのが仕事みたいな編集者の人は多いけど、似たような雑誌の人が同じところに集まって、似たような記事書いてたら意味ないじゃん、と昔から思っていたのですが、この例えを引用すればその意味のなさがすっきり説明できます。つまり、新しいおそば屋に100人の暇人が集まって同じこと伝えても意味がない!1人2人で十分だろ!そもそも、100人集まってしまえばお客さんからもらえる『情報料』も100分の1になるわけで、それでは暇人というよりも貧乏人じゃないか!笑 さらに言えば、100人集まっちゃうようなところにのこのこ出かけて行く暇人なんて、暇人界ではウルトラ底辺なんですよね、これは自戒も込めた言葉ですが…!

こう発言していて、心のなかでモヤモヤしていたことが腑に落ちました。プレスリリースのコピペ記事であったり、有名人に安易にインタビューして一時的にPVを稼いだり……。企業も人も、誰しもが簡単にメディアを立ち上げられる時代だからこそ、企画力・編集力を発揮してブランドを作っていかなければ生き残れないなと、改めて感じました。

2016年は「誰も知らない新しい価値を見つけてきて、世の中に問えたら……」と思いました。実際はまだ何もできていないので、手と頭(と足)を動かして2016年も頑張れたらと。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。ぼくの2015年はこれで終わりです。良いお年を!

(Top Image / song zhen via flicker)

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Kotaro Okada

Written by

1994年生まれの編集者・DJ。『UNLEASH』や『AMP』といったビジネスメディアの編集や、企業の情報発信支援をしています。音楽ビジネス誌『gig』編集長。「未来の文化や社会を伝える」をテーマに、ビジネス・音楽・デザイン・テクノロジーの領域を横断的に発信中。

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