栗ひろい

ある日、タヌキさんが森へ栗ひろいに出かけました。

森には大きな栗の木があったのです。

そしてその木の下に、イガにくるまった栗がたくさん落ちていました。
タヌキさんは大喜び、さっそく栗をひろうと、持ってきた大きなかごの中に入れました。

栗はたくさんあったので、かごはすぐにいっぱいになりました。
そこでタヌキさんはそのかごを背中にしょって帰りはじめました。
ところが途中までくると、背中のかごの中で誰かの泣き声がするのです。

タヌキさんは、かごをおろすと中を見て見ました。
すると「エーン、エーン、ぼくは栗じゃないよ、ぼくを連れていかないでよ。エーン、エーン」と声がするのです。

タヌキさんは驚いて、その泣いている栗のイガを取り出してみました。
すると、それは栗ではなく小さな針ねずみさんでした。

針ねずみさんは、栗の木の下で昼寝をしていたので栗のイガとまちがえられてしまったのです。

タヌキさんは「ごめんごめん、あんまりそっくりだったので気がつかなかったんだ。すぐに家まで連れていってやるからね」とそう言うと、針ねずみさんを家まで連れていってあげました。

そして「もう栗の木の下で昼寝をしちゃあいけないよ」と言いました。

針ねずみさんは小さな丸い目をくるくると動かしながら
「うん。ぼくもう栗の木の下ではねないよ」とそう言いました。

そしてこの針ねずみさんは、それからもう決して栗の木の下では昼寝をしませんでした。昼寝をする時は柿の木の下ですることにしたのです。

ですから、もう栗のイガとまちがえられることはありませんでした。

けれども、森にはまだ他の針ねずみさんが沢山いますからね、
皆さんが栗ひろいに行った時はまちがえないようにしてくださいね。