人事データ分析に役立つ本の紹介 #1

武田 邦敬
クニラボ技術ブログ
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Feb 28, 2024

ニュースレター「人事データ分析入門講座」講師の武田です。

このニュースレターでは、人事データ分析に取り組み始めた方に向けて、データ分析の考え方や方法をお伝えしています。本レターで6回目の配信となりました。

今回はいつもと嗜好を変え、人事データ分析に役立つ本をご紹介します。一度ではすべてをご紹介できませんので、今後も本を紹介していければと考えております。

「データがやってきたら、まず何をやるべきか」の後編については、来週配信させていただきます。お待ちいただいていた方がいらっしゃいましたら申し訳ありません!
後編は来週配信させていただきますので、しばしお待ちください。

本日は初回ということで、人事データ分析のスキルアップに直結する入門書を2冊ご紹介します。

人事のためのデータサイエンス,入江崇介著

https://www.amazon.co.jp/dp/B08YJYTK53

人事データ分析といえばこの本!というくらい有名な本です。2018年出版の本で、人事データ分析を始めた多くの方が手に取った本だと思います。私も大変お世話になりました。

本書は人事データ分析の具体的なシーンを取り上げながら、統計解析の基本的な手法を解説するような内容となっています。できるだけ数式を使わず平易な文章で説明されているので、データ分析を始めたばかりの方にもイメージしやすいのではないかと思います。

本書はPart2やPart3の例題が具体的でわかりやすいため、目の前のプロジェクトに活用できそうな事例を探すように読まれた方もいらっしゃるかもしれません。私も初めて読んだときにはそうでした。時間に追われていると初めからコツコツ読むのは大変ですので……。

しかし、本書の価値は、Part1にてデータ分析と人事施策(アクション)の接続について丁寧に解説している点にあると考えています。データ分析はあくまで手段の一つであり、人事業務の問題発見や意思決定に活用されて初めて役立つからです。

Part1を注意深く読んだ後にPart2やPart3を読み返してみると、新しい発見があるかもしれません。

著者の入江さんは、リクルートマネジメントソリューションズ社にてHR Analytics & Technology Lab所長をされている方で、当分野の第一人者でいらっしゃいます。本書の他にも「人事データ活用の実践ハンドブック」を出版されています。こちらも分かりやすい本ですので、ぜひチェックしてみてください。

データ分析をマスターする12のレッスン,畑農鋭矢・水落正明著

https://www.amazon.co.jp/dp/4641222053

人事データ分析でご一緒した方から、「データ分析を学びたいのだけど、文系にも分かりやすい本はないですか?」というご質問をいただいたことがありました。分析の方法を学びたいけど、数式があると読むのが大変だということでした。

定評のある統計学の入門書といえば、「統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)」が思い浮かびます。データ分析初学者向けにレコメンドされ続けている名著で、私も大変お世話になりました。

しかし、人事担当者でデータ分析を始めた方の疑問は、「データをどのように見ればよいか」「グラフからどのように考察したらよいのか」ということで、統計学の入門書だけでは身につけるのが難しいように感じました。

そこで、大型書店を歩き回って見つけたのが本書です。

本書は大学でデータ分析を活用したゼミを主催されている先生方が執筆されたものですが、データ分析を始めた方がイメージできるような工夫がされています。

理系でなく文系の学生さんをターゲットにしているので、人事の方も安心してお読みいただけるでしょう。実際、人事部門の方に何度かご紹介してきたのですが、好評をいただいております。

本書の特徴は「データとの向き合い方」を少しずつ伝えていくところにあります。具体的なグラフを取り上げて解説をスタートしているため分かりやすいです。

前半はデータを見て考える方法を中心に、後半では回帰分析を取り上げています。人事データ分析においても、データ可視化と回帰分析は重宝するツールですので、フィットしていますね。

また、本書では統計的仮説検定の話題は回帰分析の診断方法として出てきます。

一般的な統計解析の入門書では、統計的仮説検定が大々的に取り上げられ、2群の比較等の例が出てきます。こうした検定は様々な分野で使われている道具でありますが、人事ではランダム化比較試験を行うのがやや難しい側面もありますので、イメージがしにくいケースもあるかと思います。

その点、本書で丁寧に解説している回帰分析は人事データ分析での応用シーンが多く、役立つのではないかと思います。

今後ご紹介していく本

今回は人事データ分析の入門書として、分かりやすい本を2冊取りあげました。今後も以下のような本をご紹介していく予定です。

  • 人事データ分析に携わっている人事部門の方
  • 他分野でデータ分析経験のある方で人事データ分析プロジェクトに入ってきた方

今回は1.を想定して技術よりの本をご紹介していきました。一方、2.を想定し、技術でなく人事業務そのものを解説した本もご紹介したいと思います。

つまり、人事データ分析の方法を学ぶために役立つ本と、人事業務に対する知見を深める本を両輪で取りあげる予定です。

人事に限らず業務課題に技術を役立てるためには、技術と業務知識の両面が必要だと考えています。そのため、本レターでご紹介する本は、ある方にとっては当たり前に感じる話題が含まれているかもしれませんが、その点はご容赦ください。

また、データ分析で具体的に困っていることや学びたい話題がありましたら、お気軽にコメントしてくださいね。

次回のレター

次回は「データがやってきたら、まず何をやるべきか」の後編を配信させていただきます。

次回もお楽しみに!

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武田 邦敬
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データサイエンティスト&マネジメント経験を活かして独立。人事データ分析チーム育成支援、製品強化のための機械学習活用支援を行っています。本と本屋と読書と積読が好き。 クニラボ https://ku2t-lab.com/