生物の基盤

ショートショートじゃないですけど、こっちの方がいいかなぁと思いまして。

生物の定義も難しいですが。まぁ、普通に言われているのは次の4つかなと思います。
-自己増殖能力: 分裂や生殖です
- エネルギー変換能力: 代謝とも言われます
- 恒常性維持能力: 自己保存とも言われます
- 自己と外界との明確な隔離: 普通だと細胞膜で外界と区切られているという話です

この代謝と恒常性に関係して、生物はその個体や個体群において負のエントロピーを持つというような言い方もされます。もちろん、個体や個体群は閉じた系ではやっていけないので、系を個体や個体群の外まで広げると当然エントロビーは増大します。ですが、個体や個体群と、ほんの少し外側だけを系をして見ると、負のエントロピーを持っています。

さて、この4つを可能としている情報源は何かというと、DNAやRNAです。個体や細胞の状態に応じて、DNAやRNAに記述されている情報に従ってタンパク質が合成されたり、制御コードが活性化したりします。

外界との隔離と、多分自己増殖については、コアセルベートもやってたかと思います。そのため、少しトンデモ寄りの話としては、コアセルベートの中の高濃度の分子の集りから化学進化が起きたという説もありました。まぁ、これは必ずしも全否定できる話ではありませんが。

さて、DNAにおいて記号として使われているのはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)です。これがRNA、特にmRNAだとアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)です。DNAのTがmRNAだとUになってます。なぜなんだろ?

DNAの塩基は三個が組になって合成するタンパク質を指定しています。その三個組をトリプレットと呼びます。それがmRNAに転写とか翻訳されたものをコドンと呼びます。トリプレットやコドンからどういうタンパク質が合成されるのかは分かっています。制御コードもたぶんタンパク質を合成して、細胞内の状態によって色々制御しているのだと思います。

さて、このA, G, C, T(あるいはU)ですが、まぁこれは案外ありふれたもののようです。小惑星でもみつかっていたりとか。これも元にしたDNAやRNAもありふれたものかもしれません。とは言っても、水や海に低濃度で存在していても、A, G, C, T(あるいはU)がDNAやRNAになるかというと少し疑問かもしれません。ここで泥水とか干潟とかコアセルベートあるいはコアセルベート的なものの介在が必要だったかもしれません。

DNAやRNAはありふれたものかもしれません。そうすると、トリプレットやコドンから合成されるタンパク質は必然なのかという疑問があります。また、トリプレットにせよコドンにせよ三個組ですが、三個組というのが必然なのかという疑問があります。

あるいは、使うDNAの組についてはイントロンという「ここからコードだよ」という目印があります。ここもイントロンに相当するものはあるとしても、どういうものがイントロンになるのかははたして必然なのでしょうか?

地球上の生命はRNAウィルスを除いて、生命活動に必要な情報をDNAが保持しています。あー、ここもちょっと面倒で、まずRNAから直接情報を読み出すタイプもあります。それと、RNAからDNAに情報を転写し、そのDNAから情報を読み出すタイプもあります。こっちはレトロウィルスとか呼ばれます。どの段階からDNAが介在するようになったのかとか、DNAが主に情報を保持するようになったのかは知りません。

で、RNAウィルスを除くと、地球上の全ての生物はDNAが情報を保持しています。しかも、同じメカニズムでDNAの情報を活用しています。それにも関わらず、これほど多種多様な生物が存在します。

さて、それではA, G, C, T(あるいはU)を用いたDNAやRNAは、あるいはそれらを用いた生物は宇宙に溢れているとしましょう。ですが、そのような生物は地球の固有種と同じメカニズムで生命維持をしているのでしょうか? 例えばあるトリプレットやコドンから、同じタンパク質を合成するのでしょうか? あるいは、そもそも三個組なのでしょうか?

ところで、DNAやRNAが地球の生物において使われているのはどうしてなのでしょうか。いくつか理由がありそうです。

1つめは、上にも書きましたが、昔はそうとは考えられていなかったけれども、小惑星とかにもアミノ酸とかが結構存在するようです。パンスペルミア説とはちょっと違いますけど、それらを元にDNAやRNAは化学進化としてあたりまえに出来上がるようです。

2つめは、DNAやRNAは安定でもあり不安定でもあるという特徴があります。あまり不安定だと変異が起きすぎたり、崩壊したりと生命に関する情報を保持するのには向きません。逆にあまり安定だと、変異が起こりにくすぎたり、二重螺旋がそもそもほどけなかったりとか、やはり基盤にするのには無理があります。ただし、これは温度にも依存します。

3つめは、水の存在です。昔はそうは考えられていなかったようですが、小惑星とかも含めて水は結構存在しているようです。アミノ酸とか色々と水に溶けている必要があります。

4つめは、水分子は分極しているということです。タンパク質とかいろいろと、それ自身が分極してるとかなんとかなので、それが溶ける媒質も分極してないと溶けません。水と油というような言い方がありますが、水と油がまざらないのは、水は分極しているのに油は分極してないからです。

さて、アミノ酸とかがありふれているというところを無視します。すると、適度に安定であり適度に不安定である分子という条件が必要になります。そしてそれは温度によって変ります。また、分極していない媒質でも、分極していない分子なら溶けます。温度が問題になりますが、液体のメタンやエタンの中に油の高分子で生命活動や維持に関する情報を保持するという場合もありえるだろうと言われています。分極していなければいいので、メタンとかに限らないですけど。

これらはどっちも炭素ベースの媒体です。まぁ炭素そのものが反応性に富むとともに、安定な分子を作りやすいという性質がありますが。単純に考えると、炭素に似た元素は周期律表の1つ下にある珪素が挙げられます。珪素のどういう化合物かにもよりますが、基本的には炭素ベースよりも高い温度で、安定かつ不安定という条件を満します。これの媒質は何があるんだろ? まぁ珪素化合物が溶ける条件であれば、珪素ベースの情報媒体の存在の可能性も排除できないだろうと思います。

例えば炭素ベースであっても分極していない環境下や、珪素ベースでの、アミノ酸やA, G, C, T(あるいはU)に相当する分子としてどういうものがあるのか人間は知らないわけです。あるいは分子は知っていても、それが特定の条件下でDNAやRNAと同じような働きをするのかは知らないわけです。そもそもとして言えば、DNAやRNAがどうしてそういう働きをするのかも知らないわけです。まぁ、DNAやRNAだけでなく酵素とかいろいろな条件があって始めてそれらが機能するわけですけど。まぁ炭素ベースの方についてはソリンと総称されるものがあります。これは結構自然に出来るものらしいので、そっちがベースになっている生物もあるかもしれません。

なおよくDNAという言葉で色々なことを言ってしまおうという場合を目にしたり耳にします。ここがちょっと注意が必要なのですが、DNAとかRNAというは、高分子の種類の名前です。DNAやRNAに遺伝情報は書きこまれていますが、遺伝情報を指すときにDNAとかRNAという言葉を使うのはあまり適切ではありません。上手い例が思いつかないのですが、DNAとかRNAというのは、磁気テープのようなものです。そこに書き込まれているものが遺伝情報です。個別の遺伝情報を持つ部分を遺伝子(gene, ジーン)と呼びます。これは1つのトリプレットやコドンとは限らず、普通はいくつものトリプレットやコドンで構成されています。構造遺伝子とかシストロンとも呼ばれます。またタンパク質の合成についての情報だけでなく、DNAやRNAに書かれたコードの実行を制御する部分もまた遺伝子となります。そして、遺伝子の総体、特に個体や特定の種の遺伝子の総体をGenome(日本語はあるのかな? まぁゲノムです)と呼びます。

最後に一つだけ追加しておきます。まぁ今も呼ばれなくなったわけではありませんが、DNAやRNAにはジャンクと呼ばれる部分があります。昔は制御コードの部分もだいたいジャンクに含まれていましたが、現在は一応ジャンクからは除外されています。それであっても、依然としてどうも何の役にも立っていない、やはりジャンクと呼ばれる部分もあります。これはイントロンが付いていないとか、いろいろとどうも発現する様子がないような部分です。なので、「ジャンクの中の古い遺伝子が発現し云々」という設定がある作品があったりしますが、それはちょっとどうなのかなと思います。発現する条件となるコードをうまくその前に挿入してやらないと、DNAの転写の際に無視されるからです。そこで無視されたら、発現しませんから。

まぁそれにしても、DNAやRNAベースの生物だとしても宇宙人だとDNAやRNAをどう使っているのかは見てみたいですね。それ以外の情報媒体を用いた生物がいるなら、そちらも是非見てみたいし、どう使っているのかを見てみたいです。

何かまとまりがありませんが、こんなところで。


小説家になろうにて重複投稿してます。

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