ブロックチェーンではない10のこと

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KYUZAN

9 min readApr 11, 2019

記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文：10 things blockchain isn’t
著者： Jack Dossman

2017年になっても、ブロックチェーン技術は過度に騒がれているものだと考えられていました。誰もがみな、ブロックチェーンがすべての業界にディスラプションを起こし、世界を変え、さらにはその過程で世に知られずにICO投資家が何百万ドルも儲けていると信じ始めました。

これら暗号通貨をめぐる過剰な情報と盛り上がりにより、ブロックチェーン技術とは何か、そして実際に何ができるのか、人々は突拍子もないことまで信じるようになりました。

多くの人が、この技術の可能性について間違ったイメージを持っていて、ブロックチェーン技術ではないものまで、ブロックチェーン技術であると信じています。

以前に述べたように、ブロックチェーンとは、いくつか独特な特徴があるものの、単なるデータベース構造です。

トークンやコインを用いて、正しいことをするように動機付けられているため、複数の当事者がトラストレスに、リアルタイムでデータベースに情報を記録、共有することができます。

これらの機能は非常に特殊なものであり、この技術が本当に役立つのは一定の状況下のみです。

たとえば、Bitcoinなどの暗号通貨に使用すると、ブロックチェーンによって銀行や他の仲介者を必要とせず、世界中のどこにでも、誰にでも、安くお金を送ることができます。

しかし、ブロックチェーンは実際にはあらゆる種類のデータ保存に適しているわけではないため、あらゆる問題の解決策として使用するべきではありません。

この記事では、ブロックチェーンやBitcoinのようなアプリケーションではない10のことを、ブロックチェーンを嫌っている人と、この技術に熱狂的な人の両方の視点から分析します。

1.Bitcoinは歴史上最大の詐欺ではなく、過去のものでもない

2017年に、Warren BuffettやCharlie Munger、JP MorganのCEOであるJamie Dimonを含めた金融業界の大物たちが、Bitcoinに対して強く難色を示しました。

ビットコインとそれが基づいているブロックチェーンには、すべての初期段階の技術と同じように欠点がある、と。

Proof-of-workによるコンセンサスメカニズムは、驚くべき量の電気を使用していますし、多くの人々が投機や違法行為に、このシステムを利用しています。

しかし、これらの欠陥のせいで、この技術は機能しないと言うのは、1995年に、重たく魅力がないインターネットはうまく動かないと言っているようなものです。

Bitcoinは、何百回も「終わった」と言われながらも、10年間は堅調に推移しています。

一見すると信用できない怪しいものに思えるかもしれません。しかしNaval Ravikantは次のように述べています。

「Bitcoinは、一攫千金のための手段に見えるが、人間性を独裁者や暴君から取り戻す為のツールである。」
Naval RavikantのTwitterより

この技術のマイナス面に焦点を当て、Bitcoinを詐欺だと言う人々は、それが実際に私たちに何をもたらすのか、まったく気づいていません。

2.ブロックチェーンはあなたの会社の株価を上げる手段ではない

Kodak、Long Island Iced Tea、そしてOn-line Plcはいずれも、1つのブロックチェーン技術もなく、名前に「ブロックチェーン」を付け加えて株価が急上昇している有名な企業の一例です。

3.ブロックチェーンはポンジ・スキームではない

あなたが、文字通りポンジ・スキームであるPonziCoinなんかを買わない限りは。

Bitconnectを始めてもいけません。

4. 暗号通貨は詐欺師のためのものではない

確かに、暗号ハックや詐欺の事例は数多く取り沙汰されており、業界にとって大きな問題となっています。

私が以前に言及したように、ブロックチェーン技術によってもたらされる匿名性はこれらの詐欺やハッキングを可能にするものです。

しかし、それは技術の不幸な副作用であり、問題となることではありません。

ISISのようなテロリストグループは、ソーシャルメディアを使って新入社員を探しています。かといって、FacebookやTwitterをやめなければならないわけではありません。

Pablo Escobarは、お金を燃やして娘を暖めることができるほど多くのお金を稼ぎました。ドラッグの業界では現金で取引されています。これは現金が悪いのでしょうか？

5. ブロックチェーンは、非ブロックチェーンのスタートアップ企業が資金を集めるための手段ではない

名もなき会社のICOが何百万ドルもの資金を調達しているからといって、誰もができるわけでも、すべきわけでもありません。

ICOのポイントは、あなたのブロックチェーンを使うように動機付けるトークンを、潜在的なユーザーに配布することです。トークンは、いずれ何かをするためのものです。スタートアップがブロックチェーンと無関係であれば、トークンは必要ありません。お金を集めるためにICOを使うことは、考えることさえしないでください。

6.ブロックチェーンはあなたのビジネスに革命を起こすものではない

あなたのビジネスが、ブロックチェーンによる利点の内の1つも必要としていないのであれば、ブロックチェーンにデータを保存することは得策ではないでしょう。

7.ブロックチェーンは全ての産業にはディスラプションを起こさない

「これはX業界におけるUberのようだ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。企業は文字通りブロックチェーンのためのUberを作成しようとし、ブロックチェーンの分野に進出しようとしています。

このアプローチの小さな問題は、すべての業界がブロックチェーンを必要としているわけではないということです。

Uberのビジネス手法が気に入らない場合、Lyftを使うのではなく、ブロックチェーンが解決策だと考えるのでしょうか？

分散型のpeer-to-peerによるライドシェアネットワークは、たしかにとても魅力的に思えます。

しかし、ライドシェア分野においてブロックチェーンを応用することは、酷い手段であることを完全に見落としています。

定義上、パブリックなブロックチェーンを管理する中央機関はありません。この分散型の会社において、誰が決定を下すのでしょうか。

紛争の処理ははどうなるでしょう？一度データがアップロードされて認証されれば、どこにも移動しません。乗ってもいない代金を請求されたら？報告が必要な悪事を運転手が働いたら？誰も聞いていないので、最悪の事態になり得るでしょう。

開発はどうでしょう？担当者のいない分散型の会社が、歴史上で最も豊富な資金力のある新興企業の1つと、確立された市場でどのように競合できるでしょうか。

もしも分散型のUberが、山積みの課題を克服し、実用的なサービスを作り上げることができたとしても、実際にそれが、Uberよりもどれほど優れているのかはわかりません。

Uber（およびその他の集中型ライドシェアアプリ）は現在、非常にうまく機能しています。代替となるものは、単にUberほど良くはないのです。

多くの既存の業界に、ブロックチェーンを導入することの潜在的な利益は、ユーザーの行動を変えられるほど十分に高くはないのです。

8.ブロックチェーンはCthulhuへの生贄の手段ではない

これについては、あまり言及しないほうが良いでしょう。

9. ブロックチェーンはミームのプラットフォームではない

Dogecoinは最も有名なミームコインで、2013年に冗談としてBitcoinから派生し、2017年には$ 2bの評価を受けました。

10.ブロックチェーンは役立たずではない

あなたのトークンが、文字通り役に立たないものでない限りは。

結局のところブロックチェーンとは何なのか

ブロックチェーンを使用してはいけないものを、すべて概説しました。しかし、それでもブロックチェーンが最適なアプリケーションである場合はあります。

ブロックチェーンを必要とする条件を見てみましょう。

共有された「追加専用」データベース
複数の書き込みユーザー
信頼関係が成り立っていない
仲介者を排除する必要性
コンセンサスとバリデーション

すでに起こっているように、お金はこのカテゴリに完璧に適合します。 Bitcoinのようなアプリケーションはこれらの基準をすべて満たしているので、ブロックチェーン技術の素晴らしいアプリケーションである、と言えるでしょう。

2018年現在、残念なことに、実証済みであるブロックチェーンのマスマーケットアプリケーションは多くありません。

それらは、決して存在しないというわけではありません。私たちは、まだそれらを見つけていないのです。

これがこの記事の論点です。ブロックチェーンは実用的な技術ではありすが、ビジネス、経済、人類全体の救世主ではありません。

私たちは皆、この技術の本当の可能性を認識し、それが現実的に叶えられるような計画をしなければならないのです。

この記事はwww.cryptobeginners.infoで公開されたものです。