人工知能 + ブロックチェーン = (永久の?)受動的所得

Kaz Kobayashi
KYUZAN
Published in
10 min readApr 9, 2019

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この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:Artificial Intelligence + Blockchain = Passive Income (Forever?)
著者: Kirill Shilov

人工知能による恩恵は、もはや知名度の高い企業や、映画に出てくる悪役、そして実りのない実験を行っているプログラマーだけが受けられるわけではありません。かつてのSF小説がついに現実のものとなり、さらにはブロックチェーン技術と組み合わせることで、AIが飛躍的に進歩しているのは驚くことではありません。しかし、新たな技術が世に出た時に、まず思い浮かぶのは、「その技術で儲けることができるか」ということです。AIとブロックチェーン技術の融合においては、その答えは明確なイエスでしょう。

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なぜ、わざわざAIとブロックチェーンを組み合わせるのか

皆さんはおそらく、チェスの世界チャンピオンがコンピュータに負けたニュースを聞いたことがあるでしょう。あるいは自動運転の車に関するニュースを耳にしたことがあるかもしれません。これらの例はどちらも人工知能によってもたらされたものです。私たちは、コンピュータが自分自身で問題を解決できるようにするためにAIを作成しました。それを実現するためにAIが自らコードを書き、発生した新たな問題に自分で対応できるようにしました。ブロックチェーンと組み合わせることで、AIは人々によく理解され、より効率的に動作し、さらにはブロックチェーンをより効率的にすることもできます。

人間と同じように、機械も学習するためにはデータを分析する必要があります。両者の違いは、人間はデータを受動的に分析する点です。人間は五感を使って情報を取り込み、蓄積して、世界がどのように動いていくのかを考えます。Trent McConaghy氏は、Mediumの記事の中で次のように述べています。「ブロックチェーンには次の3つの特徴があります。

  • 分散・共有制御
  • 改ざんできない監査証跡
  • ネットワーク固有の資産・取引

Bitcoinに触発された人々は、従来のデータベース中心のシステムの欠点を気に留めていませんでした。なぜならその新たな強みによって、データベースは、以前とまるで異なる方法で産業や社会全体に影響を与える可能性があるからです」。さらに「もしかすると、これら‘ブロックチェーン’の3つの特性は、AIアプリケーションにとっても興味深い関係になり得るかもしれません。」と続けています。

機械には感覚がないため、データが必要です。ブロックチェーンを使用すると、(分散・共有制御によって)そのデータをより迅速かつクリーンに取得することができます。あるAIは、他のものよりも効率良く学ぶことができるかもしれませんし、IP /テストモデルを共有することによって、より速い成長(と開発者にとっての利益)に繋がる可能性があります。 AIが不変の証跡に記録することができるようになれば、問題解決の際にAIがどのような手順を踏んだのかを容易に辿ることができます。そもそも、AIを開発する主な理由の1つが人々の生活を楽にすることだと考えると、AIとブロックチェーンを能動的所得、受動的所得の両方の流れを作り出すために使えば、どのように使えばいいのか明確になっていくでしょう。

AI + ブロックチェーンで何ができるのか

ブロックチェーン技術は、スマートコントラクトの実行、台帳の追跡など、トラストレスなシステムを作成する機能をユーザーに提供します。 AIと機械学習を使えば、ひとりでに賢くなり、より効率的になるように設計されているハンズオフなプログラムを可能にします。Tshilidzi MarwalaとBo Xingは、ヨハネスブルグ大学の論文で、AIがブロックチェーンをより有益にする8つの重要な方法について論じており、そのうちの4つは、ここでの議論に関連しています。

  • スケーラビリティ:AIは、中央集権型のデータセットなしで協調学習を実行できる。
  • セキュリティ:AIは、ブロックチェーンアプリケーションのレイヤーへの不正な侵入を検出できる。
  • プライバシー:AIはハッシュ関数のパフォーマンスを向上させることができる。
  • 効率性:AIは、ノードが特定のマイニングタスクを実行する可能性を予測できる。

AIがブロックチェーンに与える影響の大きさは明らかであり、業界で迅速な動きを見せている企業は、その先見性から大いに恩恵を受けるでしょう。スケーラビリティの向上、セキュリティ/プライバシーの強化、および効率性の向上により、AIはブロックチェーンをより安価に、安全に、そして容易に取り扱うことができます。現在、AI+ブロックチェーンを用いて特定の問題に取り組んでいる実例がいくつかあります。

暗号通貨取引

暗号通貨の取引市場は、株式市場が危険になり得るのと同様に危険な市場であり、感情的になることで、この危険性は大きく高まります。もし市場が暴落し始めた時、あなたはパニックを起こしてすぐに売却してしまうかもしれません。そうなれば市場が回復して最高値を更新していく中、そこには損失しか残らないでしょう。このような感情による過ちを防ぐための簡単な方法の1つは、CryptohopperAutonioなど、AIベースのクリプトボットを使用して取引することです。クリプトボットはアルゴリズム、市場予測、損切り、そしてAIという4つの原則に基づいて構築されています。CryptohopperやAutonio のような企業は、ユーザーがシグナル(AIを使用して収集および分析したデータに基づき、取引戦略を提供する外部サービス)に加入するのが一般的です。一般的なトレーダーが、方程式から自分自身(の感情)を取り除き、その代わりにAIが生成した戦略を用いれば、成功する可能性は大きく向上するでしょう。

音楽ストリーミング

以前、別の記事で述べたように、今日のミュージシャン達は生計を立てるために大きな苦労をしていますMusiclifeは、AIを組み込んだブロックチェーン技術を使用して、こうした現状を変えるために取り組んでいる会社です。 Musiclifeプラットフォームでは、アーティストは音楽がストリーミングされる度にスマートコントラクトを通じて自動的に支払いを受けます。こうするだけで、従来のストリーミングプラットフォームと異なり、アーティストが自分たちの仕事に対して確実に報酬を得ることができます。しかし、ここでの極めつけはMusiclifeの価格モデルです。 AIによる価格設定方法を使用すると、このプラットフォームを介した音楽の価格は、マーケットにおける再生データに基づいて自動的に調整されるため、楽曲の人気が高いほど、アーティストの収入も増える仕組みになっています。

AI+ブロックチェーンによる音楽ストリーミング業界の可能性を考えれば、Spotifyのような大手企業が参入し、ユーザーの好みを予測するAIを開発するスタートアップであるNilandを買収することは当然のことでしょう。

しかし、ミュージシャンでもプロの暗号通貨トレーダーでもない私たちにとっては、これらの技術は身近ではないかもしれません。幸いなことに、この業界でお金を稼ぐ方法はもう1つあります。それは、私たちが生きている間も、もしかすると死んだ後にも使えるものです。

アバターベースの遺産作成

相続はかつて、裕福で権力のある人だけが考えることができたものでした。しかし、分散化技術は現状をディスラプトするため、永続的な変化を生み出す可能性は誰にでも開放されています。その目的が死後に家族に遺産を残すことであろうと、死後にあなたが人生を捧げた仕事を後世に残すことであろうと、 アバターは最適なものになるかもしれません。EverLifeの作ったアバターは、AIとブロックチェーン技術を組み合わせて作られており、デジタルレガシーを作成できるプラットフォームを提供します。機械学習、スマートコントラクト、教えやすいスキル、そして安全なアバター間コミュニケーションの組み合わせを利用することで、アバターを使ってできることがいくつかあります。

  • Passive Income – アバターは、特定のタスクを実行し(常にトークンを得ることができる)、取引戦略を使用して(Skills Marketplaceの潜在的な機能を利用して)暗号通貨を取引し、さらに新しいスキルやタスクを求めてレパートリーを増やすことができます。
  • Personal legacy –アバターはインタビューをすることができます。それに対する答えを基に人生を編纂、記録し、死後ずっと経った後でも家族はその人とアバターを通して会話することができます。

Everlifeはアバターを作成する際、ユーザーによるインプットが停止した後も拡張がずっと続くようにAIを実装しました。Tshilidzi MarwalaとBo Xingによる次の結論と同様に彼らはブロックチェーンだけでは十分ではないと考えていました。「ブロックチェーンは、経済システム全体を変える破壊的な技術の代表的なものであるが、第4次産業革命とはAIである。ブロックチェーンは様々な可能性を秘めてはいるが、まだまだ未熟な技術なのだ」と。ブロックチェーンは画期的な技術ではありますが、AIと絡み合わせることによってのみ、その可能性を最大限に引き出すことができるというのが、EverLife、Marwala、およびXingの意見です。

今後の展望

Matt Turckが彼の記事で指摘しているように、過去15年間はソーシャル、モバイル、そしてクラウドベースのサービスの時代でした。Turck氏はさらに、「AI、ブロックチェーン、そしてIoTがそれらに変わるものである、という理論的根拠があります。それらのトレンドはまだまだ続いていますが、新たな技術による潜在的な影響は非常に大きいでしょう。」と続けています。ソーシャル、モバイル、クラウドの開発が現存する多くの大企業(Spotify、Airbnb、Twitter、Facebook、Uberなど)を生み出したのと同じように、今後10年から15年の間に、AI、ブロックチェーン、およびIoTベースの企業の黒字化が予想できます。

これらは、私たちの暮らしに恩恵をもたらすでしょうか?より突っ込んだ質問をするのであれば、私たちの生活は過去10 – 15年の間に作られた会社すべてから恩恵を受けたのでしょうか?気づけば、私たちは今まさに、主要産業の移り変わりという変化に直面しています。それは私たちの生活の広範囲にわたって革新をもたらす可能性を秘めています。このような時代の変遷の中、世の中に溢れる暗号通貨愛好家のままで、儲ける機会を得ることができるのでしょうか?これが私からの最後の質問です。

著者について

Kirill Shilov – Geekforge.ioおよびHowtotoken.comの創設者であり、技術的特異点に関する大きな課題を解決する世界のトップ1万人の専門家へのインタビュー。私の#10kqachallenge:GeekForge Formulaに是非参加してください。

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この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:Artificial Intelligence + Blockchain = Passive Income (Forever?)
著者: Kirill Shilov

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