BitcoinやEthereumなどのデジタルアセットの未来

デジタル時代への移行を理解する

Kaz Kobayashi
KYUZAN
8 min readApr 18, 2019

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記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:What Bitcoin, Ethereum and other digital assets will become
著者: Katerina Stroponiati

絵:Billy Clark

人々は、お金はすでにデジタルであると強調し、ブロックチェーンの有用性に疑問を呈しています。しかし一度考えてみれば、従来の金融システムにおける価値の移転は、本来の意味でのデジタルではないのです。

銀行が示しているデジタルマネーは、デジタルに価値を移転しているわけではありません。それは単に数字を表示しているだけで、価値の移転はされていないのです。送金指示を行った瞬間に、ある銀行から別の銀行に実際の硬貨が送金されることはありません(それゆえ効率的ですが)。私たちが盲目的に信じているデジタルマネーは、単に表示された数字でしかないのです。ここでは、それをDisplay Currency(表示通貨)と呼びましょう。

これはなぜでしょうか、もう少し深く考察しましょう

従来の金融インフラには、5つの要素があります。

  • カストディ
  • それと異なる発行者(中央銀行)
  • 個々の支払いシステム
  • 監査
  • 統治する行政

ほとんどすべてのトランザクションにおいて、システムが効率よく機能するよう、上記のすべての要素が役割を果たしています。

Bitcoinにも、上記の法定通貨システムのすべての要素がありますが、それらはすべて同じコードで管理されています。Bitcoinネットワークは、支払いシステム、発行、監査、統治、保管をすべて1つのネットワークで行うのです。

Bitcoinは何を成し遂げたのか?

Bitcoinが可能にしたのは、真の意味での価値の移転 – 紙時代からデジタル時代への移行 – です。誰かにBitcoinを譲渡した瞬間、即座に実際の資産が譲渡されるのです。これは、信頼性のある第三者を必要としません。数学を使うだけです。

理解するのは難しい概念ですが、理解すればBitcoinネットワークが従来の金融インフラにディスラプションを起こすことがわかります。

界隈の盛り上がり

ここ数年、とても多くのチームが、天才的なBitcoinのインフラを再現しようと試みました。

彼らは新たなコインを発行し、革新を起こすことを掲げています。これらのディスラプションとはどのようなものなのでしょうか。

これらすべてのコインとサービスの違いは、紙の時代からデジタル時代に移行するにつれて、新たなインフラがもたらされることに他なりません。

どのようなインフラなのか

前述したように、支払いシステムを安全に機能させるには、いくつかのプロセスが必要です。

  1. ガバナンス
  2. カストディ
  3. 発行と配布
  4. トランザクション処理
  5. 監査

Bitcoin以前は、分離した上記の全てを完全に集中管理していました。

ただし、デジタルアセットを作るために、5つすべてを分散化する必要はありません。たとえば、監査をまったく持たないデジタルアセットもあり得ます。これは、取引履歴を公的機関や中央機関から完全に非公開にしたい場合があるためです。

以下のように5つのプロセスは3つの状態に分類できるでしょう。

  1. 集中型
  2. 分散型
  3. 存在しない

たとえば、中央銀行ネットワークでは、5つのプロセスすべてが完全に集中管理されているため、中央銀行の通貨は表示されているだけです。(表示通貨

Bitcoinは完全に分散化されたネットワークであるため、受け取るデジタル資産も完全に分散化されています。(暗号通貨

ZCashとMoneroは分散型ネットワークではありますが、トランザクションの履歴を見ることができず、監査はできません。(それでも暗号通貨

Rippleはガバナンスと発行を集中管理しています(どちらも行なっている)が、他のすべてのプロセスは分散されています。(一元管理されているので暗号通貨ではないが、監査可能なデジタル通貨

Tether、またはGemini dollarは、米ドルにペグされており、特定の組織の管理下にあるため集中型です。(暗号通貨ではなく、デジタルアセットの新たな形

克服しなければならないもう1つの壁

上記システムとの相互接続性

たとえば、ウェブサイトを開きたい場合は、任意のブラウザ、任意のデバイスから自由に行うことができます。ただし、法定通貨の資産を管理したい場合においては、口座を開設しない限りは、Wells Fargoを使用することはできません。また、Swiftがなければ、他の国に送金することはできません。これは暗号通貨についても同様です。 もし10種類の仮想通貨を所有していて、ある資産から別の資産に価値を移動したいのであれば、これを可能にするサードパーティのサービス(取引所やアトミックスワップなど)を使用する必要があります。

例えるならば、これはWebサイトごとに異なるブラウザを使用しなければいけないような状況だと言えます。

いずれは、私たちは普遍的なインフラ、つまりすべての資産が互いに「対話する」(互換性を持つ)金融インターネットができるかもしれません。

なぜブロックチェーンが必要なのか

上記のように、資産はすべてデジタル資産になりつつあり、基本的にそれらが「存在する」インフラ(支払いシステム)によって定義されるでしょう。

会計システムが必要とする基本的な機能は、セキュリティです。そして、そのセキュリティ機能を提供するのがブロックチェーンなのです。ブロックチェーンとは、信頼関係のない複数の関係者間で合意に達するためのメカニズムです。言い換えれば、信頼と記憶機能をデジタル化するもので、価値を移転するために必要なものが、そこにすべてあります。

つまり、ブロックチェーンは通貨ではなく、デジタル資産の状態に関する合意なのです。合意を得るためには、参加者が必要です。ネットワークに参加するように人々を奨励するために、通貨で報酬を与えます。そのネットワーク、または既存のネットワークでのみ使用できる、採掘された新しいコインがインセンティブの例です。

忘れないでほしいのは、ブロックチェーンは、写真におけるカメラ、釘に対するハンマー、自動車におけるエンジンのように、システムにおける単なるツールであることです。

新しいデジタルアセットの創造

デジタルアセットは、我々がデジタル時代以前には想像すらできなかった資産です。デジタル化のおかげで、今までになかったような資産を創出できる柔軟性が生まれました。そしてこれは、分散化と無という2つの状態を導入することによって起こりました。(将来はもっと可能性がある)

まとめると、3つの主要なデジタルアセットとは;

  • Display assets – すべてが完全に集中管理されており、真の意味での価値の移転はできない。単なる数字の表記であり、私たちは銀行の表示している数字が、真実を表していると信頼してるにすぎない。
  • 暗号通貨 – インフラレベルでの究極の分散化。信頼の要素は完全に排除されており、集中管理されている部分は全くない。
  • ハイブリッドデジタルアセット – インフラの一部は集中化されており、その他は分散化されているか、存在していない。

デジタルアセットは、資産のトークン化ではない

アナログな資産のトークン化を、デジタルアセットと混同しないでください。これらはまったく異なるものです。

前者は、不動産などの資産を取得し、所有権を自動化するためにブロックチェーンを使用する場合です。弁護士の代わりに、私たちはアナログな資産とその所有権を、トークンと呼ぶものに変化させます。家はデジタル化してません、当然それは家のままです。ブロックチェーンの技術を使用して、所有権をデジタル化しただけです。

後者は、資産を完全にデジタル形式に変換するものです。たとえば、bitcoinはドル(アナログ資産)をトークンに変えたものではありません。 Bitcoinは、それだけで独立したデジタルマネーであり、アナログ資産を時代遅れにするものなのです。

結論

上記のとおり、デジタルアセットは状況やモノによって様々な機能を持っています。

現在、「Bitcoinが新しい金である」、「Etherが新しいドルである」と考えられており、それらは旧来の資産と似たものだと思われがちですが、実際に作り上げたものはもっと大きなものなのです。

私たちは、徐々に紙からデジタルの時代へと移行していく過程で、普遍的なインフラを構築し、すべての資産が互いに「対話」し、人々がニーズに応じて自由にそれらを使用する、トラストレスなネットワークを作り上げたのです。

結局、私たちは毎回、どんな資産を使っているのか理解することはないでしょう。このデジタル時代はどこまで進歩し続けるのでしょうか。

この時代の初めにいることは、幸運なことなのです。

Twitter(@katerinastro)で最新情報を確認してください。

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この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:What Bitcoin, Ethereum and other digital assets will become
著者: Katerina Stroponiati

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