TGS 2016 に出展されてたVR[周辺]レポート

qnoub
Labpatch
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10 min readSep 15, 2016
はじめてのビジネスデー

東京ゲームショウの初日に参加することができたので、レポートしてみたいと思います。僕は直接ゲーム開発をしているわけではないのですが、新しいインターフェースは大抵エンターテインメントの現場から実現していくものですし、細かいことは気にしないでください。

それでは気になったブースを紹介していきたいと思います。先に言っておくとゲームどころかコンテンツ系にはあまり触れていません。どちらかというとデバイスよりの紹介になってます。

HTC VIVEブース

言わずと知れたHTC VIVEのブースですね。ドスパラ・MSI・AMD・Intel・auなどいろんな企業がコラボしてました。個人的には真ん中でデモをしていたスペースチャンネル5のVR版が懐かしくてグッときましたが、VIVEの解像度的には確かにあれくらいの時代のものの方がしっくりくるのかもしれないなと感じました。

あと、今回のTGSにおけるVRコンテンツの展示は、「リアルタイムにVR世界とグリーンバック撮影した参加者を合成して来場者に見せる」が標準になってました。どこにいってもグリーンの背景が目に付きます。確かにこういう展示の場において、一人一人にしかコンテンツを伝えられないのは非効率すぎるので、このシステムは自分たちも作れるようにならなきゃなと感じました。(公開しているものはないですが、課外活動としてVIVEコンテンツを作ったりしてます。)

http://www.vive.com/jp/

CIRCLE of SAVIORS:体験型VRコンテンツ

PDトウキョウという映像制作会社さんのコンテンツ、剣と盾でモンスターと戦うというゲームなのですが、かなり良くできているなという印象。最近VR界隈ではよく見るのですが、実物は初めて見ました。こちらの会社はゲーム会社ではなく、テレビなどにコンテンツを制作する会社ということで、テレビ番組でも利用出来るものを念頭に作っているとのことでした。

アクションはかなり激しい

テレビ番組用というのがどの辺に出ているかというと、外で見ている人にVR内で起きていることを伝える合成映像のクオリティです。

カメラの上にVIVEのコントローラーが付いていて座標をトラッキングしている

システムはHTC VIVEを利用しているのですが、3つ目のコントローラーを追加してカメラに装着し、リアルタイムなカメラワークを実現しています。他のブースで主に用いられている方法は固定カメラの映像なので、いろいろなアングルから撮影するというのはあまりありませんでした。

このカメラで撮影した映像を、VR映像と合成するのですが、他の会社がしているような、ソフトウェアによる合成ではなく、番組制作で利用するような機材を用いてハードウェア的に合成しているとのこと。映像のプロ用機器を利用することで、激しいアクションに対応する応答速度とクオリティが見事に両立してました。

http://www.pdtokyo.co.jp/

tobii : アイトラッキングデバイス

こちらは視線入力を可能にするデバイスで、Windows PCに接続して利用するバータイプのものと、Oculusに組み込まれたデバイスが展示してありました。

アイトラッキングできるVRヘッドセットFOVE

既存のVRゴーグルを改造してアイトラッキングを組み込むことが可能とのことで、細いワイヤーのようなLEDとカメラをゴーグルと目の間に組み込んでいました(動画参照)。よく入ったなというか、普通に驚きです。(最初から組み込まれてるものとしてFOVEもありますが…)

バータイプのものはTPSゲームと接続して展示してありましたが、直接エイムするというよりはカバーリング(ポジション移動)で好評とのこと。このモデルでは目だけでマウスと対等に戦うというところまでは難しそうです。

しかし、上位モデルではサンプリングレートがかなり高いものもあり、原理的には手を動かすよりも視線を動かす方が早いそうなので、近い将来は(訓練された)アイトラッキングが手によるマウス操作のスピードを上回る日が来るかもしれません。

開発者向けのクーポンコードを配布しているので購入しようか迷ってます。(しかしMacは非対応)

また、tobiiさんではアイトラッキングを利用したユーザビリティ調査や広告などの効果測定・コンサルティングもやっているそうです。設置型のデバイスをはじめとして、メガネ型のデバイスもあるため、屋外や実店舗で広告がちゃんと機能しているかなども計測できるそうです。アプリのUX調査などにも活用できそうだと感じました。

http://www.tobiipro.com/ja/

UnlimitedHand : 触覚フィードバックデバイス

(ここからはちょっと辛口コーナーになるかもしれません。)UnlimitedHandは電気刺激によって触覚フィードバックを返すデバイスです。VRと組み合わせて使うとVR内のものに触ったり、引き金を引くジェスチャーで銃を撃つことができるというものです。

キックスターターでファンディングして始まり、すでに一般販売されているので僕らも購入して使ってみたのですが、反応までにラグがあったり、フィードバックが強すぎて痛かったりであまりまともに動かせていませんでした。

会場でエンジニアの人が動かしてデモしているのを見ていたのですが、僕たちの環境で動かした時と同じような反応速度やジェスチャーの取得状況だったので、ある意味ほっとしたのですが、ソフトウェア/ハードウェア的にまだ乗り越えないといけない課題は多そうです。

http://unlimitedhand.com/ja/

3D Rudder : VR移動コントローラー

こちらもVR用のコントローラーデバイスですね。裏面が膨らんだ円盤を踏むことによってVR内の自キャラを移動させるというものです。

横から見た図

わかりやすいっちゃわかり易い動作原理なのですが、急激なカーソル操作を要求するようなアクションものには向いていないのではと感じました。体験している人を見ても結構苦労している様子が。少なくともトレーニングが必要そうです。

http://www.3drudder.com/

個人的にはOmniが出展してて欲しかった。。。デカくて重くて高いけど。

http://www.virtuix.com/

Woojer : VRゲームジャケット

映画のトレーラーに合わせて、ベストに仕込まれたバイブレーターが振動するというものなのですが、ちょっと臨場感とは程遠い感じでした。PSにデュアルショックが出た時くらいの感じでしょうか。「衝撃のデビュー(配布資料より)」とはいかなかったようです。

http://www.woojer.com/

IDEALENS : オールインワンVRヘッドセット

クリークアンドリバー社が扱うIDEALENSというVRヘッドセットです。オールインワンということで、PCやスマートフォンを必要としない独立型デバイスでした。片目あたり1200*1080のスペックを持つということでそれを体感したかったのですが(VIVEは1080*1200)、用意されていたコンテンツはかなり低解像度のもので残念。展示の機会を今後も作っていくとのことなので期待したいと思います。バンドで締め付けないヘッドセットは確かにつけ心地は良かったと思います。(でもバンドがない分、激しい動きでずれそうになる感じはありました)

Dlodlo : グラス型VRヘッドセット

VIVEのようなハイエンドクラスのスペックをメガネサイズにしたVRヘッドセットです。片目あたり2400*1200という高画質で重量88gというスペックを実現しています。デモではPCに接続して利用していましたが、今後Androidベースの専用デバイスを開発予定とのこと。スマートフォンサイズということなので、現状の据え置き型PCに縛られたハイエンドなVR体験を外に持ち出すようになれるかもしれません。解像度的にはTGSで一番だったと思うので、体験できなかったのが悔やまれる。

以上になります。

ほんと雑な感想ですが、TGS 2016の印象はVRコンテンツの圧倒的な増加に尽きるかと。PSVRも一般発売を控え、大手メーカーがちゃんとコンテンツを揃えてきているのに加え、HTC VIVEをはじめとしたその他ヘッドセットやプラットフォームの作品も非常に多く見られました。

あとはPS4 Proが出たことによって一気に4K化が進んでますね。綺麗な映像をたくさん見ると単純にテンションが上がります。(要求水準はどんどん上がってしまって開発は大変だと思いますが。)

対照的に、2015年に豪勢なブースを出していたソーシャルゲーム系のブースはあまり目立たず、駅から会場までのアプローチもおとなしくなったなぁと感じました。コンシューマー系の大作もすでに情報公開されているものがほとんどだったので、ものすごいトピックは特になかったかなと。開発期間の長期化や、IP変更した焼き直しや何処かで見たことあるゲームの量産など、勝手に課題意識を感じました。

りんな

ちなみにAIコーナーもありましたが、Microsoftのりんなと銀星囲碁の2ブースのみで、いわゆる世間のAIブームはTGSには来ていなかったようです。どこへ行く日本のAIと思いましたがそろそろCEATECもあるのでそちらに期待しましょう。

2日目以降の参加者のなにかの参考になれば幸いです。

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